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ガテン系の女 愛より、恋より、修業中  作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
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慎重で大胆

 



 夕食はカルボナーラ。

 それとオニオンスープにアボガドと豆腐のサラダ。

 デザートに枇杷も食べた。


 千香良は出来れば米が食べたい。

 肉体労働者はやはり米だと思う。


 千香良はトン、トンと軽快に階段を上がる。

 膝の痛みはとっくに消えた。

 ただ、まだ少し青い。


 就寝前は勉強の時間。


 左官の素材、各種左官仕上げ、地震被害とカラーページが続き、目次。

 第1章は総則。

 左官仕事のなんたるか、と専門用語の定義。

 昨日まで専門用語を覚えるのに苦労していた。


 そして千香良はゲームチェアに座ると(しおり)のページを開く。

 ゲームチェアは勉学に勤しむために買った。

 なんでも形から入らねば、やる気が出ない


 そして今日から第2章。

 施工計画。


 千香良にはまだ、まだ関係ない話だと思う。

 それでも順番に読んでいくつもりだ。

 

 されど手に付かない。


 龍太の話がチラつく。

 駄目だと分かっている。

 けれども聞いてしまって以上、色々想像してしまう。

 

 千香良はスマホに手を伸ばしてラインをタッチ。


 亜紀と三上からメッセージが届いていたはずだ。


【龍太に話を聞いたって、落ち込んでない】


 亜紀は龍太から頼まれたのだろう。

 千香良の様子を探っている。


 でもラッキー。

 聞きたいことが沢山ある。


【元気だよ。でもビックリ!龍兄よりもギャルにネ】


 亜紀からオムツの子猫が頷くスタンプが直ぐに返信されたきた。


奴等(やつら)も散々だよ。18歳だと思ってたんだろ。それが中学生とやっちまうなんて……寧ろ(むしろ)被害者だよ。狼狽えて(うろたえて)喧嘩にもするさ】

  

 亜紀の追加メッセージに千香良は暫し考える。

  

(奴等?)


 しかし取り敢えずスルー。

 千香良の信条は深く考えない。


 そして爆笑。

 何事も過ぎると笑える。

 深刻に捉え(とらえ)て損をした気分だ。

 多分、亜紀の見解は正しい。


 振り回されたのは龍太と鳶で中学生はケロッとしている。

 千香良はそんな気がした。


【しかし鳶も災難だ。悪い奴じゃなかったらしいよ。俺が先に手を出したって、証言したとか……しないとか……龍太は学校も首になってないから】


 そして、また亜紀からリターン。

 今日は暇を持て余しているらしい。

 

【じゃあ、私の方が極悪人だ~】 


 千香良はメッセージに続き不細工(ぶさ)犬が爆笑しているスタンプを送った。

 珍しく自虐ネタだ。


【悪い、千香ちゃんに配慮を欠いた】 

 

 そしてペコリと頭を下げるオムツ猫のスタンプ。

 亜紀は千香良から高校を自主退学させられた事を聞いている。


【でも、その後のギャルが気になる】 


【詳しいことは私も知らんよ。弟の聞いとくわ】


 千香良は不細工犬がペコリと頭を下げるスタンプ送る。

 亜紀の弟は龍太の親友。

 現在、過去と龍太の武勇伝は網羅しているらしい。


 最早(もはや)、好奇心が押えられない。

 昼間の思いはいずこやら。

 

 けれども千香良の年齢で悟るには早い。

 これが健全。


 そして今度は三上からのラインを開く。


【姉さんは迷惑掛けていませんか?本人は毎日、楽しそうですが……だからこそ少し心配】


 千香良には拍子抜けの内容だ。

 もっと別に聞くことがあると思う。

 例えば……?

 しかし千香良も浮かばない。


【母さんが嫁にと希望。お兄ちゃんは常連さんに、からかわれているらしい】


 千香良は考えるのが面倒で事実を送った。


【実は俺の家も『赤煉瓦』さんに貰って欲しいと……母が……姉ちゃん激怒ってます】


【厄介者を他人様に勧めるな、だそうです】


【100歩譲って私が良くても相葉には絶対無理。彼奴は中学からの恋人がいるから……だそうですが……知っている?】


 千香良の眉間に皺が寄る。

 兄から彼女の話なんて聞いたことが無い。


 千香良の首は緩やかに傾いていく。

 そしてそのまま机の突っ伏した。


(私の周りは個性が強い人が多すぎるよ~)


 千香良は改めて自分の周りの人達を思い浮かべる。


 そもそも兄は変人だ。

 顔は千香良とそっくりで、体型は父の遺伝子でややマッチョ。


(私と同じ顔?) 


 千香良の頭に?が並ぶ。

 1つの可能性が脳裏を過ぎる。


 千香良は左官施工法の本を閉じた。


 布団を被って寝るのが1番。

 朝になれば忘れているはずだ。




 


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