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after 25

頬に優しく触れられて、リリーは微睡の中、ゆっくりと覚醒した。

触れてくる手に、自身の手を重ね、瞼を開ける。


「おはよう、私の愛しい奥様」


言われ、リリーは微笑んだ。

ダレンの声はいつだって穏やかだが、今はとにかく甘い。

リリーを見つめる瞳も、この人はなんて美しいんだろうという眼差しだった。

リリーはもう一度、微笑み「おはよう、私の愛しい旦那様」と告げた。

いつもは髪の毛を後ろにかき上げているダレンだが、今は寝起きの為、前髪が頬にかかっている。

それを指で掬い上げてあげると、ダレンは嬉しそうに笑んだ。

そうしていると、幾分か幼く見えて、彼の新しい面を発見できた喜びに、リリーは大いに満足した。


「あら?」


ふと、出窓からさす陽光に気付き、リリーは起き上がろうとした。

すると「まだ横になっていてもいいよ」と、ダレンが制した。


「使用人達には、今日は起こさないでくれと言ってあるんだ。だから、ゆっくりしていいんだよ」

「それって……」


ハタと気付き、リリーは急いで身を起こした。

太陽の光の位置から、明らかにお昼を過ぎてしまっていることを悟ったのだ。

リリーは猛烈に恥ずかしくなった。

昨夜、初めてリリーはダレンとベッドを共にした。

久しぶりの営みに、正直、不安はあったが、ダレンなら絶対にリリーの嫌がることはしないだろうとわかっていたので、安心して身を任せることができた。

ダレンに情熱的に求められ、これほど嬉しいことはなかった。

だから、起きてくるまで起こさないようにというダレンの気遣いは、ありがたかったが、同時に使用人達にどう思われたかと考えると、頬が猛烈に熱くなった。

当然、ダレンの屋敷の使用人達は、その辺りのことは心得ているので、態度には出さないかもしれないが、何とも気恥ずかしくてたまらない。

使用人達の中には、リリーにとって、顔馴染みの者も多かったのだ。


「わ、私、もう起きるわ」


これ以上、ゆっくりしていては、彼らの中で想像が膨らみ続けそうである。

リリーは意を決する思いで、ベッドから立ち上がった。


「君が起きるなら、私も起きるとしようかな。少し遅いけど、朝食を一緒に取ろう」


そう言って、ダレンも立ち上がると、すかさずリリーの頬に口付けをした。

名残惜しそうにしながらも「誰か呼ぼう。支度が必要だ」と囁いて、ダレンはリリーから離れた。

それを引き留めたいと強く思ったけれど、リリーはその思いをグッと堪えて、素直に頷くにとどめた。

これからはずっと、こんな朝をダレンと迎えることができるのだからと。


リリーの表情には自然、笑みが浮かんだ。

自分はまず間違いなく世界で一番幸せな妻の一人になったのだと強く感じて。

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