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第3話 秘めた思い

「ふぅ………」

私はパソコンの電源を切り、布団の中に入る。



私の名前は、月島 楓(つきしま かえで)

最近あるオンラインゲームにハマっている。

このゲームを始めたのは、つい最近のことだ。

今日はその話について少し語ろう。




「楓先輩って、ホントもてるよねぇ~」

「なんでもできてすごいよねぇ~」

そんな声が聞こえてくる、

違う

本当の私はこんなではない。

本当の私は、

本当のワタシは・・・・・・






私の家は昔から礼儀や作法に厳しく、少しでも逆らえば罵声を浴びせられた。

だから、わたしは本当のワタシを隠して、ずっと仮面を被って生きてきた。

――受動――

ひたすらに、受動的だ。

最近では本当の自分はどっちなのかもわからなくなってきた。

だけど自分ではソレを知ることが出来ない。

そんな自分を忌み嫌っている。

私の受動は、多分そのままの『弱さ』なんだと思う。

強弱とは相対的なもので、かつ流動的な現象でもある。

けれど、

要はまとめて、『私』と云う人間は、虚弱なのだ。

強く出られると逆らえない。

痛みには抗えない。

恐怖には耐えられない。

心は酷く臆病だ。

臆病だからこそ、本当のワタシを親のいない学校でさえ隠そうとする。

人に拒絶されるのが怖くてずっと仮面を被り生き続けている。

いったい私はこの『弱さ』をどうするべきだろうか。

人は急には変われない。

簡単に強くなどなれるはずもない。

だから、弱さと決別するなんて出来るはずがない。

なら、私には一体何が出来るのだろうか。

そんなとき、私はこのゲーム出会った。



「ねぇ、MSOって知ってる?」

そんな声がクラスの中から聞こえる

MSO……?

「あぁ~ 知ってる~ 今流行ってるオンラインゲームでしょ~?」

なんだ、ゲームか・・・・

ちょうど昨日自分の部屋にパソコンが設置された。

勉強に使うためと、親に頼んで何とか買ってもらったものだ。、

オンラインゲーム……





私は学校が終わるとすぐに部屋に入り、MSOについて調べた。

MSOとは、総人口は500万人を突破している、人気オンラインゲームで、

仲間と一緒に狩りをしたり、友達と話たりとよくありがちなゲームだと思った。


しかし私はこの仮想の世界という言葉にどうしようもなく惹かれた。



ここなら、


本当のワタシをだせる場所なのではないか?と思ったのだ。

気がつくと手が誰かに操られているように動いていた。

親が家に帰ってくるのはいつも9時ぐらいだ。

今は5時。

私は早速ゲームを開始した。





MSOへようこそ!!

という文字が画面に出てきて、ややこしい説明が延々と続いた。

キャラの名前は本名のカエデと名付けた。

私はとりあえず、右も左もわからない状態で、はじまりの森に入ると、

私と同じ初心者プレイヤーらしき人影を見つけた。


その時、私の心臓が大きく震えた。

ここが、私の変わる瞬間だ。


私は勇気を振り絞って話しかけた。

「あの、すいません、私と仲間になりませんか?」


しかし、相手からの返信は20分以上待っても返ってこなかった。


恥ずかしさと、拒絶された心の動揺から、町をでていた。

気がつくと知らないダンジョンに迷い混んでいた。


そこにいるモンスターはとても強そうで、私は逃げようとするが、後ろにも敵がいて囲まれてしまった。

「なんなのよ・・・・」

自然と声が出る、

やっぱり、オンラインゲームのなかでも本当のワタシにはなれないのだろうか?

そんなときだった。







「―― 大丈夫か?―― 」

そんな声とともにつぎつぎとモンスターが倒されていく。

「お前はまだ初心者じゃないか、どうしてこんなところにいるんだ?」


この人は私に話しかけているのだろうか?


私が茫然としていると、彼は言葉を続けた。

「俺の名前は、アキヒサ、実は俺も2ヶ月ぐらい前に始めたばかりなんだ。

よかったらはじまりの森まで行くか?

お前にここはまだ早すぎるぞ、」


そういわれて私はようやく、恩人に話しかけた。


「あの、ありがとうございます、私の名前はカエデっていいます。」


私がこのオンラインゲームを始めてようやく、会話することができた瞬間だ。



それから、彼にはじまりの森に送ってもらっている間にいろいろなことを教えてもらった。

アイテムの使い方や、穴場の狩り場などなど・・・

そんなことをしていると、見慣れた人影が見えてきた。

反射的に顔が暗くなる。

さっきの無視をされたプレイヤーだ。


私は彼にさっきのことを話すと彼は笑った。

「あれは運営が作った人形みたいなもんだよ。NPCっていうんだ、だから無視されたわけじゃないよ。」


私は事態を飲み込んだ時、顔を真っ赤にしてうなだれた。


彼は「それじゃぁ、そろそろいくから」

といって、出発の準備を始めた。



このまま黙ったままではいけないと思った。

心臓の音が、鼓膜を揺らす

ドクン・・・・ドクン・・・・

言わなきゃ……









「あの・・・・!! 私と仲間になりませんか!!!?」

自分でも声が震えているのがわかる。

すると、彼は即答した。

「いいよ」





それから、私は彼とよく学校が終わった後に一緒にゲームをするようになった。

言葉使いも、彼の前だと少しずつだけど、変わっていった。

けれど、彼は気にせず、受け止めてくれた。

「本当のワタシ」を、

今までずっと自分の奥に秘めていた自分をさらけ出せる場所ができた。

その胸の喜びと同時に

今まで感じたことのない、胸の高鳴りに私は少しずつ気づき始めていた。



感想とかあればよろしくお願いします。



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