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緋鷺 SCARLET HERON 【SHADOW EXTRACTION】  作者: 詩野忍


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Case I:砂漠の虜囚 −Long Vol. −

主要登場人物

佐藤さとう 美和子みわこ

日本国初の女性内閣総理大臣。52歳。

理知と沈黙を武器にする政治家

冷徹に見えて

その本質は誰よりも

「見捨てない」

人間である

鈴木すずき 遥香はるか

作戦指揮官。41歳。

元陸上自衛隊特殊部隊

寡黙で精密

感情を表に出さないが

部下の命を自分の命より重く見る

大野おおの 彩花あやか

副指揮官。35歳。

作戦統制と状況判断に優れる

遥香の右腕であり

唯一

彼女の沈黙の奥を読むことができる

高橋たかはし 怜子れいこ

情報・諜報主任。36歳。

元公安系

冷たい美貌と観察眼を持ち

感情に流されない

しかし胸の奥では常に

「遅れたら人は死ぬ」

と自分を責め続けている

伊藤いとう 香織かおり

狙撃・前衛制圧担当。33歳。

寡烈で直線的

怒りを抱えて戦う女性

任務中は機械のように正確だが

人質への暴力を見ると理性が揺らぐ

斎藤 あかり(さいとう あかり)

戦闘医療担当。29歳。

元外科医

血の匂いの中でも手を震わせない

命をつなぐことに執着する一方

自分が救えなかった命の記憶を抱えている

松本まつもと はるか

電子戦担当。31歳。

寡黙な天才技術者

冷えた指先で情報の海を泳ぐが

現場に出るたび

自分の一秒の遅れが誰かの最期になると知っている

小林こばやし 美緒みお

偵察・先導担当。30歳。

気配を消すことに長ける

足音ひとつなく闇を進む女性

砂漠でも都市でも

彼女は“最初に死地へ入る者”だ

渡辺わたなべ 奈美なみ

工兵・突破担当。32歳。

扉を開ける女性

閉ざされた場所

封鎖

障害物

そのすべてに対する執念を持つ

豪胆に見えて

母への電話を毎回任務前に消去できない

加藤かとう 由美ゆみ

心理分析・交渉担当。34歳。

人の壊れ方を知り

人のためらい方も知る

敵にも物語があると理解しているからこそ

引き金を引く直前の目を見逃さない

佐々ささき めぐみ

航空担当。28歳。

ヘリ操縦士

もっとも若い

空の上では静かだが

地上に残る仲間を置いて離脱する瞬間を何より恐れている

山田やまだ 恵子けいこ

外務省中東アフリカ局外交官。38歳。

今回の救出対象

知性と責任感で現地を支えてきた女性

拘束され

衰弱しながらも心だけは折れていない

アミナ・ハサン

武装組織「新カリフ国戦線」現地指揮官。32歳。

元女性部隊指導者

家族を失い

憎悪で立ち上がった女性

敵でありながら

どこかで救われ損ねた人間でもある


国は

いつ国であるのか

領土を持つときか

軍を動かすときか

法律を執行するときか

違う

と佐藤美和子は考えていた

国とは

最後に誰かの名を呼ぶ存在だ

切り捨てるのではなく

たとえ闇の向こうに消えかけた一人であっても

その名を呼び返そうとする意志のことだと

彼女は知っていた

二〇二六年

日本国は初めての女性内閣総理大臣を得た

就任演説で彼女は

華やかな未来を語る代わりに

静かな声でこう言った

「影の中で人を守るのは

  力ではなく絆です」

多くの国民は

その言葉を理想主義だと思った

だが

その言葉は宣言ではなく

すでに始まっていた体制の輪郭だった

総理直属

閣議了承不要

非公然

非公表

非存在

海外で危機に陥った邦人を

同盟・非同盟国の区別なく

救い出すための即応部隊

構成員は全員女性

戦闘格闘

諜報

医師

心理分析官

工建爆設

電子戦

操縦

通訳

彼女達は

国家にとって都合の良い象徴ではない

汗をかき

傷つき

恐れ

祈り

そして

任務へ向かう

生身の人間たちだった

その最初の本格任務が

シリア北東部で発生した

邦人外交官、山田恵子

拉致。

敵は

国家の外側で国家のように振る舞う武装組織

現地政府は機能せず

同盟国も動かない

動画には処刑予告

残された時間は

七十二時間

午前二時三十八分

首相官邸地下指揮室で

佐藤美和子はたった一言だけを告げた

「緋鷺 Scarlet Heron、始動」

その瞬間

十人の女性が

砂と火薬と沈黙の中へ歩き出した

撃つ者の指先

救う者の掌

待つ者の沈黙

奪われた者の呼吸

一秒ごとに

心拍が増していく

 −Long Vol. −

 Case I:砂漠の虜囚

 『緋色の鷺は砂塵に舞う』

 DESERT ROSE EXTRACTION


第一章

02:38 — 首相官邸 地下指揮室

夜というより

すでに世界のどこかの朝と

重なり始めた時間だった

だが地下三階の指揮室には

時計の概念だけが存在し

外の空の色は意味を失っていた

スクリーンに映っているのは

荒い圧縮ノイズに汚れた動画だった

鉄の椅子

裸電球

コンクリートの壁

そして

中央に座らされた一人の女性

山田恵子

頬骨の下に殴打の痕

唇の裂傷

乾ききった髪

だが

その目だけは

まだこちらを見ていた

「見ている」

というより

「渡している」

に近い

この映像を受け取った誰かに

何かを託そうとしている目だった

画面の右隅で

アラビア語の声明文が流れる

新カリフ国戦線

七十二時間以内に要求が満たされなければ

処刑

要求はなかった

つまりこれは

取引ではない

見せしめだった

会議卓に並ぶ面々は

全員が言葉を選び損ねていた

防衛省は作戦空域の複雑さを

外務省は外交余地の乏しさを

情報当局は介入失敗時の波紋を

それぞれが正しい理由を持ち寄った結果

ただ一つの結論だけが宙に浮いていた

誰も動けない

佐藤美和子は

最後まで画面から目を離さなかった

彼女の右手は机の上に静かに置かれたまま

指一本動かない

だが

その静止は優柔不断の静けさではなく

決断の前の絶対零度だった

「現地政府の反応は」

外務審議官が答える

「統治外区域との認識です

  公式協力は困難です」

「米側は」

「政治リスクが高いとして不介入」

「英国、フランスは」

「同様です」

沈黙

佐藤はゆっくりと息を吐いた

彼女は目の前の映像の女性を

単なる

“在外邦人”

という分類で見ていなかった

この日本国の名札を胸に

外交の最前線へ送り出された一人の職員

日本国が仕事を託した人間だ

ならば日本国は

彼女が闇に落ちるところまで

黙って見ていてはならない

「緋鷺 Scarlet Heron、始動」

部屋の空気が変わった。

言葉そのものには大きな音量はなかった

それでも

その一言で

この場にいる全員が

“もう後戻りはない”

