第72話 トルドー公爵
「ふん。確かに顔は可愛いが、その容姿を使ってルーファスを誘惑したのか?」
公爵がリアを睨みつけた。
この人は何を言っているのだ?
「私とルーファス先輩はそんな仲じゃありません。」
リアは反論した。
しかし、それは公爵の怒りを深めただけだった。
「二人で町に買い物に行って、高価な髪留めをルーファスに買わせたのだろう。分不相応なものをねだっておいて、何を言っている。このあばずれが!」
バレッタはリアがねだって買わせたものではない。
しかし、高価なものをプレゼントされたことは事実だ。
リアが返答につまると公爵は勢いづいた。
「ほらみろ。お前の悪事は調査済みだ。男爵家ごときが調子に乗るんじゃないぞ。」
青ざめるリアに公爵は畳みかけるように言葉を続けた。
「お前がいくらルーファスを誘惑しようと私は絶対にお前を認めん。身分をわきまえろ。生徒会も辞めるんだ。いいな。」
唇をかみ、涙ぐむリアにとどめを刺す。
「今日、お前を呼んだのはこれを伝えたかっただけだ。用は済んだ。顔も見たくないし早く帰ってくれ。」
そして傍に控えていた使者の男性に促され強引に部屋から連れ出された。
全く事実でないことをなじられ、悪意のかたまりを投げかけられリアは精神的に参っていた。
王子たちやルーファスが当たり前のように普通に接してくれていたため、今まで身分差というものを意識したことがなかったが、公爵に虫けらを見るような見下した目で見られ悲しかった。
涙がポロポロと流れた。




