表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
篠宮くんの相談室 0話  作者: 霧月 美瑠
2/2

篠宮くんの相談室

篠宮くんの相談室1


「失礼します.....」


入学してから1ヶ月たったある日の昼休み、私は職員室にいる先生にあることをお願いしに来た。私は一番奥の机のところまで行き、そこで仕事をしている人に話しかける。


「花野先生」

「ああ、篠宮くんか。どうしたんだい?」

「実はお願いごとがあるのですが」


話しかけたのは花野先生。私の担任で、もう少しで定年退職してしまうおじいちゃんだ。


「いいよ。言ってごらん」


花野先生は、椅子を回転させこちらの方を向く。


「旧校舎の空き教室を使わせていただけませんか?」





これが、篠宮くんの相談室の誕生である。





「旧校舎の?新校舎じゃだめなのかい?」

「はい。新校舎のように、コンクリートではなく、木造建築のあの旧校舎だからこそいいのです。だめですか?」

「んん.....少し待ってくれないか」


花野先生はそう言うと机の引き出しを開け、中からファイルを取り出して何かを確認していた。


「いま、旧校舎の管理をしてるのは校長先生なので、校長先生に直接話をした方が良さそうですね」

「校長先生ですか、わかりました。ありがとうございます」

「どういたしまして。校長先生には私から話をしておくから今日の放課後にまた職員室に来てくれるかい?」

「はい。放課後また伺わさせて頂きます。それでは失礼します」


私は花野先生に挨拶をしたあと、職員室をあとにした。


「どうだった?」


教室に戻ると一人の男が話しかけてきた。


「まだわからないって。なんか、校長先生が管理してるから校長先生とお話することになった」

「そうか。それは放課後か?」

「ああ、成夜も一緒に来るか?」

「特に予定ないからついてく」

「わかった」


話が終わったのを合図にかちょうどチャイムがなる。


「それじゃ」

「ん」


別れの挨拶をして成夜は自分のクラスへ、私は自分の席についた。

それから、5時限目、6時限目が終わり掃除をしてSTが終わり放課後となった。花野先生には、先に職員室に向かってもらっている。


「お待たせ」

「よし、行こうか」


成夜がきたので、職員室に向かうことにした。


「「失礼します」」

「お、東雲くんも来たのかい?」

「はい。篠宮と俺で旧校舎の空き教室を使わせてもらうつもりなので」

「そうかいそうかい。それじゃあ行こうか」


私と成夜は花野先生に連れられて校長室に向かう。

校長室は、職員室のすぐ隣にある扉の奥にある。

花野先生とは、扉の前で少し話をしたあと別れて私達は奥へと進んだ。

奥では机に腰をかけ、本を読んでいる校長先生がいた。


「お、来たね」


校長先生は私達が来たことに気づくと本を閉じて私達を手招きした。


「失礼します。」

「うむ。話は聞いてるよ。旧校舎の空き教室を使いたいんだって?」

「はい。」

「どうして、旧校舎の空き教室なんだ?新校舎でもいいだろう?」

「いえ、旧校舎だからいいのです」


校長先生はそばにあるソファに腰掛け、私たちも座るように合図する。

私と成夜がソファに座ると話を再開した。


「ふむ.....あそこは管理が行き届いておらず、一部床が腐っていたりするところもあって危険だ。教師としては立ち入りを禁止するべき場所だ。そのことを知ってる上で話をしに来たのだろう?」

「はい。私と成夜.....東雲の二人で空き教室を改造して危険性を減らし、過ごしやすい空間にしようと思っています」

「改造.....?」


私の言葉に疑問を持った校長先生が言葉を繰り返す。

それに、成夜が答えた。


「改造、と言うと語弊があります。言うところの大きな模様替えと思ってください」

「ほう。それは二人だけでするのか?」

「はい。.....いえ、二人だけではなく私達の知り合いにも手伝ってもらいます」

「知り合いとは?そこに専門の人たちはいるのか?」

「はい。様々な専門分野の方々に手伝ってもらいます」

「ふむ.....。私達は親御さんから生徒を預かっている身だ。あまり危険なことをさせることは出来ない」

「はい。わかっております。ですが、」

「ああ。篠宮と美峰に両親や兄弟はいないことは知っている。だが.....」


校長先生は顎に手を当てうーんと声を唸らせる。

そこに成夜が口を開いた。


「校長先生、作業工程は見せることは出来ないのですが、完成してから校長先生に見せること、また校長先生が私達の監視役となって私たちを見張っていれば周りにはあまり悪く思われないと思いますが」

「そうは言ってもだな。私も私の仕事があるのだ。そこまでまともに監視出来ない。第一、私が頻繁に旧校舎に出入りしてたら不自然であろう」


成夜はそれを聞いて少し黙ったので私が変わりに口を開いた。


「ならば、私達が模様替えした教室を部室として使わせてはいただけませんか」


この提案に成夜は隣で驚いていたがすぐに納得したような顔をした。


「部室?」

「はい。そして、指導を校長先生、貴女にお願いしたい。そうすれば、私達の監視をすることもでき、それが部活動のために部室に行くとなれば怪しまれることもなくなります。」

「それだと、君たちが何の為に旧校舎の空き教室を借りるのかがわからないぞ。新校舎ではできず、旧校舎でしたいこととなれば、皆から隠れてしたいことではないのか?」

「いえ、別にそういう訳では無いので周りに知られても問題はありません」

「そうか.....。少し時間をくれないか?今すぐ答えれるようなものではないからな」

「「わかりました」」

「そうだな.....明後日の放課後にまたここに来てくれ」

「はい。そうさせていただきます」

「失礼します」



こうして、交渉は終わった。

あとは結果を待つのみとなった。




その夜、私の家で成夜と模様替えを手伝ってもらう方達で集まっていた。




続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