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ガテン系の女 愛より、恋より、修業中  作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
28/140

豪胆で気丈 3

 



 本性?

 否。

 多分、魔が差した……



 右の掌に擦り傷。

 少し血が滲む。

 ストッキングが破れた両膝も赤い。

 直に(じきに)紫に染まるだろう。


交通量の少ない道路で本当に助かった。


 原田の車は大型のワゴン。

 千香良は助手席のロックを解錠して道路に飛び降りたのだ。

 

「大丈夫……勘弁してよ……」


 運転席から降りてきた原田は煩わし(わずらわし)そうに言葉を吐いた。


 界隈はファッションホテルが連立している。


 立ち上がった千香良は原田を無視して歩き出す。

 自分が居る場所はスマホで検索すれば分るはずだ。


「チッツ」


 原田の舌打ちは千香良に聞かせるためだろう。

 かなりわざとらしい。

 

 


 ドライブデートの待ち合せも前回と同じく駅だった。

 時間は早くAM7時。

 

 千香良の衣装はブルーのマルチストライプのシャツにタップリとしたVネックのカーディガン。

 それにタックの入りのショートパンツ。

 カーディガンとショートパンツはクリーム系の同系色で揃えて、生足は少し寒いので珍しくストッキングを履いた。

 それでも白のスニーカーには紺の靴下。

 10代の少女然としている。

 

 鞄はいつもより大きいキャンパス地のトートバック。

 ウエットティッシュにビニール袋、そして飴とガム。水筒にはお茶……

 ドライブデートの必需品が入っている。

 

 そして原田は水色のポロシャツにチノパン。

 色こそ変わるが定番のスタイルだ。

 

 天気もいい。

 

 BJMは原田がチョイスしたアニソン。

 千香良も知っている曲ばかりで嬉しかった。


 行き先は港。

 高速に乗ってトリトンを渡った。


 橋を渡りながら見る海は、また違う。


 大きなクレーン。

 大きな倉庫。

 港には膨大な数の輸入車。

 ゴージジャスな遊覧船も止まっていた。


 原田は物知りで会話も尽きない。

 運転も上手く千香良は快適だ。


 そして高速を降りてランチタイム。

 ピザのバイキングをチョイスした。

 原田も千香良も食欲旺盛で十分、元が取れただろう。

 スイーツも充実していて大満足だった。

 

 けれども楽しかったのはそこまで……

 

 千香良が「遅くなれない」と告げてから原田の様子が変わった。


 明らかに落ち着きがなくなり。

 早々に店を出ようと千香良をせかした。


『これからの予定は?ショッピングモールも近くにあるよ』


 尋ねる千香良に原田は無言で行く先も告げない。


 すると、車インター付近を走行。

 運転する原田の息遣いが荒く、千香良は怖い。


『千香ちゃんも類友なんでしょう』


『……?』


 原田の問いかけは千香良には意味不明で答えられない。


『『蘭々』の娘さんが話しているのを聞いたんだ……身持ちが軽いって……どう考えても千香ちゃんの友達の床屋さんのことだよね』


 千香良の眉間に皺が深く刻まれる。

 18歳がしてはいけない顔だろう。

 

「千香ちゃんも見かけによらない……勿体付けなくてもいいよ」

 

 憶測が突飛でついて行けない。


 千香良は原田がホテルのゲートを潜る前に腹を括った……

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