と理解した

「作戦名は」

危機管理監が問う

佐藤は数秒だけ考えた

映像の中の山田の顔

その奥のコンクリート壁

その向こうに広がる砂漠の夜

乾ききった死地に

一輪だけ赤いものがあるとしたら

それは血ではなく

持ち帰られる命であってほしいと

彼女は思った

「デザート・ローズ」

それは詩のように聞こえた

しかし実際には

国家が闇へ放つ最初の弾丸だった

第二章

02:46 — 緋鷺 Scarlet Heron指揮所

地下通路を下りるほど

世界から色が失われていく

最後に到達する区画だけが

逆に赤を持っていた

緋鷺 Scarlet Heronの待機区画

警告灯でも血でもない

鈍く深い赤

燃える前の鉄のような色

鈴木遥香は

すでにタクティカルベストの調整を終えていた

背筋は真っ直ぐで

肩に余計な力がない

命令を受ける前に

準備を終えている者の身体だった

彼女の前に

九名の女性が整列する

「集合確認」

声は低い

よく通る

怒鳴らない声なのに

聞く者の背筋を自然に正す声だった

「高橋怜子」

「在席」

「大野彩花」

「在席」

「伊藤香織」

「在席」

「斎藤あかり」

「在席」

「松本遥」

「在席」

「小林美緒」

「在席」

「渡辺奈美」

「在席」

「加藤由美」

「在席」

「佐々木恵」

「在席」

九つの返答は

みな違う声色なのに

不思議と一つの金属音のように揃って聞こえた

ホログラム卓上に施設構造が投影される

怜子が資料を切り替えた

「対象施設は旧弾薬庫

  地上二棟

  地下二層

  人質は地下一区画

  警備層は三重

  外周哨戒

  入口固定警備

  地下巡回

  敵戦力は推定十八から二十四」

「誤差幅が広い」

彩花が言う

「映像更新のたび増減する

  入れ替わりあり」

怜子の言葉は短い

「安定した指揮系統ではない

  半独立セルが混在している」

「つまり統制が雑」

香織が口の端をわずかに上げる。

「なら雑音に弱い」

松本遥がラップトップを閉じた

「雑音ならこっちの専門

  無線は撹乱できる

  ただし長時間は危険

  使うなら突入直前から」

あかりが人質の診断画像を拡大する

「顔面打撲

  脱水

  拘束性浮腫

  搬送時にショックに入る可能性あり」

「歩行可能か」

遥香

「気力でなら

  身体は無理」

あかりは即答した

美緒が施設周辺の熱源マップを確認している

「外周は死角が少ない

  だが北西側に風食で崩れた遮蔽帯がある

  匍匐接近なら使える」

奈美は構造図の入口周辺を指でなぞる

「正面突破は見られる

  なら開け方を変える」

「爆破か」

彩花

「爆破も扉の一種よ」

奈美は淡く笑った

その笑いは大胆に見えたが

笑みのあとに一瞬だけ目が曇る

それを見たのは由美だけだった

由美は資料の最後をめくった

敵指揮官、アミナ・ハサンの顔写真

若いころの写真には

今とは違う穏やかな眉が残っている

「この人は信仰だけで立ってるわけじゃない」

由美が言う

「喪失で立っている

  だから交渉は理屈じゃなく記憶に触れた時だけ揺らぐ」

「揺らがなかったら」

香織

「その時は、あなたの仕事」

由美は視線を逸らさなかった

その短いやり取りの中に

このチームの現実が凝縮されていた

話し合いで終わる可能性を捨てない者と

終わらなかった場合の一秒後を受け持つ者

どちらも必要で

どちらも残酷だった

遥香は全員を見渡した

視線が順番に各人の顔へ触れていく

彼女は部下の能力だけでなく

その日の呼吸の浅さ

目の焦点

疲労の影まで見ていた

「今回が初の本格投入になる」

誰も返事をしない

続きを待つ

「だからこそ言う

  完璧は求めない

  求めるのは帰還だ

  人質を連れ

  全員で帰る」

その言葉に

もっとも強く反応したのは恵だった

若い操縦士の喉が ごくりと鳴る。

彼女にとって

“全員”

は単なる数ではない

ピックアップポイントに戻ってくる顔の数であり

座席の重みであり

帰投後に機内から降りる足音の数だった

遥香は最後に一言だけ付け加えた

「私たちは影だ

  だが影は消えるためにあるんじゃない

  連れて帰るためにある」

その瞬間

九人の瞳の奥で

恐怖と覚悟が静かに噛み合った

第三章

03:20 — 武装準備

装備室の空気には

油と布と金属の匂いがあった

戦いの匂いというより

準備の匂いだった

実際

死を近づけるのは戦闘ではなく

その前に行われる静かな選択の連続なのだ

香織は自分のライフルを開いた

パーツが並ぶ様子は

解剖台に置かれた器官にも

楽器職人の道具にも見えた

彼女は黙々と点検する

スライド

サイト

マガジン

固定具

指先に迷いがない

かつて一度だけ

彼女は一瞬のためらいで標的を逃したことがあった

その一秒で

味方が負傷した

以来

彼女は銃を

“自分の延長”

ではなく

“自分を罰する定規”

