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ガテン系の女 愛より、恋より、修業中  作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
85/140

曖昧で累卵 5

 

 

 

 三上は後を引かない性格らしく、代らなかった。

 しかし平日もアルバイトを頼まれたらしく、会う時間がない。

 夏期講習を担当していたアルバイトが辞めてしまったそうだ。

 そして日曜日は代らず個別指導。

 

 三上は会う回数が減ると、何度も謝ってくれた。

 しかしながら、千香良は寧ろ願っても叶っても。

 夏の現場は炎天下。

 休日は、極力、体を休めたい。


 その代わりラインでの遣り取りは毎日。

 しかも1日のラインが随分と頻繁になった。

 

 千香良は現場の進捗状況とその日に千香良が行なった(おこなった)作業の報告。

 けれども自分以外の職人の話は極力しない。

 また、要らぬ詮索をされるのも困る。

 

 三上は龍太に限らず現場出入りの男達を気にしている節がある。

 イメージの問題としてガテン系の男共は女癖が悪く見えるそうだ。

 

 けれども千香良は口説かれた事がない。

 入った頃の龍太や他の職人達がプロテクトしたせいだ。

 

 先日の事件のようなことは例外中の例外。

 千香良を誘うなんて怖くて誰もしない。


 そして三上は生徒達の、あれやこれ。 

 個別指導と違って生徒間での確執や牽制が見られて面白いようだ。

 千香良は悪趣味だと思うが何も言わない。

 ワンコが頷くスタンプ等を送っておくだけだ。

 

 千香良は三上に意見をしたり交友関係に干渉したりしない。

 三上も比較的、黙っている方だと思う。

 

 世間一般のカップルをネットで調べてもみるが、同じようにはいかない。

 千香良が三上に恋をしているかは微妙……

 原田の時もそうだった。

 彼氏、もしくはボーイフレンド持ち。

 千香良にはその事実が大切なのだ。

 18歳の恋愛なんて概ね(おおむね)、そんな感じだろう。


【16日深夜出発でOK?】

 

 昨晩、三上から確認のラインが入っていた。

 

そして千香良は事務所のホワイトボードの前。


『プラスター工房ムラオカ』のお盆休みは長い。

 ‘山の日’ から10連休もある。

 役場や銀行は盆休みでもカレンダー道理。

 大手企業でも今年は6連休が一般的らしい。

  

 好待遇と言っていい。

 けれども、それは建前。

 お盆明けに現場が追われるのが目に見えている。

 それ故に龍太や鷹見は動いている現場には行くようだ。


『アカデミーイベント』

 

 8月の第3日曜に記入されている。

 調度、お盆休みの最終日だ。


「龍兄、アカデミーのイベントって何ですか」


 龍太は日報を記入中。

 緑だった髪暫く前に漸く全部黒になった。

 千香良は長いような短いような……

 時に流れを感じる。


 千香良の龍太に対する態度は代らない。

 畜産試験場の現場を外されたのが幸いした。

 3日間も会わなければ気持ちも落ち着く。

 

「それか……毎年やっているぞ。小学生とその親御さんで壁を塗る体験教室を開催するんだ。千香良も来るか?」


「行く」

 

 三上からの誘いは悩む。

 けれども龍太とのイベントは即答。


 曖昧で累卵な千香良の乙女心はどこに向かうのだろう。

 

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