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虎の威を借りる吸血鬼  作者: トカウロア
故郷脱出編
14/46

第十四話、親の心を知ったとしてもやることは変わらない②

文章力というか描写力が欲しい。

あと筆の早さも欲しい。


「……お前がアラネルのことが嫌いなのは分かっている。だがフレリアの方はどうだ?……やはり恨んでいるのか?」


 そう真剣な表情で聞いてくるお父様。だがしかしその懸念は的外れであるとしか言いようがない。やれやれとため息を吐き、これみよがしに両手を掌を上に向けて「 ̄W ̄」のような形で広げる。えっ、表現が古臭い上に分かりづらい?い、いやこの世界ではそこまで古臭くはない、はず、だ、きっと、うん。私もまだまだ若い。肉体的にも精神的にも、だ。前世合わせたってまだ、まだセーフなはずだ、きっと。でも分かりづらいのは否定できないかもしれん。


「恨む?私が?くふふっ、いやはや実に的外れだともお父様。私は別にフレリアちゃんのことが嫌いではないぞ?」


 まったくもって的外れなことを宣うお父様。まあそりゃ?もっと簡単に倒されろとかもっと優しくとかもっとエロくとか色々思うことはある。あるが、だからと言って恨むというほどではない。少なくともあちらからこっちに対して何か仕掛けてくることは(お母様と違って)ないし、聞こえるように陰口を言ってくることも(他の街の連中、私視点で言うとモブ、と違って)ないので嫌いではない。だいたい見た目が良ければ一定よりも好感は抱きやすいのだ。もちろん限度はあるが、同じような立ち位置の奴がいるなら見た目が良い方が好きになるに決まってるしな。ただし美少女に限るだとかただしイケメンに限るというあれだ。


 とはいえお父様が恨んでいると勘違いする理由も分からなくはない。ぶっちゃけお父様は私に対してネグレクト気味……というかほとんどそのものだったからな。まあお母様みたいになられても困るんだが。だからお父様に構ってもらっているフレリアちゃんを憎む、というのは想像しやすいストーリーと言える。自分は放置され構ってもらえないのはあいつのせいだ、となるわけだな。……そう考えてみると駄目だな、お父様。うん、物凄くダメダメだ。家庭崩壊の原因って次元だぞ。いやまあ私を見るとお母様を思い出すとか色々あるんだろうけどな。


「本当か?お前があの子に仕掛けた戦い、あれはてっきり――――」

「それも勘違いさ。確かに色々騒いでいる奴がいるけどな?私としては純粋に血をある程度もらおうと思っただけだとも。殺す気なんて最初からなかったさ。そもそも殺したところでさして利益などないだろう?」

「それは、そうだが……、しかしそれを言うのなら血液だってそうだろう。十分なほどお前には血を与えているはずだ。」

「そうだな、血は確かに出てくる。だが吸血鬼(ヴァンパイア)人間(ノーマル)のハーフの処女の血はないだろう?」

「さすがにそれはない。ないがだからといって―――」

「というかそういう風に心配するのならもうちょっとまともに動くべきだったんじゃないか?言っては悪いが父親失格だぞ?せめて私とフレリアちゃんを幼少期から接触させて一緒に遊ばせるだとかあっただろうに。」

「ぐ……。すまない。」


 苦々しい顔をしてお父様が唸る。正直ここに関しては擁護できないからな。私が私、というか転生者でもなければ歪んでいたことは想像に難くない。えっ、今でも別方向に歪んでる?仕様だ、諦めてくれ。


 とはいえ現実としては私は転生者である。仮に両親が普通に愛情を持って接してきたとしても正直うざく感じていた気もするというのが本当のところだ。放置に近く傍付きのメイドや執事も面倒を嫌ってろくに関わってこなかったものの、逆に言えば私が望めば基本的に願いは叶えられた……一定の範囲内ではあるが金の力や権力の力を行使できたのだ。私としては自由に動けた分むしろ良かったとすら思える。そういう意味では私とお父様の関係はwin-winであったのかもしれないな。


「またしても「すまない」、か。謝罪の言葉に意味がないとは言わないがそうも乱発すると誠意が目減りすることは避けられまい。私として()()()()()()()を受け取りたいところだ。」


 とはいえたとえwin-winであったとしてもお父様に非があったことには変わりがない。ならば当然その分の()()を示すように要求するのもまた当然のことだろう。それにお父様にはバレているようだが、私はこの街を出ようと思っている。言ってみれば逃避行。ほんの少しでも援助が欲しいと思うのもこれまた当然のことだろう。


