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預言者エルマの七転八倒人生! 破滅フラグは足音を立ててやってくる!  作者: 野良ぱんだ
閑話休題 それぞれの思い
20/20

宣教師ディビド4


そんな時だ、北領騎士団に依頼が来る。


ライゼンハイマー領北部の村に何かあったのか往来が無くなり音沙汰が無いので魔獣などに襲われて壊滅されている可能性があるので調べて欲しいとの事だ。


ディビドは嫌な予感がした、確か土着神をこっそり崇拝している筈の場所だ。


ライゼンハイマー侯は心の広い方で、預言者の産まれた地でもあるのに、トラウゴッド教以外の異教の神を崇拝する行為など弾圧もあり得るだろうが信仰に自由があるべきとそれを許している。


小さい村への依頼故、騎士達ではなく傭兵団の方にその依頼が回って来たのでディビドはそれを受け、村へ向かう事にした。


大概その様な土着神は悪魔である可能性が高い、それを知ってる力を欲している存在がいれば封印を解いて禁呪の書き板を手に入れるくらいやりかねない。


そうして村へ足を運ぶと凄惨な光景が目に入る。


小さな祠周辺に祭りの飾りがされているが、それは全て血に塗れ、人の肉が飛び散って腐臭がする。


祠を開けて確認すると封印式は破られ、禁呪の書き板も無くなっていた。


ここずっと雨が降らないため村人が困り果て、祠に奉られていた『水と風の神 フォロカル』のための祭りを行ったのだろう。


その際にフォロカルを目覚めさせる儀式を正確行った可能性があり、受肉した可能性が頭を過る。


祠から何か大きな蛇が張ったような跡が川まで続いているのに気がつく。


受肉し完全な姿であれば人型を保つはずだが、きっと不十分だったのだろう、きっと蛇のような魔物の姿で川へ向かい下流の人がいる場所で更なる生贄を得て完全さを手に入れる可能性がある。


ならば下流へ進み、不完全な悪魔を迎え撃つべきと判断し、悪魔が村が壊滅した旨を2つ手紙に書き留め北領騎士団とバーレのエルマの元に行くように術で操った鳥に結び飛ばす。


その後そのまま下流へ進み、オーバー湖と呼ばれる湖の麓へ着く、きっとここでフォロカルが潜み生贄を見つけたら喰らい尽くすつもりかしれない、と思い周囲を探る。


探索を始め二、三日経った頃だ。


高い木に登り双眼鏡で湖を一望しながら昼食代わりに用意していた硬い胡麻の入った塩味の強いビスケットを齧り水筒の水で喉を潤す。


ふと湖付近のある場所で貴族の姉弟が遊びに来ているのか釣りを始めている。


よく見るといつもと違う紺色のワンピースを着たエルマだ...偶然とはいえなんとも幸運...いや運命なのかも知れない、とディビドは思った。


「可愛らしいな...」


いつものローブ姿も悪くはないが普通のワンピースを着た少女の姿もなんて可愛らしいんだとついつい見やる。


一緒にいる少年は同じ色の薄緑の髪に顔立ちがそっくりだ、きっと弟なんだろうなと思う。


そう言えばエルマが里帰りで暫くライゼンハイマー侯爵家の屋敷に滞在していると言ってたのを思い出す。


微笑ましく見ているとエルマが何かに気がついて、弟や他の従者や護衛を下げさせ太腿に忍ばせていたロッドを取り出していた。


まずい、そう思って直ぐに木から降りてエルマの元へ向かう。


エルマの前に現れた大きな黒と赤の蛇のような魔物...いやあの禍々しさは悪魔フォロカルに間違いない。


エルマはフォロカルの攻撃をかわすがなかなか攻撃に転じられないようだ。


ならばと大急ぎで雷属性の高位術であるブリッツシュラークの射程範囲に入り、術式を組み上げ展開しフォロカルの頭に直撃させる。


今は術剣士ギディオンの姿をとっているため威力もイマイチだが、動きは止められた。


今の戦士の姿では精々ブリッツシュラークをあと3回、剣に雷の最高術式を付与させるなら2回が限界だ、この身を持って守りに行くかと思った瞬間、1人の神殿騎士が大剣を持ってエルマをフォロカルの攻撃から守る。


