おせっかいでロマンチスト 5
住民税、マイナンバーカード、申請用写真、卒業証明書、そして手数料。
千香良は何度も確認してから家をでた。
天気はあいにく花曇りで小寒い。
千香良は用意しておいたボーダーTシャツの上から究極、パーカーを羽織って来た。
そして運転免許試験場に着いたのがAM8時。
受験料を払い視力検査。
左右とも1.5で問題なし。
その後、試験会場で注意事項等の説明。
筆記試験開始はAM9時30分。
所要時間は50分。
多分、問題無い。
合格発表はAM11時頃。
電光掲示板に千香良の受験番号が表示された。
千香良は嬉しさと安堵で腰が砕けそうだ。
これで4月から正社員で働ける。
【合格したよ】
千香良は早々に母と龍太にラインを送っておいた。
時間的に仕事中だと思うけど早く伝えたい。
そして写真撮影をして昼ご飯。
千香良は近くのファミリーレストランで海老と明太子のドリアを食べると決めている。
免許交付はPM1時~2時になるみたいだ。
海老と明太子のドリアを食べ終えた千香良はラインのチェックをしていた。
【おめでとう】
母からの返信は簡単な一言。
珍しいことに兄も熊がクラッカーを鳴らすスタンプが送ってくれた。
乙葵と再会してから兄は機嫌がいい。
乙葵は明日から来るそうだ。
三上乙葵は三上真司と全く似ていない。
千香良は出自疑っている程だ。
けれども誰にも言えない。
兄曰く乙葵は、やり尽くした女らしい。
中学卒業時は16歳。
一体何物なのだ?
恐ろしい……
千香良は亜紀と同じ匂いを感じる。
きっと我が道を行く人だ。
それなのに母は兄の嫁にと、妙に期待している
千香良も少しロマンチックな気がしないでもない。
優等生と劣等生の再会ラブ。
少女マンガみたいだ。
千香良は想像してみて吹き出した。
(兄さんに限ってナイナイ)
そして龍太からの返信。
【命預けます】
千香良が免許を取った暁には助手席に乗ってくれると約束していた。
明日から練習を兼ねて千香良がKバスを運転するつもりでいる。
会社の車なので千香良も1人で現場に行けるように練習だ。
「相葉さん」
聞き覚えのある声だ。
俯いていた千香良が顔を上げると三上が立っている。
「えー、どうしたの?」
三上は、まだ卒業検定を受けていないはずだ。
「知り合いが受けに来ていて……俺は付き添い。向こうのテーブルいる」
千香良は体を起こして三上の指すテーブルを探してみる。
女の子だ。
「彼女?」
疑問が口を突く。
「違う、違う」
三上はヒラヒラと手首を振って大袈裟に否定している。
けれども怪しい。
千香良は心中、穏やかではいられなかった。




