第95話 ジークフェルドの想い
もちろん文化祭でリアの可愛さに気付いたのはジークフェルドだけではなかった。
文化祭以降、決まった相手のいない男子生徒がリアにアプローチし始めたのだ。
それらはほとんどルーファスが蹴散らしてくれていたので、リア本人までたどり着いた者は少数だったし、それすらもルーファスによって握りつぶされていた。
そんな時、あの事件が起こった。
ヘンドリックから、リアがトルドー公爵家に連れて行かれたと聞いた時は公爵から口頭で注意されるくらいだろうと思っていた。
きっと泣かされるだろうから慰めてやらないと、その程度に考えていたのだ。
それが、まさか公爵があんな暴挙に出るとは思わなかった。
俺が助けなければリアはどうなっていたかと思うと肝が冷えた。
公爵の言葉や、下町での出来事はリアの心に傷を作っただろうし許されることではない。
しかし、あの事件によってリアの中でジークフェルドの株が上がったことは間違いない。
リアのジークフェルドに対する信頼が芽生え、距離が縮まったように感じた。
2人でリンドブルムを訪れることになり、女の子との会話が得意でもない自分が、長旅で彼女を退屈させないか心配だった。
初めの頃、馬車の中でぎこちない空気が漂い、不安は大きくなった。
しかし、木登りをして2人で景色を眺めてからはそんなぎこちなさが全くなくなった。
アイルの町でドキドキしながらリアの手を握ってみたが、リアは恥ずかしそうな表情を浮かべながらも嫌がりはしなかった。
それが嬉しくてジークフェルドはどんどん調子にのっていった。
ルーファスがリアに髪飾りを贈っていたのを羨ましく思っていたので、リボンの店で自分の色のリボンをプレゼントした。
その時もはにかみながら受け入れてくれ、あれ以降毎日そのリボンを付けてくれている。
王宮について、その大きさにリアが再び緊張し固くなったのを見て、どさくさに紛れてリアを引き寄せたら、リアの方からジークフェルドの胸に頭を寄せてくれた。
嬉しかったが、離宮に着くのがもう少し遅かったら自制心が焼き切れてヤバかったかもしれなかった。
時々、リアが嬉しそうにした後に沈んだ表情を浮かべることがあった。
それが気なる時はあったが、彼女がジークフェルドに好意を寄せてくれていることはにぶい自分でもなんとなく感じられた。
そして今、リアを部屋へ送っていくついでにおでこにキスをした。
わざとらしくなかったかな。
リアはどう思ったろう・・・。
ジークフェルドは今さらながら、赤くなり両手で頭を抱え扉の前でしゃがみこんだ。
今日、俺、寝れるかな・・・。
心の中で悶えたのであった。




