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ガテン系の女 愛より、恋より、修業中  作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
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正直で狡い

 

 



 聞こえるのは筆記用具の擦れる、ほんの小さな音だけ。

 自動車学校の自習室は静寂だ。


 千香良は机に顎杖を付き、過去問題と格闘中。


『言い回しでの引っ掛け問題に要注意』


 仮免試験を受ける、と言うと、皆が同じアドバイスをくれた。


 確かに文章から何を尋ねられているか判断できない問題がいくつかあるようだ。

 けれどもマークシート形式の答案用紙は取り敢えずでも埋めることは出来る。


 千香良は分からずともマークシートを綺麗に塗りつぶしていく。

 

 過去問題も3枚目。

 なんとか終わった。

 

 千香良はシャープペンシルを置いて、閉じた瞼を押えて解す。

 そろそろ目も疲れてきている。

 

 それよりも先程から背中に視線を感じて落ち着かない。


 多分、30分ぐらい前に入室してきた人だろう。

 ドアが開く音がした。

 千香良の席は窓際中列。

 着席時には後ろには人は誰も座って居なかった。


 千香良は答えのプリントを取りに行く序でに、さり気なく首を捻って様子を伺ってみる。

 

 どうやら男子みたいだ。

 チラリと見えた手が大きい。

 

「相葉?」


 すると小声で苗字を呼ばれた。

 視線とは盗み見でも分かるらしい。


 千香良は瞬きを数回。

 そして見覚えがある顔に頷く。

 けれども名前が思い出せずに、振り向いたまま立ち止まっていた。


「俺、三上、三上真司。中学2年の時に同じクラスだった……覚えていない?」


 顎を上げて顔を見せた男が千香良を見上げている。

 眉毛が凜々しく中々カッコイイ。

 ヘアースタイルもツーブロックとお洒落だ。

 

 名前を告げられると、はっきりと思いだす。

 それでも少し信じられない。


 三上真司はクラスで一番の秀才だった。

 印象はガリ勉。


 中学時代は眼鏡を掛けていたような……

 記憶が甦る。


「覚えているよ」 

 

 千香良は急激に懐かしい思いが沸いてきた。

 満面の笑みで三上を見下ろす。

 

「じゃあ、俺も今から答え合わせだから、終わったら一緒に飯に行こう」


 三上は千香良を誘うと椅子を引いて立ち上がる。


「えぇ~嘘!背、伸びている~」


「おう」


 三上は少し照れ臭そうに頭を掻いている。


 中学時代の三上は千香良よりも低身長だった。

 それが今は千香良よりも20センチは高い。

 龍太と競る(せる)ぐらいだ。

 

 服装もジップアップのパーカーと細身のジーンズとシンプルだが悪くない。

 

 1人去れば1人来る。

 

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