「……誠意、誠意か。そう、だな。……分かった。地下保管庫の中から一品だけならマジックアイテムを持ち出していい。好きなものを持って行ってくれ。」

「―――!ほ、本当かお父様!?」


 お父様の発言に思わず驚いて聞きなおす。マジックアイテムとはマジックな力を持つアイテムのことだ。……えっ、いくらなんでも説明が雑過ぎる?でもほら、これが一番わかりやすいだろう?だからこれで……駄目?では仕方ない、きちんと説明しよう。


 マジックアイテムとは一部の魔導師が死の間際に残す特殊な物品のことだ。理論的には死に瀕した魔導師がその力を譲り渡すために体内の生命力と魔力をうんたらかんたらとかあるらしいのだが、私にはいまいちよく分からない。マジックアイテムにはもっと注目すべき事柄が存在するからだ。


 それは固有魔法の使用。マジックアイテムに魔力を通すことでそれを遺した魔導師の固有魔法を行使することができるのだ。当然その魔導師が使用するよりも威力もコストパフォーマンスも悪くはなるらしいのだが、それでも他人の固有魔法を使用できるというのは極めて大きな利点である。例えその魔法があまり使い勝手が良くないものだったとしても、だ。


 それゆえにマジックアイテムは非常に高価である。それこそ個人所有ではなく街の資産という次元で。そしてこのアヴラパヴァンには結構多くのマジックアイテムが保管されている。それは吸血鬼という種族がほとんど魔導師に至る強力な種族であるということもあるが、それ以上に近年の敗北によりそれらのマジックアイテムがこの街に流れてきているというという面もある。あるいは人間(ノーマル)たちが攻めてきた理由にはこれもあるのかもしれないな。


 いずれにせよ、売って良し使って良しの貴重品だ。元から忍び込む予定ではあったのだが、正規の手段でくれるというのならこれに越した話はない。……しかしマジックアイテムを私に渡すとはどういう了見だろうか?これから戦争という時に戦力を削るとは。


「本当だ。……私はお前に何もしれやれなかったから、な。せめてこれくらいはと、そう思ったのだ。」

「ふむ、そういうことなら有難くもらっていくが、しかし良いんだな?あとでやっぱり返せだの交換条件がだの言われても断るぞ?」

「…………交換条件、か。」

「なんだ?やっぱり何かあるのか?」

「……交換条件、というわけではないが、一つ頼みたいことがある。」

「ふむ?」

「だがその前に……もう一つ二つ聞いておきたい。お前はどこへ行くつもりなのだ?」

「どこへ、ね。」


 正直な話お父様から漏れることを考えると誤魔化しておきたかったんだが、しかしどうにも真剣な表情だ。とはいえ具体的な場所やプランまで話すのは不味い、となると話してもいい程度を話すべきだろう。……まあそれでもかなり行き当たりばったりであるし本来なら街の移動なんてしたくはなかったのだが。


「ひとまずは東のメルマークだな。交易都市であり港もあるあそこならどこへ行くにしても動きやすいだろう。そこへ行くまでの道のりも西側と違って吸血鬼(ヴァンパイア)の受けは悪くないからな。」

「そうか、メルマーク……そうだな、西に逃げれない以上そこが最適か。……少し待っていろ。」


 お父様はそう言うと手元から便箋を取り出しさらさらと何かを書いていく。それから少しして書き終わったのだろうそれに封をして私に手渡す。


「これは?」

「メルマークの街にシエルーラという女性がいる。……きっと彼女なら力になってくれるはずだ。」

「ふぅん、至れり尽くせりだな。有難くもらっておこう。」


 また女性か、まったくこんな奴のどこがいいのだろうと内心いらっとしつつもその手紙を受け取る。……さすがに手紙を受け渡したらこいつは敵なので処分していいよ、とか書いてあってゲームオーバーとかはないよな?ない、はずだ。そういうことができるのならもうちょっと色々手が打てたはずだしな。そうなると交換条件の方か。私の予想通りの条件なら楽なのだが……。


「……で、マジックアイテムに加えて紹介状まで渡したんだ。交換条件はお父様にとって相当なものなのだろう?私に何を頼みたいんだ?」

「……フレリアを、一緒に連れて行ってはくれないか?」


 ふむ、予想通りと言ったところか。まあお父様としてはあの子はお気に入りだからな、外へ逃がしたいのだろう。それからフレリアちゃんのお母様もと言わなかったのも分からなくはない。あちらは人間(ノーマル)だからな、例え負けたとしてもそうひどい目には遭わないと考えたのだろう。だがフレリアちゃんはハーフ。人間(ノーマル)側でも吸血鬼(ヴァンパイア)側でも立場は悪い。今だってお父様の庇護があるからこそやっていけているのだからな。その庇護がなくなってしまえばどうなるか分かったものではない、親としては心配だろう。いやまあお父様の親としてのスペックは正直なところ赤点レベルだとは思うがな。


