9 ルベトの森 (パッパジャマ) 【3娘視点】
ルベトの森に入る日の早朝 ルベトの町のある宿屋の一場面。
「あ。。ありのまま見たままを言うぜ?」
何を言うつもりだ、アリッサよ。
昨夜寝る前に、宿屋の女将さんから聞いたルベトの町で評判のおいしいパン屋さんへパンを買いに行ったアリッサが信じられないものを見たと言って宿屋に帰ってきた。
まだ、日が昇っていない時間からでもこの町のパン屋さんは開いているのだ。
冒険者の人が買って行くし、仕事に行く人が買っていく。
私達も、早い時間にギルド前に行く予定なので、こんな暗い早朝からジャンケンで負けたアリッサが買いに走ったのだ。
手には、焼きたてのパンが何個も入っている袋が見えたので、パンは買ってきたみたいだ。
エルザと私は、何を言うのかよりもパンが気になる。
とりあえずパン寄こせ。
焼きたての言い匂いがしているじゃんか。よし、うちの領地で作成している、このバターをつけて、さらに私の手作りのとっておきの山イチゴのジャムもつけよう。
さあ、そのパンを寄こすのだ。
そういう意味で両手をアリッサに出すと。
「ありのまま言うぜ?」
「まだ、それ続けるの?」
しかたがない、聞くまでパン寄こさないつもりなのだろう。
聞いてやろうじゃないか、いや、食べながら聞こう!
そうだ!食べながらだ!
「わかったわかったパン食べながら聞くわ。」
ジャムとバターをつけて三人でパンに噛り付く。
ハム!
もぐもぐ・・・・・
うん、外がパリパリで中はまだあったかくって美味しい。
こっちの世界のパンはパリパリで、スープや、お皿に残ったソースをパンで拭って食べるので。そんなに味がしなくて乾燥してる。
あと、長持ちするために、かな~り硬い。
このパンも、ソースを拭ったらもっと美味しいと思う。かなりソースを吸ってくれそうだしね。
一杯買ってきたので、イベントリバッグに残りは入れておかないとね、とか思ってたら。
お腹にパンを入れて落ち着いてきたアリッサが語り始めた。
あ、うん、語るんだね。
パンで忘れそうになっちゃってた。
「あ、ありのままを言うぜ?
私、パン屋に向かってこのルベトの町を歩いていたんだけど。」
そこでアリッサが、パンをまたカジリ、飲み込んだ。
「私が歩いているかなり後ろのほうから、
何人もの足音が聞こえてきたの。 そしてその足音は私に向かって進んでくるの。」
俯きながら、アリッサが呟くように語る。
「しかも、近づいてきて分かったんだけど、ハーハーハー言いながら近づいてくるの。」
変態さんだね。
うん変態さんだ。
「暗い道だし、何かと思って。
でも、勇気をもって後ろを振り向いたら。
遠くから、男たちが走ってくるの、目をギラギラさせて。
どんどん近くなるの・・・・・・
そして、等々その男達軍団の姿が見えてきたら。」
ゴクリとパンを飲み込んだ私とエルザ。
どうなの?その軍団は?
「目を疑ったわ、信じられない姿だったの。
全員 寝間着姿だったの!一人普通の姿っぽかったけど、上半身裸で下だけ寝間着姿もいたわ。」
アリッサは、目を見開いて私とエルザに詰め寄った。
「「・・・・・・・」」
なにその軍団。
変態で寝間着姿って・・・
「ゼエゼエ、ハーハー言いながら、走ってるの。
暗いこの街道を。ねえ この町今日何かおかしなことでもあるの?怖いわ・・・」
そういいながら、3つ目のパンたべてるじゃんか アリッサ!
しかし パジャマ姿の男軍団ねぇー。
まあ、うちらには関係ないでしょ。
「笑い話のネタが一個増えてよかったじゃんか、まあ、そう言うことにしておいたら?」
適当なことをいってアリッサに4つ目のパンにジャムを大量に塗って渡した。
このジャムでパジャマ軍団によるストレスを流すのだ!糖分が効くはず!
