第94話 ジークフェルドの想い
一方、部屋へ戻ったジークフェルドもドキドキする胸を左手で押さえていた。
やばい、リアが可愛すぎる・・・。
元々幼いころから父の部屋に飾ってあった妖精のような少女の絵にほのかな恋心を抱いていた。
ジークフェルドの好みドンピシャだったのだ。
この子はどんな表情で笑うのかな。
この子はどんな声で話すのかな。
そんな事を考えながら、空想の中で彼女と遊んだり話したりしたこともあった。
少し大きくなって、その絵の少女が自分の叔母ですでに亡くなっていると聞いた時は悲しくてショックを受けた。
しかし、絵の少女は年を取るとることもなければ、王宮を訪れる口やかましい令嬢たちのように媚を売ってきたりすることもない。
ジークフェルドにとって、けがれることのない永遠の初恋だったのだ。
アルノーでリアを初めて見た時、正直がっかりしたことは否めない。
あの初恋の少女の娘とは思えない田舎くさい娘だったからだ。
それに身体も小さく幼い女の子のようだった。
しかし、実際に話してみると素直で明るく、ジークフェルドが王子と知っていても媚を売ったりすることも無く、本当に性格の可愛い子だった。
血のつながった従妹でもあるし、留学中の1年間を仲良く過ごせたらいい、何か困り事があれば助けてやってもいい。
最初はそれぐらいに思っていた。
ジークフェルドの意識が変化し始めたのは、リアの初潮の時だ。
ぐりぐりしたメガネをはずしたリアは、思いがけずとても可愛らしく、あの少女に似ていた。
小さい子供だと思っていたのに、抱きかかえた身体は柔らかく、いい匂いがした。
それから少しずつ、リアのことが気になるようになっていった。
オースティン公爵邸に連れていかれ、顔や髪の手入れや服装の指導を受けた後から急に垢抜けだし、気付いたらリアを目で追うようになっていた。
そんな時、ルーファスにリアの素性がばれてしまった。
あの男は有能なだけあって、速攻猛烈な勢いでリアにアプローチし始めた。
プレゼントされた高価な髪飾りを金庫にしまっていると聞いた時は流石に笑ってしまったが、正直あれほど押されまくれば、にぶいリアでもそのうちルーファスに陥落するだろうと思えた。
この時はまだ、ルーファスにだったらリアを取られてもいいかという気持ちがあった。
文化祭の演劇でお姫様を演じたリアを見た時、ジークフェルドは諦めて自分の気持ちを認めた。
ピンクのドレスをまといライトを浴びたリアの姿は、子供の頃ジークフェルドの空想の中にいた初恋の少女そのものだったのだ。




