表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

Land ship one.

作者: 織羽苹果

今、私は地獄にいる


この世の地獄に



ある時大きな音が聞こえ、大地は揺れる






無数の砲弾が降り注ぎ、地形は変わる






敵は目の前にいる


しかし、我々は一歩も前進することは無い


また、敵もこちらへ前進することはない


初めはお互い前進する事を目標とし、それを遂行するために突撃した


しかし、身を晒した者から無数の銃弾により、蜂の巣にされた。


例外はない。





お互いに前進する事を諦め、戦線が硬直してから一体どれ程の時が経ったのか、一体どれ程の人間が死んだのか、一体どれ程の弾丸や砲弾が消費されたのか。





私はそんな事を考えることは無い。





私はただ、毎日を生きているのは、上官から命令され、突撃して死ぬ事を待っている。


そんな気がしてならない


今にでも敵の放った砲弾が私に当たり、私の身体が木っ端微塵に吹き飛ぶかもしれない。


そうなったら、私が死んだ事を誰が証明するのだろうか。


私は、英雄になりたかった


昔祖父から聞いた戦地への憧れ


子供の頃本の中で知った騎士達


彼らのような英雄になりたかった


ただそんな事のため、何ら迷いもなくこの戦地へ赴いた。


英雄とは何だ


ナポレオンの様に自らが馬に跨り、戦地へ赴いた者か?


そんな英雄なんてもう存在しない




この戦いに、英雄なんていない。




こんな戦いに、英雄なんていない。




では、英雄になれない私は一体何のために生きているのであろうか


無価値な毎日を、ただただ生きている私


不衛生な泥で出来た塹壕に囲まれた毎日







そんなある日、敵が攻勢に出た


私は塹壕の中から少し顔を出し、外を見る


そこに向かってくる敵を見た


しかし、向かってくるのは人間じゃなかった







『鉄の塊』





鉄の塊が五つほど、ゆっくりカタカタと音を立て近づいてくる


「あれは……なんだ……?」


私の近くの兵士は今まで見たことの無い物を見て、戸惑っている


そんな私達に上官から命令が下る


あの鉄の塊を攻撃せよ、と





私は肩に担いでいた小銃を構え、敵を狙う


近くの味方兵士は機関銃の残弾を確認し、構える



撃て、と命令が下る



私達は鉄の塊に射撃を開始する




数多くの銃声が響く、そして無数の弾丸が鉄の塊へと向かっていき、命中する



しかし、その数多くの弾丸は弾かれ、鉄板を叩くような音が響き渡る



鉄の塊の左右に付いている砲が動き、こちらを向く



直後、大きな砲撃音と共に火を吹き



遅れて私の近くの機関銃が吹き飛ぶ



その機関銃を撃っていた兵士は上半身がなくなっていた



他の鉄の塊も違う機関銃に向けて次々と砲撃を行い、そのほとんどが撃破されてしまった。



「悪魔……」


私は悟った、戦争は変わってしまった



生身の人間があんな物と戦うようになったのだと







再び砲撃音が聞こえ









私の意識はそこで、落ちる






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