「それは構わないが……結局はあの子次第だぞ?さすがにこの状況で無理やり連れていこうとしたら時間が足りないし最悪共倒れだ。」

「……分かった。だが話はしてみてくれないか?こんな状況だ、あの子も否とは言わないだろう。」

「どうかな?まあ構わない。私としてもフレリアちゃんが着いてきてくれるのなら色々助かるしな。……とはいえ、だ。私たち姉妹は余り仲がいいとも言えないからな。お父様の方からまずは話しておいてくれないか?」


 ん?偉く素直に引き受けるじゃないかだって?そりゃそうだ。だってフレリアちゃん強いからな。来てくれるなら助かる。それに可愛いし、私が動けない昼間にも動くことができるしな。移動の当てはいくつかない訳ではないが、しかしこういう役に立つ存在はあればあるほどいいと相場は決まっているのだ。……まっ、とはいえ私は余り期待してはいないんだがな、フレリアちゃんが一緒に来てくれることに。


「……そう、だな。分かったそうしよう。」

「それから、多少の金子も支援してくれると嬉しいな。防衛で大変だとは思うがこちらも色々入用なのだ。」

「……待っていろ。」


 お父様は部屋に備えてある金庫を開き中から――――金の延べ棒!?金の延べ棒だと!?フィクションでしか見ないアイテムじゃないか!!うわー、うわー!?なんというか一回くらいは見て見たかったものを見ると思わず興奮してしまう。いいよな、金の延べ棒。なんというかお金持ちっぽさとか成金っぽさがある。成金というと嫌なイメージを持つ者も多いかもしれないが、私はそうではない。何故なら成金ということはお金持ちになる特別な何かを持っているということだからな。むしろお近づきになってその工夫を教えて欲しいくらいだ。元からお金持ちの場合だと参考にならないしな。それにお金を持っているという理由で嫉妬するのは成金に限らない、私より金持ってるやつ全員だ。


「これでどうだ?これならどこででも換金できるはずだ。」

「ありがとうお父様、心の底から感謝するよ。」

「お前……」


 私は満面の笑みでお礼を言うとお父様から金の延べ棒を受け取るとそれをハンカチで磨き、そして頬ずりする。あ~、いいなぁ、これが金の肌触りか。肌ざわりだけなら特に何かあるわけではないが……しかしそれが金の延べ棒であるということが私の精神を高揚させる。もしお父様がいなければ「うえっへっへっ」とだらしない声を上げていたかもしれない。そんな風に気分が良くなった私を呆れたものを見るような目で見つめるお父様。なに、これも教育の失敗という奴だ。つまりはお父様の責任、私は悪くない。えっ、前世?何を言っているんだ、前世なんてそんなモノがあるわけないだろう?


「さて、もう少し話をしていたくもあるがそろそろ動かないと不味いな。いくら大勢の移動……行軍に時間がかかると言ってもそろそろ到着してしまうだろう。色々ありがとう、お父様。おかげで助かったよ。」

「……………………ああ。」


 沈痛そうな面持ちで私の言に頷くお父様。やっぱりイケメンは憂いがあっても絵になるなぁ、とぼんやり思いながら部屋の外へとゆっくり歩いていく。カツカツという足音が部屋に静かに響く。最後だと思うと多少の名残惜しさも出てくるが……


 しかし逆に言えば私とお父様の関係は結局その程度でしかない。心を交わすやりとりなどほとんどなく、最後にこうやってちょっとしんみりとした空気を醸し出す儀式を行う程度。だがそれは仕方のないことだし、それにそんな関係でも私にとっては悪くはなかった。ゆえに後悔などはなく、清々しい淋しさをだけを感じていた。私は口角を吊り上げ薄く笑みを浮かべながら部屋のドアノブに手を掛ける。







「……その、なんだ。私が言えたことではない、が、幸せになってくれ。」

「ははっ、誰に言ってるんだお父様。他の誰が不幸に成ろうが私は幸せに生きるさ、これからも。」

「そうか、そうだったな……。」



 扉を開き部屋を後にする。その背後にいるお父様の顔は見えないが、それでも何故かこちらに向かって苦笑を浮かべているような気がした……。 

チートタグを付けました。

理由はめっちゃ再生力あってMPドレインしてくる吸血鬼とかクソゲーでは?って気づいたからです。

(固有魔法でクソゲー力がさらに上がります。)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新助かる。 [一言]  最近無職転生のアニメでパウロが下半身クズとか話題になってますけど、こっちの父親は下半身も他の性格もクズですね…。その癖いい人ぶってるからタチ悪い。
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