表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/39

9 ルベトの森 (肉屋の親父)

夜明け前、ルベトの町冒険者ギルド窓口受付兼登録冒険者支援係ルーニーは、ルベト町にある唯一の精肉屋へ向かっていた。

冒険者 赤から依頼されたブックルの血抜解体を依頼する為だ。


明かりの点いている精肉屋の裏口から顔を入れてルーニーは大きな声で中の人に言った。

「悪ぃ、じゃまするぞ、ファガドの親父は?」


中にいた、肉屋の長男ベルガドがルーニーを見て少し驚きながら答えた。

「あれ?ルーニーさん、こんな早朝にどーしたんです?親父なら今飯食ってるよ?」

「すまんが親父呼んでくれないか?」


「でけえ声で朝っぱらから、なんだ?ルーニー 奥まで声が聞こえたぞ、一日の初めの飯食ってる時に、、、、ったく。そろそろ坊主を抜けて大人になったと思たんだがな、お前まだ餓鬼だろ。」

奥から、頭の髪が白髪になりお腹も出て肉屋という風情がぴったりの親父が出てきた。


「ったく悪かったな餓鬼みたいな大声だして、今日はギルドに急な依頼があってファガドの親父にどうしても受けてもらいたくて来たんだよ。」

「ああ?依頼?」

「ああ、急なんだが、今日なんだが、ブックルの血抜き作業と解体作業だよ。」

「んなもん、そこいらの冒険者共にやらせたら良いだろう、誰でもできるだろ。町の男なら」

「腕のいい奴って希望なんだよ。」

「なんだ?そりゃ。」


ニヤリとルーニーが笑う。

「それがな、今回の依頼はなんとあの冒険者赤殿だ!!!!」

「なにいい!!!!!赤殿ってあの?!」

肉屋の親父が大きな声を上げる、店の中にいたほかの従業員らしい男達も「赤殿だって?あの?冒険者?の?賭けの?」と声を出す。ここでもやはり、賭けをしていたらしい。


「おう!そうさ!しかも、今回の依頼はすごいぞ!

赤殿とその仲間2人が護衛についてブックルの生息森奥地まで行ってブックルをなるべく無傷で確保だ!持ち運びを今回した奴等に内臓、毛皮は、報酬だ。

しかもな!ここからがファガド親父に頼む訳はな!

なんとブックルの興奮状態を覚まさずに治癒魔法を掛けながら、この町まで持ってくるんだ!」


「なんだと!そりゃあ!おい!内臓は?報酬って持ち運んだ奴がもらえるのか?」

「ああ!今回赤殿は、血抜きを完璧にした【興奮した旨いブックルの肉】を手に入れたいと言っててな!まあ内臓は親父が欲しがるなっていったら、それは親父と持ち運びした奴等で話せばいいって言ってるし。内臓が高価なのは知ってるが要らないんだと、今回は肉がどうしても欲しいらしい。何か理由があるみたいだが、聞いてねえな。」

「血は?」

ファガド親父の目が光る。

ルーニーが笑顔で

「血も要らないってさ、報酬で持ち運びした奴等いきだ。」


ブックルの内臓と血などは、薬品加工できる為高価な値段で取引される。

ブックルはそんなに貴重な野獣では無いのだが、ブックルが生息している場所があまりにも森奥。

そして、体も大きく、持ち運ぶのが大変で内臓と要らない部分を捨てないと大の大人でも2人でぎりぎり運べる重さなのだ。

しかも内臓は持って帰れない理由が、血の匂いがすごく強いのだブックルの内臓と血は、そのため森から出るまでの間に他の肉食野獣が襲い掛かってくるのだ。それは大量に、そのためブックルを狩った後は、内臓などは深い穴を掘って埋め、持ち運べるだけの肉を持って帰還するのが一般的な狩となっている為、内臓と血と毛皮が手に入るのは本当にまれなのだ。しかも今回は興奮したブックルをそのまま治癒しながら運んでくる。興奮した状態で血を抜けば、その血は一番高価な素材になるのだ。気絶したブックルの血とは、まったくの別物になる。また興奮したブックルの肉もまったくの別物になる。


「おい!運び役は決まったのか?」

ファガドがルーニーに詰め寄る。

「まだだ、まだ日も昇ってねえし、こんな夜明け前で誰もギルドの依頼ボード見てないぞ。見習いクラスでも可能で6人募集してる。護衛が強いから持ち運ぶことができるなら誰でも請けれる。」


聞いた後勢いよく、後ろを振り向きものすごいでかい声で叫ぶ肉屋のファガド。


「ベルガド!!!今すぐギルドで依頼請けて来い!必ず6人集めろ!他に渡すんじゃねえぞ!」


「ああ、もちろん!俺とあと従兄達つれていってくる今直ぐ行ってくるな!運びの準備親父たのむ!」


そう言うと、肉屋の長男ベルガドはエプロンを脱ぎ、早足で裏口から出て行った。

外に出ると駆け足でまだ真っ暗な裏通りを走り始めた。

6人全員こちらの仲間で埋めたら、内臓と血は報酬で肉屋の手の中にくるのだ。

冒険者ギルドには町のものなら誰でも登録しているが、町人は、魔術もそこまで強くなく武器を持ってもそこまで強くない為、ギルドランクは上がるのは難しいが冒険者ギルド登録は犯罪者でなければ誰でもできる。身分証明の為にギルド登録する者はこの世界には大勢いる。

しかも今回見習いでも可能で、ランクの低い者では、仲間を組んでも入ることができないルベトの森の一番奥のブックル生息地まで強豪の赤殿の仲間達がいる。


代理で受けることは冒険者ギルドは出来ない、本人達がギルド窓口にいく必要がある為、ベルガドは走るしかない。従兄の家をたたき起こす為に。



「おーい!かーちゃん! ベルガドが森に持ち運び役するからな!あいつと従兄ら坊主の森に入る準備出しとけ!今日は店昼前には閉めるぞ、包丁と血抜き用ナイフと大鉈研ぐぞ。中庭でやるから中庭片付けとけ!大鍋大樽をたくさん用意しないとな、おう、ルーニーありがとよブックルの解体は任せとけ。血も一滴も残らず血抜きしてやるよ。」

ニヤリと笑う

「たのんだぜ、俺はギルドもどるな、赤殿が朝一でくるしな、運び役も、ほぼ決まったしな、他の店へは親父頼んだ。」


「おう道具屋と薬草師にも来てもらわんとな。」



夜明け前に静かに開店準備していた精肉店が騒ぎだす。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