表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガテン系の女 愛より、恋より、修業中  作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
34/140

無邪気で屈託がない 4

 



 天井には無数の水滴。

 仄かに入浴剤の香りが漂う。

 今日は柑橘系だ。


 相葉家の風呂場は広い。

 湯船もオーダーメイドで千香良は勿論、父でも十分、脚を伸ばして浸かれる。


 年頃の娘が長風呂なのは致し方ない。

 千香良の両親も諦めている。


 ボディ磨きにヘアケア。

 一日を振り返るのも1人になれる入浴時が多い。


 楽しい一日なら思いだし笑い。

 辛かったら誰に気兼ねなく泣くことだって出来る。


 特に今日は予め《あらかじめ》、ゆっくり入ると決めていた。

 母にも宣言してある。

 告げておかないと、湯船で寝ているのでは……と、様子を見に来てしまうのだ。

 

 それなのに今、千香良の頭の中は仮免試験。

 湯に透ける膝小僧の痛みも、すっかり忘れているようだ。


 千香良が物事を深刻に捉えられないのはいつものことだ。

 高校を自主退学させられた時も然程、思い悩まなかった。

 長所なのか短所なのか今の所分からない。

 けれども悪い出来事ほど頭にしっかり刻まれる。

 

 千香良の思考は教習車から高城の愛車と移り、別れ際の高城の忠告『男は狼』に思い至る。


(貞操の危機だったんだ)


 千香良はやっと事の重大さを感じ出す。

 急に膝小僧が痛い。


 千香良は伸ばした脚を引き寄せて両腕で抱えた。

 そして膝小僧にコツリと顎をのせみる。

 騒ぎ立てるような痛みではないが苦痛に感じる。


 龍太には自分以外の人間の車に乗るなと常々言われている。

 簡単に他人の車に乗るなんて、もっての外らしい。


 千香良は、その忠告を今更ながら思いだす。


 それに ‘ドライブデート’ でのアクシデントやトラブルはネットにも沢山のっていた。

 千香良も警戒していたはずだ。


 そもそも千香良は原田に恋をしていない。

 にもかかわらず、恋人に……なんて、考え事態が間違っていたのだ。

 軽い気持ちの持主は当然、軽いと思われる。

 

 しかし、思春期なら異性に興味があるのが当たり前で、寧ろ、無い方が問題だろう。

 それでも、闇雲の経験を積むのは頂けない。

 

 千香良の額からジワリと汗が滲み出す。

 長風呂も限界のようだ。

 

(恋をするのが先なのだ……)

 

 のぼせだした脳髄知覚は緩慢で単純明快な答えくれる。


 洗い場に出た千香良の薄桃色裸体は瑞々しく、水滴を弾いていた。

 


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