第88話 アイルにて
国境を越えリンドブルムに入った。
宿泊する宿につくと、まず各自の部屋で荷物をおろすこととなった。
「ふうー。」
リアは案内された部屋の中で息をついた。
長い時間馬車に乗るのは、何もしていなくても疲れるのだ。
先ほど木登りをして身体を動かしたのでまだましだったが、リアはベッドに腰かけ足をブラブラ振ったり、腕を伸ばしてのびをしてみた。
そうしてしばらく身体をほぐしていると、扉がノックされた。
トントン
「はい。」
リアが扉を開けるとジークフェルドが立っていた。
ラフな格好をしていると、王子様というよりは町にいる格好いいお兄さんという感じがする。
「どうかされましたか?」
食事まではまだ時間があり、今は自由時間のはずだ。
「予定より早く着いたから夕食まで時間が出来たし、町へ行ってみないか?」
リアは目を丸くした。
そんな発想はなかった。
「行ってみたいです。」
リンドブルムの方が大国だが、この田舎町のアイルの町よりはさすがにアルノーの王都の方が人も多くにぎわっていたし、おしゃれなお店や高級店もそろっていた。
でも、このくらいの町の方が私は落ち着くかも・・・。
ルーファスと訪れたカフェや高級店は洗練されていてとても楽しかったが、キラキラし過ぎていて圧倒されるような感じがしたのだ。
ここは屋台や露店も並び、食事や雑貨もリアのおこづかいでも買えそうな値段だった。
食事は宿で出される予定なので、リアは歩きながら雑貨やアクセサリーを見て回った。
シンシアやイーリスにお土産を買って帰ろうと思っていたのだ。
3人でおそろいの物がいいなあ。
目移りしてフラフラしていると、いきなりジークフェルドに腕をつかまれた。
「リア、フラフラしてたら危ない。迷子になったら困るし、手をつないでおくぞ。」
そう言って腕を離し、その手でリアの手を握ってきた。
リアは内心、心臓がとび出るほどドキドキしたが、恥ずかしそうに少し下を向いて”はい”とだけ答えた。
2人で手をつないで歩いていると、ジークフェルドが尋ねてきた。
「何か買いたいものがあるのか?」
「シンシアとイーリスにお土産を買いたいんです。3人でお揃いに出来るものがいいなと思ってるんですけど。」
「王都でも買えるかもしれないが、その時町に出れるかわからないしな。今日、買っておくか?」
「はい、いいものがあればそうしたいです。」
その時、一つのお店がリアの目に入った。
リボンの専門店だ。
そういえば以前、イーリスにリボンを貰ったことがあったな。
お土産に買ってもかさばらないし、日常で使ってもらえていいかもしれない。
「あのお店を見てもいいですか?」