そんな軍団二度と会うことなんて無いんだからと、私は思っていた。
ルベトの町冒険者ギルド前に10数人程度集まり笑顔で歓談していた。
その中の一人冒険者ギルド窓口のルーニーがこちらの集団に近づく3人組に気づいた。
一人は真っ赤な炎が身体を覆う鎧を纏い、炎なのかマント見たことも無いマントを靡かせ。
一人は真っ青な軽装備の腰に冷たそうな冷気を持つ魔剣を二本佩いて。
一人は真っ白なローブを頭から脚まで包み、自身の身丈よりも長く上に丸い円形のリングのある杖を持ち。
3人に共通していることは、顔が見えないように仮面をつけていることだ。
だが、その三人は仮面の下でこんな会話をしていた。
「ねえ・・・赤・・・ あそこにいる男軍団の半分がパジャマ軍団なんだけど?」
「ふぉ?え?まじで?」
まじか?え?私達の運び役さん達、この町をパジャマ着て走り回る人たちなの?
「・・・・パジャマが普段着じゃないみたいね・・・・パジャマ着てないしね。今は。」
どうすっかな。
寝間着姿でルベトの町を走ってた人たちを雇ったのか私は、
ため息しか出ないわ。
「赤殿、おはようございます。依頼された件の皆です。」
ルーニー殿よ、そこで胸はってるけど、その人たち 寝間着姿で町走ってた人達らしいね?
私依頼にパジャマ着用とか書いてないよね?
「おはよう、ルーニー殿、そちらの皆さんが今回の?ありがたい。皆さん急な依頼で悪いがよろしく頼むよ。」
前世の日本文化として、礼儀はちゃんとしないとな。あと方便も・・・
あうううううアリッサの目が痛い。
仮面つけてるけど、その下からくる目が痛いよ、ママン。
ああ、ママンに会いたいわ、次の休みは実家に帰ろう。
ルーニーが紹介をする為に、10数人を振り向きながら満面笑顔の肉屋の親父をまず前に出し、次に道具屋そして持ち運び役の息子達を順番に紹介をしていき、最後に森の案内係は自分がするって言った。
堅苦しいあいさつも、終わった。
よし!聞きたいんだ!
なんで 寝間着姿で町走ってたんだ?
なんて聞こうか。
そう思っていたら。なんかギルドの入り口から少し離れた所から、こっちをめっちゃ見てる冒険者PTがいた。
何だ?っとおもっていたら、ルーニー殿がニマニマ笑った。
肉屋の息子のベルガドもニヤリと笑った。
「いや、あいつら、今回の依頼受けたかったんだろうなって思うと、」
そういって、道具屋の息子ネルソンがクックックと笑った。
「叩き起こされて、ギルドまで走った俺らの勝ちだよな!」
肉屋の従兄達が楽しそうにぎゃはははと笑った。
「しかも、寝てた姿で走ったんですよ!俺達!」
「俺なんか上着てないのに、ベルの兄貴に起こされて、うちの親父に蹴られて上何も着てないのにココまで走ったんだぜ?」
「そうか!叩き起こされて走ったのか!」
青が、すごい剣幕で話に飛び込んできた。
よかった。さっきまで青と白がすっごい遠巻きになってこの軍団に近づいてこなかったから、これは、今回の冒険厳しいかもって思ってたよあたしゃ。
アリッサもエルザもいいところのお嬢様だから、実は、野良PTは初めてなんだよね。
アリッサは、さっきまで変態とはPTしたくないオーラ一色だったからね。
しかし、この男達今回の依頼の件を遂行するために町を寝間着(半裸)で走るほど燃える意欲があるし、今回いい肉を持って帰れそうだわ。
しかし、今日ルベトの町で何かあるのかしら?って朝思ったが。
私達がおこしてたのか、
仮面の下でニヤリと私も笑っておいた。
今日本では、インフルエンザが流行しております。
毎日の手洗いウガイ、そして!そして!
早めの病院来院をお勧めいたします。
ゲフンゴホン・・・
ああ、熱があるときに食べるミカンは、おいしいです。
次からは、熱が出たら即病院にいきます。。。。。。(TwT)ノ