のように扱っている

撃てるかではない

外さないか

それだけだ

一方

あかりは医療バッグの中身を組み替えていた

輸液ルート

止血剤

鎮痛

簡易縫合

気道確保

抗ショック

どれも現場では足りない

医療は常に足りない状態から始まると

彼女は知っていた

病院では設備があり

照明があり

時間があった

戦場にはそれがない

あるのは

崩れそうな呼吸と

こちらを見返す目だけだ

「緊張してる?」

由美が背後から尋ねる

あかりは少し考えてから

うなずいた

「してます」

「いいことね」

「そうですか?」

「緊張しない人は

  命に慣れすぎてる」

あかりは苦笑した

「じゃあ私は

  まだまともかもしれません」

「まともな人しか

  まともに怖がれないわ」

その言葉を聞いて

あかりは少しだけ肩の力を抜いた

松本遥は別室で

無線帯域の模擬干渉を回していた

画面の上で波形が生き物のようにうねる

彼女の世界は音ではなく

周波数で成り立っている

誰かの

「助けて」

が電波になって届く前に

掻き消える世界

誰かの

「突入」

が暗号化されて走る世界

彼女は引き金を引かない

だが彼女の一秒の遅れは

誰かを撃たせる

美緒は一人

暗視装置を外してはつけ

外してはつけていた

暗闇の中で

視界が切り替わる速度を

身体に覚え込ませるためだ

真っ暗な世界で

緑色の粒子が浮かび

その中に物の輪郭が生まれる

人は本来

夜に戦うようにはできていない

だから機械をつける

それでも

最初に踏み込む瞬間だけは、

いつも自分の鼓動がいちばん大きい

奈美は小さな封筒を

ベストの内ポケットにしまった

何かを書いた紙だ

由美は見ないふりをした

「遺書じゃないわよ」

奈美が言う

「聞いてない」

「母の通院メモ

  私が帰ったら予約取り直す」

由美はふっと笑った。

「それ、遺書より効くわね」

奈美の笑いは短く

すぐに消えた

「帰る理由は

  そういうのでいいのよ」

装備室の端では

恵がヘッドセットを膝に置いたまま座っていた

遥香が近づく

「眠れてない顔だ」

「眠ると失敗する夢を見るんです」

「夢の中でか」

「違います

  本番で

  です」

遥香は隣に腰を下ろした

指揮官がそうするのは珍しい。

だが彼女は

若い者を励ますための

綺麗な言葉を持たない代わりに

隣に座ることを知っていた

「怖いのは正常だ」

遥香は前を見たまま言う

「怖くない操縦士には乗りたくない」

「隊長は怖くないんですか」

少しだけ間が空く

遥香は正直に答えた

「毎回怖い

  隊員を一人でも置いていく夢を見る」

恵は目を見開いた

遥香にもそんな夢があるのか

強い人間は

怖れを持たないのではない

怖れを抱えたまま

立つのだということを

その時

彼女は初めて理解した

「だから

  あなたは必ず全員を乗せろ」

遥香は立ち上がった

「私は必ずそこへ戻す」

それは命令であり

約束でもあった

第四章

06:10 — 航空輸送

輸送機の内部は赤い戦闘灯に照らされ

誰の顔も半分しか見えなかった

それが逆に良かった

全員の緊張が露骨に見えすぎないからだ

機体が滑走路を離れる瞬間

腹の底がわずかに浮く

それは出発の感覚であると同時に

もう地上の論理では

引き返せない感覚でもある

遥香はシートに座り

膝の上で指を組んでいた。

眠っているようにも見える

だが彼女は眠っていない

目を閉じているだけだ

自分の頭の中に 

何度も何度も施設内部を再構築していた

入口

階段

分岐

独房

死角

どこで遅れるか

どこで崩れるか

どこで誰が傷つくか

最悪を先に歩いておくのが

指揮官の仕事だった

怜子のタブレットに

更新データが届く

衛星

傍受

現地協力網

複数情報源の断片

彼女の世界では

真実は決して一枚岩ではない

断片同士を擦り合わせた時にだけ

わずかな輪郭が生まれる

「更新」

彼女が声を上げる

全員の視線が集まる

「人質の拘束位置は変わらず

  敵指揮官アミナ

  独房前に滞在

  暴行の痕跡あり」

香織の目が冷たく細くなる

何も言わない

その沈黙は怒りの形をしていた

「生命兆候は」

あかり

「低下してるが維持

  まだ間に合う」

怜子

“まだ”

