エマ・グレイス【ハッピーエンドじゃない】
画面に、大きく文字が浮かび上がっていた。
――HAPPY END
祝福の音楽。舞い散る花びら。
王子と聖女エマが、光の中で手を取り合って微笑んでいる。
私は、コントローラーを握りしめたまま、画面を睨みつけていた。
「ハッピーエンドじゃない」
ぽつりと呟く。
「王子とエマは幸せになって良かったよ?でもさ・・・レティシアは?」
画面にはもう、薔薇乙女の姿はない。
断罪され、物語から消えた悪役令嬢。
「なんで誰も助けてくれないの」
コントローラーを机に落とす。
「隠しルートもやった。全キャラ攻略した。好感度もイベントも全部回収した。なのに・・・どのルートでも、レティシア死ぬじゃん!!」
天井を仰ぐ。
「救済ルートが無いとか、公式が最大の敵じゃん」
スマホを手に取る。
画面には、レティシアの立ち絵。
赤い瞳。金色の髪。薔薇のような美貌。
断罪の場で、最後まで誇りを失わなかった悪役令嬢。
「もう、私が薄い本作るしかなくない?公式がやらないなら二次創作で救うしかないんだけど?」
苦笑する。
その瞬間。視界が、ぐらりと揺れた。
「・・・あれ?」
頭が重い。
身体が、言うことを聞かない。
スマホが、手から滑り落ちる。
意識が遠のく。
視界がぼやけて何も見えない。
最後に聞こえたのは━━ピロン。
通知。
スマホ画面が光る。
【新作情報】
大人気乙女ゲーム『聖薔薇学園〜聖女と断罪の薔薇〜』スピンオフ作品
『聖女と薔薇乙女』今年冬発売決定




