表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガテン系の女 愛より、恋より、修業中  作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
86/140

大らかで打算的

 



 1泊2日のキャンプ。

 深夜出発。

 当然、父は、良い顔をしなかった。


 けれども口に出して反対はしない。

 千香良を大人として扱っている証拠だ。


 参加メンバーの男子は6人。

 女子は千香良を入れて4人。

 皆、バーベキューにも来ていた。


 キャンプ場では男連中が2人一組でテントを張るそうだ。

 けれども、万が一を考慮してコテージを1棟借りてある。

 三上の先輩2人は大学のキャンプサークルに所属。

 目前でも予約が取れたのはそのお陰だ。


 そして深夜前、三上の四駆が千香良を迎えにやって来た。

 

 夜中でも蒸し暑く、少しに間でも汗ばむ。

 それなのに父、母、兄までもが千香良を見送るために外で待機。

 三上も堪ったもんじゃない。


 それでも挨拶をしに、車から降りてきた。


 母と兄は兎も角、父は怖いと思う。

 上背こそ並だが、体はごつい。

 引退して20年以上。

 普段は隠しているが、一皮剝けばアスリートの迫力は健在だ。 


「パパ、威嚇しないで」


 月も星も出ているだろうが誰の眼中にも入っていない。

 千香良が文句を溢す。


 すると父は引き攣りながらも柔和な顔を見せる。

 どうやら母が隣で抓ったようだ。


「こんばんわ、三上真司です。姉がいつもお世話になっています」


 先ずは自己紹介。

 そして乙葵(いつき)の雇用に対する感謝の敬意表現。


 父も母も笑顔で頷く。

 千香良はやきもきして落ち着かない。


「明後日の夕方には戻る予定ですので、千香良さんをお預かりします」


「大袈裟だよ」


兄が茶々を入れる。


「あっ、はい」


 恐縮する三上が可笑しい。


「乙葵の弟だろ、性格が真逆だって聞いているから、安心している」


「もう、行こう。近所迷惑になるよ」


 これ以上、この場にいるのは心臓に悪い。

 誰が何を言い出すか……

 千香良は三上の袖を引く。


「車はそれで行くのか?」


 すると父が聞いてきた。


「いえ、友人の家まで行ってから、大きいの2台で行きますので心配ないです」


 父は何を思って聞いたのだろうか……

 千香良には分らない。

 多分、二人きりで深夜に長時間が心配だったのだ。

 路肩に駐めて……

 想像しただけ殴りたい思いだろう。


「行ってきます」


「それじゃ、安全運転で行きますので」

 

 螻蛄(けら)とキリギリスの鳴き声が急に耳に付く。

 千香良は修学旅行以外、始めての外泊に出掛けた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