という単語が

機内の空気に針のように刺さった

彩花がタイムラインを再確認する

「誤差を食えるのは突入後十七分まで

  以後は増援到達リスク上昇」

「短いわね」

由美

「短くない

  足りる」

遥香が目を開く

その一言だけで

機内の緊張が形を持った

不安が消えるわけではない

だが

どこへ向かえばいいかが見える

指揮官の役割とは

希望を語ることではない

恐怖に方向を与えることだ

機体後部で 

奈美が小さなポケットから 

飴をひとつ取り出した

レモン味

口に入れる前に

恵へ差し出す

「糖分」

「ありがとうございます」

「震え止まる」

「そんなに震えて見えます?」

「見えない

  だから先にやるの」

恵は飴を受け取って笑った

その小さなやり取りを

見ていたあかりが

ほんの少しだけ救われた顔になる

任務の前

人は劇的な言葉ではなく

こういうくだらない優しさで

持ちこたえるのだ

輸送機の振動が変わる

降下準備の合図

そして誰もが

心の中で別々のものを思い浮かべた

家族の声

冷蔵庫に残したメモ

まだ返していないメール

訓練場の汗の匂い

救えなかった誰かの顔

今回こそ

と願う小さな祈り

誰も

それを口にはしなかった

第五章

09:18 — 国境外縁

ヘリのローター音は

夜明け前の空気を切り裂くというより

押し潰して進んでいた

低空

地面に貼りつくような飛行

高度が低いほど

操縦士の神経は磨り減る

だが高く飛べば見つかる

見つかれば終わる

恵の手は操縦桿を握っていたが

力は入れすぎていなかった

力んだ操縦は雑になる

怖さを押し殺すのではなく

怖さをそのまま細い糸にして

機体を通していた

「前方、地形変化」

美緒の声がインカムに入る

「確認」

砂丘の陰影が

薄い青の世界に連なる

朝にはまだ遠い

だが夜は少しずつ死に始めていた

「熱源十八」

美緒

「外周二

  内部複数

  巡回生きてる」

松本遥がジャミング系統を最終接続する

「突入と同時に切る

  先にやると異常に気づく」

「了解」

彩花

遥香は機内の全員を見た

いまさら鼓舞の言葉は要らない

必要なのは

タイミングだけだ

「降下後

  無音接近

  発砲は必要時のみ

  優先順位は

  人質

  生存

  離脱」

香織が訂正するように言う

「人質

  生存

  全員生還」

遥香は彼女を見る

ほんのわずかに

目だけで肯定する

「そうだ」

ロープが投下される

ドアが開く

風が一気に機内へ叩き込み

砂の匂いを運んだ

この瞬間

美緒はいつも同じことを思う

人間の身体は

本来こんな場所へ

降りるようにはできていない

それでも降りる

誰かが下で待っているからだ

一人目

 美緒

二人目

 香織

三人目

 遥香

闇へ向かって

影が順番に落ちていく

機械的な動きの中に

それぞれの人生が一瞬ずつ混ざる

母の娘として生まれた日

誰かに褒められた昔

初めて銃を持った日

初めて命を失った現場

その全部を背負ったまま

彼女たちは砂へ着地した

第六章

09:29 — 接近

砂漠は静かだった

だがその静けさは平穏ではない。

音を吸い込み

位置を狂わせ

距離感を奪う静けさだった。

美緒が先導する

足跡を最小化し

砂丘の陰を縫い

熱源と視線の空白を選んで進む

彼女の動きは滑らかで

見ていると簡単そうに見える

しかしその一歩ごとに

死角の計算と地形の記憶が詰め込まれていた

遥香は中列

指揮官が先頭に立たないのは

臆病だからではない

全体を見るためだ

前が止まれば横へ出る

後ろが乱れれば戻る

人は戦場で

いちばん見えない場所から 

崩れる

香織はスコープ越しに外周哨兵を捕らえる

一人は若い

一人は疲れている

どちらも銃の持ち方が甘い

練度が低い

だから危険でもある

未熟な兵士は恐怖で引き金を引く

「二名

  処理可能」

声はさざ波のように小さい

「待て」

遥香

前方の哨兵がこちらを向く

一秒

二秒

空気が止まる

だが哨兵は

顔を背け

砂に唾を吐いた

気づいていない

「……いま」

遥香

サプレッサーの乾いた連続音

ほとんど音はない

あるのは

身体から緊張が一つ

切り離される感覚だけだ

二人が崩れる

砂が柔らかく受け止める

叫びもない

あかりは

人を救う手でありながら

人が倒れる瞬間を何度も見てきた

そのたびに心のどこかが軋む

だがいまは

その軋みを感じている

余裕すらない

救うべき一人が

まだ先にいる

奈美が前方の埋設地雷を発見する

低い姿勢のまま

砂を払う

金属の縁が現れる

彼女の目つきが変わった

専門官の顔だ

「古い

  だが生きてる」

ワイヤー処理

起爆系統切断

息を殺していた恵が

機上でわずかに息を吐く

自分はここにいないのに

下にいる仲間の一挙手一投足で

肺の使い方まで変わる

「ルート開通」

奈美

前進

距離は縮まる

施設外壁が現れる

コンクリートのひび割れ

錆びた鉄

崩れた監視塔

国家が去ったあとに

暴力だけが住みついた場所の顔だった

第七章

09:41 — 突破

入口扉は厚かった

かつて弾薬庫を守るために作られ

いまは人質を

閉じ込めるために使われている

ものは罪を持たない

使う人間が罪を与える

奈美はいつもそう思う

「設置三秒」

彼女の手が扉枠に素早く動く

爆薬は乱暴に貼り付けるものではない

丁寧に置く。

扉を壊すためではなく

必要な穴だけを開けるために

彩花が秒読みを取る

「三、二、一」

鈍い衝撃

乾いた破砕音

大爆音ではない

だが沈黙を切るには十分だった

「侵入」

香織と遥香が先頭で流れ込む

視界の端に動く影

一人

香織が短く制圧

二人目

遥香

床に転がる金属音

壁に跳ねる薬莢

松本遥が回線を切る

敵の無線網がいっせいに乱れる

誰かが叫んでいるはずだが

言葉は周波数の霧に溶ける

地下へ続く階段

薄暗い

硝煙の匂いが先に降りていく

美緒が角を確認し

身振りでクリアを示す

彼女の肩越しに

遥香は一瞬だけ空気の動きを読む

人の気配は目だけでは見えない

沈黙の重さ

壁の反響

湿度のわずかな変化で

潜むものは輪郭を持つ

地下廊下

そこは死んだように静かだった

逆にそれが不自然だった

「待て」

遥香

直後

角の向こうから短い連射

壁が弾ける

香織が身をひねり

返す

二射

静止

「負傷なし」

香織

「あちらは」

遥香

「沈黙」

前進

時間は伸びたり縮んだりしない

だが戦場では

秒が奇妙な弾性を持つ

いまの三秒は三十秒にも

瞬きにも感じられる

独房区画に近づくにつれ

あかりの呼吸が深くなる

医療担当の緊張は戦闘の直前とは種類が違う

いよいよ自分の番が来るという緊張だ

血を止める

呼吸を戻す

意識をつなぐ

彼女にとって本番は

撃ち合いではなく

そのあとに始まる

そして鉄格子が見えた

第八章

09:45 — 山田恵子

人は極限まで消耗すると

年齢が消える

鉄格子の向こうにいた

山田恵子は三十八歳の外交官ではなく

ただ拘束と渇きの中で時間に削られた

一人の女性に見えた

両手は吊られ

肩は腫れ

唇は裂け

頬には古い血の筋

だが

彼女は倒れていなかった。

意識の薄い目が

音のした方へゆっくり向く

「山田さん」

あかりが膝をつく

「日本国からです

  迎えに来ました」

最初

山田は意味を理解できない顔をした

救出という概念が

この地獄に

まだ存在しうるとは思っていなかった顔

それから

かすれた息のような声で言う

「……本当に?」

あかりは即座に頷く

「本当にです」

その瞬間

山田のまぶたが震えた

泣いているのではない

泣く力がもう残っていない

それでも人は

助けが現れた時

身体のどこかで必ず崩れる

奈美が鎖を処理しようとした時

廊下の奥から足音が近づいた

一定ではない

怒りに速い足音

アミナ・ハサンが現れる

黒い衣服

細い顔

焼けた肌

銃口は迷いなく向けられている

その目には狂気があった

しかし

それは生まれつきの狂気ではなく

何かを失い続けた者が

最後に自分を支えるために

選んだ強度だった

「下がれ」

香織が銃を上げる

「待って」

由美が一歩前に出る

遥香は止めない

この数秒は

交渉官の持ち時間だ

由美はアラビア語で話しかける

ゆっくり

敵意を隠さず

侮辱もせず

