4.魔法
戸が開く。
金髪髭面の巨人が入ってくる。
そう。巨人だ。
でけええええ!「ピッ!」
あ、やべ。思わず声が。
あら、目が合いましたね。
はじめまして、ひよこです。
名前はありません。
『クケェーッ!!』
おお?
なんだ?パパンが巨人に襲いかかったぞ?
あ、軽くあしらわれてら。
そりゃそうなるよね。
なんでパパンは襲いかかったんだろ?
・・あ!
我が子(俺)を外敵(飼主)から守ろうとしてくれたとか?
なにそれ。
パパン、男前過ぎるんですけど。
その漢気にどう応えればいいのさ!?
って、やべっ!
いつの間にか巨人の手が迫ってきてるし!
ちょぉおおお!「ピィーーー!」
捕まるぅううう!「ピピィーーー!」
はい。捕まりました。「ピ」
パパンの追撃虚しく、あっさりと掴まれましたとも。
ごめんよ、パパン。
コミュニケーションとれないとかナマ言ってすみませんでした。
パパンの熱い想いは確かに受け取ったよ!
俺、パパンの子供であることに誇りをもって生きていくよ!
で、飼主さんよ。
どこに連れて行く気だい?
親子を離ればなれにさせてどうしようってんだい?
ああん?
・・これはいかん。
パパンの件で少々感情的になっているようだ。
落ち着け、俺。
そう、Be cool.
よし、落ち着いた。
ていうか、英語合ってるか?
正解をググれないモヤモヤが・・。
ええい、そんなことを気にしている場合ではない!
現状、捕獲されているのだ。
身動きもできない。
出来ることは?
そう、情報収集だ。
判断する材料が無ければ、行動も出来ぬ。
幸か不幸か、小屋の外には出られたのだ。
周りを、見渡せ。
う〜ん、中世ヨーロッパ風?
いや、良くは知らないけれども。
少なくとも日本じゃなさそうだし、現代でもなさそうだ。
飼主がまず金髪の白人さんですもの。
電線も機械も見当たらない。
建物は石材や木材で構成。平屋ばかりだ。
そもそも建物が少ないのだが。
雰囲気的には初夏のように感じるが・・
季節はあるのか?
あ、牛発見。馬もいるな。
何やら騒がしい建物があるな・・ん?
鶏じゃありませんこと?
養鶏場?8羽だけか?
あ、ひよこエリアもある。2羽か。
目的地はここですかい?
はい、放り込まれました。
よろしく、ご同輩達。
いや、俺昨日生まれたっぽいし先輩かな?
兄弟の可能性もあるな。
なんにせよ、よろしく。
仲良くやろうぜ。
等身大のひよこって、ちょっと怖いけどな。
・・ん?
何やら飼主が呟き始めたぞ?
!?
なんだ!?
ゾクっとしたぞ!?
飼主の手に・・何か集まっていく・・?
水・・か?
水の玉ができていく・・。
嘘だろ・・?
え?
・・魔法?