あれはマックスだ!きっと連絡で飛ばした手紙を見て此方に来たのだろう、偶然が続くのも驚きだが今はそう言って居られない。


物理のガードはマックスに任せてフォロカルの術の発動をブリッツシュラークでキャンセルをかける。


エルマが裁きの鉄槌をフォロカルに喰らわせるとよろめき暴れ出すため二本の剣に雷と風の最高術式シュトルムを付与させ尻尾を繋ぎ止めるため地面ごと貫く。


最高術式シュトルムは感電状態も引き起こすため水属性のフォロカルにはたまらない筈だ。


動きが止まったフォロカルにエルマは再度裁きの鉄槌を喰らわせるとその巨体は仰け反り倒れ、禁呪の書き板状態で湖に落ちる。


エルマは脇目も降らずに湖に飛び込み禁呪の書き板を水中から拾い上げ戻ってくる。


ワンピースはずぶ濡れで身体にピッタリ張り付いており、なんとも艶かしい体つきが分かってしまう、マックスに至っては顔を逸らしている、律儀な男だ。


何というか思った以上に胸が大きく安産型のお尻...いやいやこれはいけないと以前に編み出したずぶ濡れになった時に身体を乾かす術で乾燥させてあげた。


それにしても書き板を拾いに行くなんてなんて無茶な事をする...場合によっては悪魔が最後の力を使い封印式が展開され手を出すことが普通出来ないからだ。


しかしエルマは今それを持っている、さてどうしようと言ったその時にその書き板が粉々に砕かれた!


そう!禁呪の書き板が砕かれたのだ!中にある悪魔の心臓も消えてしまう。


その意味は悪魔を滅ぼす事ができる力そのもの、どんな人間も出来なかった偉業を成し遂げる力を持っているのだ。


なんて素晴らしい...預言者という立場にありながら偉ぶる事もなくこんなにも可愛らしく情愛に深い方なのに悪魔すら滅ぼせるなんて!そうディビドは興奮を隠せない。


やはり唯一の存在、大切な人だ!この方の為ならばどんなものにでもなれる、ディビドはそう思った。


その後、ライゼンハイマー宅でこの先起こる双翼戦争という内戦の話と自分自身の本来の立ち位置...エルマを倒しあまつさえ他の男共に陵辱される筈だったニュアンスの話を聞く事になる、ショックもあったがエルマがそんな酷い事をする可能性のあったディビドにも幸せになって欲しいと願っている事が嬉しくて仕方ない。


「...ああ...優しいですね...私みたいな人間に優しくしてくださる...ああ...やっぱりエルマ様は可愛い人ですねぇ...」


そう言ってディビドは跪き、エルマの手の甲に口付けする。


「再度貴女に忠誠を誓います...貴女の為ならばどんな者にでもなりましょう、貴女好みの...貴女の願う姿で...」


ディビドの幸せはエルマが与えてくれる愛だ、そして彼女は憎悪すべき悪魔を滅ぼす唯一の存在である。


ならば自分自身が彼女に与える事の出来る全て、彼女の望む姿を持ち彼女の思う行動を取り続けよう...そして命すら喜んで差し出そうとディビドは誓う。


エルマはその動作に顔を真っ赤にしてディビドを見つめる、顔を赤らめる姿も可愛らしいと思ったいたらマックスがエルマを軽々と持ち上げ横にスライドしてしまう。


職務に忠実というよりも嫉妬だろう、何故ならマックスもエルマの事を愛しているからだ、誰よりも共に近くに居る彼女の盾、いや忠犬のふりをする狂犬だ。


しかしエルマにとってはマックスに示す愛情は肉親の情と同じものしか持ってはいない。この数年で関係を見て弟としてしか見ていない事をディビドは理解している、哀れではあるが都合がいい...だからディビドはマックスを敵とは捉えていない。


エルマは禁欲的な修道士や神殿騎士と生活しているせいか、あまり異性に対して抵抗力が無い所がある。


ならば少しずつ異性として意識して貰いながら此方に気を惹いて貰えるようにすれば良い...。


寧ろジルヴェスター殿下の方が余程危険がある。


エルマ自身が怖がっている点も気になるが、あの美貌とカリスマ...禁呪の力を用いている件もそうだが、底知れぬ執着と劣情を持つあの目は嫌悪すら感じる。


いつか無理矢理にでも奪い取りに来るのではないかとすら思うのだ。



....夜更けの中、窓からエルマをじっと見つめながら思い深けて居た時、一羽の鳥が窓に止まる。


足に手紙が括り付けられている所を見るとディビド、いやギディオン宛に送られてきた北領騎士団からの手紙だろう。


窓を開けて鳥の足に括ってある手紙を取り、鳥に自由になる様に術を解く。


「...このタイミングでか...」


ディビドは眉を顰める、悪魔の討伐の件はすぐに北領騎士団に送ったのだが、入れ違いになったせいだ。


悪魔討伐のためにジルヴェスター殿下が筆頭になって北領騎士団の討伐部隊がライゼンハイマーに向かうという内容だったからだ。


ーーーーー

※ゲーム豆知識

術の種類

火、氷、雷、風、土の属性と無属性の6種類の属性がある。

攻撃で使うものはそれぞれの属性に下位術式と上位術式、最高位術式の3種類あり最高位クラスは無属性以外属性複合型。

属性に相性があるため得手不得手はどうしても出る。(炎得意だと氷がまるで駄目など)

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