「あなたは終わっていない

  ここで撃てば

  あなた自身も戻れなくなる」

アミナの口元が歪む

「戻る場所などない」

「あるわ

  あなたがまだ覚えている場所」

由美は相手の眉の動きだけを見ていた

人は

怒鳴る前に眉で揺れる

「あなたは一家族の娘様だった」

由美

アミナの指がわずかに硬くなる

「黙れ」

「そして姉でもあった

  未来の母様になるはずでもあった」

「黙れ!」

叫びに混じって

悲鳴のような高さが生まれる

その高さを

由美は待っていた

理性ではなく

記憶が出てきた音だ

遥香が静かに口を開く

「アミナ」

敵指揮官が

初めて彼女を見る

同じ女だと

その瞬間に認識した顔だった

「ここで終わらせろ」

「お前たちに何が分かる」

アミナの目が濡れる

「お前たちは空から奪っていく側だ」

その言葉には

彼女の人生の全部が入っていた

燃える家

消えた家族

残った憎悪

それだけで立ち続けた数年

由美は優しい声を使わなかった

優しさは

時に相手を侮辱する

彼女は対等な声で言った

「分からない

  だからこそ

  ここであなたを怪物のまま終わらせたくない」

一秒

二秒

アミナの銃口がわずかに揺れる

その瞬間

廊下奥で別の敵が銃を上げた

香織が反応する

制圧

反射的な銃声に

アミナが身体を震わせる

その揺れを見逃さず

美緒が距離を詰め

彩花が横から武器を弾いた

銃が床に跳ねる

アミナは膝をつく

叫ばない

ただ

呼吸が壊れたように荒くなる

由美は彼女を見下ろし

低く言う

「まだ生きて」

それは命令でも説得でもなく

同じ女性としての

ぎりぎりの願いだった

第九章

09:49 — 奪還

鎖が外れる

山田の身体が落ちる

あかりが即座に支える

「意識レベル低下

  循環不安定

  搬送優先」

「歩ける?」

遥香

山田はかすかに首を振る

動かないのではない

もう無理をする段階を超えている

遥香はためらわず山田を抱き上げた

軽かった

軽すぎた

その軽さが

何時間

何日

この人が奪われていたかを

物語っていた

「行くよ」

遥香が言う

「家に帰る」

山田の目から

ようやく涙がひとすじだけこぼれた

その時

施設全体がざわめいた

ジャミングを切り抜けたのか

外部に異変が伝わったのか

増援の足音

怒号

時間切れだ

「離脱」

彩花

スモーク

遮蔽

後退射撃

奈美が最後尾の角へ簡易遅延爆薬を設置する

敵の追尾を数秒でも遅らせるためだ

その数秒が

人を生かす

香織は後ろを振り返らずに撃つ

訓練された射撃は怒りを見せない

だが彼女の胸の中では

独房で見た山田の顔がまだ燃えている

その怒りが照準を狂わせないのは

彼女が怒りの扱い方を知っているからだ

美緒が先導し

砂漠へ出る

太陽はまだ高くないのに

地表はすでに熱を持ち始めていた

空気が揺れる

煙と砂と汗が

呼吸のたび喉を擦る

「ピックアップまで一・八」

恵の声が無線に入る

機上の声は地上にいる者へとって 

天からの糸に近い

「了解」

遥香

あかりが

走りながら山田の脈を取る

悪い

だがまだある

まだ

ある

「山田さん

  聞こえますか」

彼女は言う

「眠らないで

  日本に帰ったら

  一番食べたいものを考えて」

山田の唇がかすかに動く

「……お味噌汁」

あかりは泣きそうになるのを押さえた

「じゃあ帰りましょう

  絶対に」

後方で爆発

奈美の遅延工作

地面が短く揺れ

追撃の足が止まる

「いい仕事」

彩花

「褒めるのは帰ってから」

奈美が返す

その声は荒いが

まだ折れていない

そして

砂嵐が来た

最初は風だった

次に砂

それから視界そのものが裂けていく

世界が黄色に濁り

距離も輪郭も消える

「視界喪失!」

美緒

「熱源切替!」

彩花

恵は機上で歯を食いしばった

ローターの外

視界の半分が砂に塗りつぶされる

だが降りる

降りないという選択肢は

彼女の中に最初からない

「あと三十秒!」

その三十秒が永遠に長い

香織が最後尾で止まり

振り向く

砂の向こうに

人影

敵だ

撃つ

倒れる

さらにもう一つ

撃つ

彼女は一瞬だけ

