表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひみつの姫君 ~男爵令嬢なのにくじ引きで王子のいる生徒会の役員になりました!  作者: らな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/157

第79話 エミリアの怒り

何の話だ?


アンソニーは全く話の内容が想像出来ず、エミリアを見つめた。


「リア・アーロンは私の妹、リンドブルムの第2王女だったユーフェミアの一人娘です。」

アンソニーは言われた言葉の意味が一瞬理解できなかった。

エミリア王妃の妹はエミリアがアルノーに嫁いできた後、未婚のまま16か17年くらい前に亡くなっているはずだ。

ぼんやりしていると王妃が言葉を続けた。

「詳しい事情は伏せますが、つまり、あの子は私の姪なのです。」


じわじわと言葉の意味がその身に染み込み理解できた時、アンソニーはハッとして息子を見た。

「お前は知っていたのか?なぜ、私に言わなかった!」


そのような大事な事実を自分に隠していた息子に怒りがわいた。

それを先に言ってくれていれば、交際を反対などするものか。

むしろ喜んで彼女を公爵家に取り込んだだろう。


ルーファスは床に膝をつき、うなだれたまま無言だった。

さらに息子に詰め寄ろうとしたアンソニーをクリスが止めた。

「それは僕が命じたからだ。ルーファスは僕らと一緒に行動する中で、たまたまその事実を知ったからね。リンドブルムを巻き込む国際的な問題も絡む内容だし、他言無用との誓約書にサインをさせたんだよ。」

王子の命令があり、誓約もしていると言われれば息子をなじるわけにはいかない。


黙り込んだアンソニーにエミリアは言葉を続けた。

「あの子はヘンリーとリュークフェルドが王位を継げば、アルノーとリンドブルムの両国王をいとこに持つ唯一の存在となるのです。」

ヘンリーはクリスの兄、リュークフェルドはジークフェルドの兄だ。

「王族を除き、両国において最も高貴な血を継いだ娘と言えるでしょう。今回、公爵がリアにした仕打ちはリンドブルム国王にも報告します。沙汰が下るまでお待ちなさい。」

青ざめるアンソニーにエミリアは追い打ちをかけるように冷たい表情で告げた。

「今日、あなたを王宮に呼んだのは、これを伝えたかっただけです。用は済んだので、即刻立ち去りなさい。」


”用は済んだから、早く帰れ”


夕方、リアに突き付けた言葉がそのまま自分に返ってきた。

アンソニーが衝撃のあまり立ち尽くしていると、ルーファスが思いつめた表情でエミリアに尋ねた。

「王妃様。リアは、リアは今どうしているのでしょう?」

「大丈夫よ。今は落ち着いて、私のベッドで眠っているわ。」

この日、初めて王妃が笑顔を見せた。

それを聞いて、ルーファスは安心したように息をついた後、父を促し部屋を出て行った。


                  ※


帰りの馬車の中も重苦しい空気が漂っていたが、アンソニーがポツリとつぶやいた。

「おまえは本当にあの娘を好いていたのか?」


少しの沈黙の後、ルーファスが答えた。

「ええ。生徒会で同じ役職になり話をするうちに・・・。彼女は入学時、すでに男爵領の運営についての知識を身につけていました。その利発さや、明るく可愛い彼女に好意をいだき、こんな子が妻になってくれたらいいのにと思いましたが、リアの身分では父上の許可が出ないだろうと、一度は諦めました。だから彼女が王妃様の姪だと知ってとても嬉しかった。これで、父上もこの恋を認めて下さるだろうと・・・」

そこでルーファスは言葉を止めた。

静かに泣いているようだった。


アンソニーは崖から突き落とされたような衝撃を受けた。


息子は自分を裏切っていなかった。


一度は自分の恋を諦めようとしたり、父であるアンソニーの意向をちゃんとくみ取ってくれていたのだ。

それを自分が全てを台無しにしてしまった。


エミリア王妃はあの娘をたいそう大事にしているようだったし、決してアンソニーを許さないだろう。

おそらくリンドブルム国王も・・・。


その後、2人とも一言も発することなく馬車は公爵邸に戻ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