第80話 王宮での朝
翌朝、目を覚ましたリアは驚いた。
ここ、どこ?
豪華な装飾がほどこされた部屋だった。
置かれた調度品もすべてが一級品だ。
リアはベッドの上で昨日の出来事を思い返してみた。
ルーファス先輩のお父様に呼び出されて、下町に降ろされて、ジークフェルド様に助けてもらって・・・。
もしかして王宮?
昨日は精神的にいっぱいいっぱいだったが、最後にジークフェルドに王宮に連れてこられたことは覚えている。
カチャッ
部屋の扉が開けられると、エミリア王妃が入ってきた。
「まあ、目が覚めたの?」
エミリアはそう言うと、リアの方まで歩み寄りリアを抱きしめた。
ここ、まさか王妃様のベッドなの?
リアが混乱していると、エミリアが抱きしめる腕をゆるめ、フワッと笑いかけてきた。
「昨日、ジークの部屋で寝てしまったから、ここまで運んでもらったのよ。」
顔色の良くなったリアを見て、エミリアも安心したようだ。
「トルドー公爵には厳重に注意したわ。こんなことは二度と起こらないから安心して。」
公爵に注意?
王妃様が?
公爵がリアにした行いは確かにひどいものだったが、それをわざわざ王妃様が注意するのは・・・?
どうしてリアのためにそこまでしてくれるのだろう?
リアが疑問を口にする前に、エミリアがもう一度リアを抱きしめた。
「朝食の用意が出来ているわ。着替えて食べましょう。」
案内された部屋には、すでにカトラリーの準備がされていて、クリスとジークフェルド、そしてヘンドリックが着席していた。
リアの顔を見るとクリスが笑いかけてきた。
「おはよう。昨日はよく寝ていたね。」
エミリアはリアの背中を押し、着席をすすめてきた。
「生徒会のメンバーとの方がゆっくり出来るでしょう。私は、もう朝食はいただいたから4人でお食べなさい。」
エミリアはそう言い残し、部屋を出て行った。
リアは着席すると、まずジークフェルドにお礼を言った。
「ジークフェルド様。昨日は助けていただいてありがとうございました。」
「ああ、怪我も何もなくて良かった。」
ジークフェルドが笑顔で頷いてくれた。
やがて食事が運び込まれ、和やかに朝食の時間が始まった。
「それでな、一番初めに俺が蹴り倒した奴がよみがえってきたのを、リアが落ちていた廃材で倒したんだ。」
ジークフェルドが昨日の乱闘のことを詳しく他の2人に説明していた。
「リアちゃん、すごいね・・・。」
暴漢に襲われたと聞いて心配したが、まさかそのうちの一人を自力で倒していたなんて・・・。
ヘンドリックは呆れたような、尊敬をこめたような複雑な視線でリアを見た。
「僕たちのお姫さまはたくましいね。」
クリスもおかしそうに笑っている。




