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ガテン系の女 愛より、恋より、修業中  作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
20/140

緊張して充実 5

 



 動物園は原田の通う大学の近くだ。

 場合によっては大学見学も頼んでみようと思う。


 けれども動物園は広大で一日では回れないと聞く。

 小学校の遠足で行ったきりだが、どうだっただろう。

 

 千香良は、そこからランチはどうしよう?

 園内で食べるのか?

 買って行くか?

 割り勘なのか原田が出してくれるのか?

 入園料は?

 

 あれこれと思い巡らす。

 そして端と気が付く。

 千香良は社会人で原田は大学生なのだと……


 すると思考が不都合な連鎖反応を引き起こす。

 

 クローゼットに並んだ衣装を取かえ引かえしながら千香良は少し泣きたくなった。

 

(初めてのデートなのに……)


 千香良はベッドに腰掛け天井を仰ぎ見た。

 白のタートルネックにモカのキャミワンピース姿が空しく思える。

 そしてベッドの上には脱ぎ散らかした衣装。

 

 着ていく服もメークもヘアースタイルも……ドキドキを共有する友達がいない。


 千香良達は不良とかギャルと言われるタイプの女子とは違う。

 暴力沙汰で退学になった友達との付き合いを親を良くは思わない。

 事実は違っていても評判は変わらない。


 千香良は皆が自分から離れていった理由を考え、思い至る。

 

 そして本当に事を言っていたら、どうなっていたかなんて……

 考えたところで分らない。

 

 高校中退の大事を千香良はジワリ、ジワリと感じだす。

 けれども幸か不幸か千香良は恨み辛みを働かす思考を持たない。


 淋しい……と、つまらない……

 それだけだ。


 それでも千香良は性根が健やか。

 物思いも飽きてくる。

 開いた穴は埋めるだけだ。


 立ち上がり、鏡に前でアウターを選び始めた。

 情緒不安も17歳なら可愛らしい。




 冬場はお粥。

 暖かくなるとパン。

 そして気が向くと母がガレットを焼いてくれる。


 相葉家の朝は週末でも然程代わりはない。


 千香良はダイニングの赴くと香ばしいそば粉の香りを吸い込んだ。


「千香良今朝はお洒落して、お友達と出かけるの?」


 フライパンを片手にダイニングにやって来た母が千香良を見て立ち止まる。


「うん」


 千香良は原田のことを母に言おうか迷うところだ。


「そう……何所に行くの」


 フライ返しを使って皿に滑らせたガレットは見事に正方形だ。

 定規で測っても均一と思われる

 

 そしてその中央にこんもりと盛られたチーズと除く黄身。


「今日は『蘭々』の友達と動物園に行くの……」


「へ~新しいお友達」


「うん」


 母はフライパンをそれだけ聞くとフライパンをキッチンに戻しに行った。


 キッチンから母の鼻歌が聞こえる。


 千香良に理由は 分からない。


 それでも母の機嫌が良いのは幸先上々の兆し。


 千香良は緊張するけど今日のデートの充実に期待を膨らませた。

 

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