自分が生き残るために撃っているのか

仲間を帰すために撃っているのか

分からなくなる

だが答えはすぐ来る

どちらも同じだ

緋鷺 SCARLT HERON では

それが同義なのだ

ローター音が頭上を裂いた

「来た!」

ロープが落ちる。

上では恵が

機体を狂いそうな風の中に

押さえ込んでいた

腕の筋肉ではなく

神経そのもので

機体を吊っているような操縦だった

一人

二人

三人

順に上がる

遥香が山田を固定し

まず上げる

人質が最優先

それはルールではなく

ここまで来た全員の願いでもあった

あかりが続く

奈美

由美

松本遥

彩花

美緒

最後に香織

その時

砂の向こうから一発だけ飛ぶ

彼女の肩を掠める

血が散る

「香織!」

遥香

「掠っただけ!」

香織が怒鳴り返す

その声に

生きている熱がある

ロープを掴み

上がる

最後

遥香

地上を見渡す

全員上がったか

確認

確認

もう一度確認

それから彼女はロープを握った

機体が上昇する

砂漠が離れていく

敵の姿も

施設も

血も

怒号も

すべてが砂の海に沈んでいく

だが誰も勝利の顔はしなかった

まだ終わっていない

生きて帰りきるまでが任務だ

第十章

10:14 — 帰投機内

機内の床に

砂と汗と血が混じっていた

戦場は終わっていなくても

場の匂いだけは先に機内へ入ってくる

あかりが

山田に処置を施す

輸液

保温

呼吸確認

その横で

香織の肩を彩花が押さえている

「深くない」

あかりが見る

「でも縫う」

香織は平然を装っているが

顔色は少し悪い

アドレナリンが落ち始めると

痛みは遅れて牙をむく

「人質の状態は」

遥香

「生存圏

 まだ持つ」

あかり

その言葉で

機内の全員が初めてわずかに息を吐いた

無線が入る

首相官邸

直通回線。

「こちら佐藤です」

機内の空気が

また少しだけ変わる

総理の声は静かだった

だが

ただの儀礼連絡ではない

彼女はきっと

指揮室で一睡もせず

ずっと待っていたのだ

「ターゲット確保

  緋鷺 SCARLT HERON、帰投中」

遥香が報告する

短い沈黙ののち

佐藤が答えた

「よくやりました」

それは褒賞ではなかった

ねぎらいでもない

日本国が

自分の名で送り出した人間たちへ返す

最小限で最大の言葉だった

「みなさん

  無事で帰ってきてください」

遥香は一瞬

返答に詰まりそうになった

強い言葉ほど

受け取る側の胸を傷つけることがある

なぜなら

それが本当に欲しかった言葉だからだ

「了解」

それだけ返して回線を切る

恵は操縦席で

誰にも見えないところで目を閉じた

たった一秒

それからまた前を向く

まだ着陸まで終わっていない

由美は拘束されたアミナのことを思っていた

彼女は残した

殺さなかった

それが正しかったのか

由美にはまだ分からない

ただ

憎しみしかなかった人間に

一秒でも別の選択肢が戻ったのなら

それだけで世界は

完全な闇ではないと思いたかった

奈美はポケットの中の紙に触れる

母の通院メモ

帰ったら電話をする

それだけの未来が

いまはやけに尊く思えた

香織は痛みに眉を寄せながら

山田の横顔を見た

救えた

今回は

間に合った

その事実だけが

彼女の胸の奥で静かに熱を持つ

怒りではない

ようやく手に入れた

わずかな肯定だった

遥香は機内の全員を見た

傷血のついた者

疲労で目を閉じる者

まだ緊張を解けない者

誰も完全ではない

だからいい

と彼女は思う

完全な兵士などいない

生きて帰る人間だけがいる

そしてその夜明け前の機内で

十人の女性と

一人の救出者を乗せたヘリは

砂漠の上を

静かに帰っていった

第十一章

17:40 — 愛知県蒲郡市海陽基地医療棟

帰還は歓声では迎えられない

緋鷺 SCARLT HERON の帰投はいつも静かだ

だが静かな帰還ほど

本当は熱い

担架が運ばれる

山田恵子のまぶたがゆっくり開く

白い天井

清潔な光

ここが

もう独房ではないと

理解するまでに

数秒かかった

「ここは……」

「安全圏です」

あかりが答える

「帰ってきましたよ」

山田の目に

ようやく人間らしい涙が満ちた

彼女は声にならない息を漏らし

目を閉じる

その閉じ方は

絶望ではなく

安心の閉じ方だった

医療班に引き継ぎが終わると

緋鷺 SCARLT HERON は

外の薄暗い通路に出た

誰もすぐには喋らない

任務直後の沈黙は

いつも長い

人は極限から日常へ

一瞬では戻れない

彩花が最初に言った

「全員、生還」

それだけ

香織が壁にもたれ

笑った。

「隊長の勝ち」

遥香は首を振る

「私じゃない

  全員だ」

奈美が疲れた顔のまま口を開く

「じゃあ

  全員の勝ち」

「その言い方

  嫌いじゃない」

由美が言う

恵が

その会話を聞いて不意に泣いた

堰を切ったように

ではない

静かに

ぽろぽろと涙が落ちる

若さゆえの涙ではなかった

張り詰めていた空の糸が

着陸してようやくほどけたのだ

遥香は彼女の頭を軽く叩いた

「よく降ろしてくれた」

恵は泣きながら笑う

「みんな

  ちゃんと乗ってたからです」

「そうだな」

そのやり取りを見て

あかりも笑った

美緒はようやくヘルメットを外し

乾いた髪をかき上げる

松本遥は

無言で壁に座り込んだまま

ラップトップを閉じる

仕事が終わった瞬間の彼女の静けさは

祈りに近かった

その時

遥香の端末に短い通知が入る

極秘秘匿回線

発信元

官邸

開く

たった一文

“欧州方面で新規事案発生

  詳細後送”

遥香は数秒

画面を見つめた

その後

端末を閉じる

彩花が気づく

「次ですか」

「たぶん」

「休めませんね」

遥香は

山田が運ばれていった扉の方を見る

「でも今日は

  一人帰った」

その言葉には

全員が頷いた。

戦いは終わらない

世界にはまだ闇があり

国家はそれを消せない

それでも

今日一人帰った

という事実だけは

誰にも奪えない。

遥香は小さく息を吐く

「これでいい」

それは勝利宣言ではない

ただ

救出という行為に対する

最も誠実な言葉だった

Case I:「砂漠の虜囚」は

ここに完結する

灼けつく砂の上で

十人の女性が一人の邦人を奪還した

その道標は華々しいものではなかった

爆音の後に残ったのは

痛み

疲労

血の匂い

そして

救出に

「間に合った」

という静かな確信だけだった

鈴木遥香の指揮は

軍事的には冷厳でありながら

その根底には終始

家族を守る者の温度があった

高橋怜子は

情報の断片の中から

生存への道を掘り当て 

伊藤香織は

怒りを精密さへ変え

斎藤あかりは

崩れかけた命を掌でつなぎとめた

誰一人

万能ではない

だからこそ

彼女たちは

絆で結ばれた

同僚であり

姉妹であり

任務を全うする

意味を共有する者たちだった

だが

緋鷺 Scarlet Heron の任務は終わらない

ロンドン

濃霧

監視社会の中心にありながら

最も人が消えやすい都市

邦人実業家の娘

林美咲(二十四歳)が消息を絶つ

防犯カメラの映像は

三分二十秒だけ

完全にブラックアウト

残されたのは

彼女の指輪と

一枚のメッセージカード

「次は、お前たちの家族だ」

背後にいるのは

ロシア系女性犯罪組織

 “ヴォルク・シンジケート”

その首領アレクサンドラ・イワノワは

暴力より先に恐怖を設計する女だという

緋鷺 Scarlet Heronが動き出す

霧に閉ざされたロンドン地下鉄網

死角だらけの監視網

MI5との危険な駆け引き

戦場は砂漠の熱から

都市の冷たい湿気へと移る

次巻

『霧都の狼は指輪を嗤う』

Case II: 霧の誘拐

LONDON FOG ABDUCTION

緋色の鷺たちは 

再び影となる

まだ

戦いは終わっていない

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― 新着の感想 ―
女性だけのチームに「神盾〜」を思い出しましたが、今回の作品の方が血の匂いにより近いですね。 佐藤首相は本当にこんな首相がいたら良いのにと思う方です。 人質になった山田さんの助けが来た時の反応が本当にリ…
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