第66話 定期テスト その2
2年の定期テストの結果が貼りだされた。
1位 ヘンドリック・モーリス 510点
2位 ルーファス・トルドー 482点
3位 アンドレア・ディアブロン 451点
4位 ジョン・スミス 418点
5位 クリス・アルノー 411点
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8位 ジークフェルド・リンドブルム 398点
掲示板の前で、生徒がざわめいている。
”定期テストって500点満点だよな?510点ってどういうことだ?”
”モーリス?”
アンドレアは掲示板を見ながら、こぶしを握りしめた。
自分が3位というのも屈辱的だし、1位と2位との点差も気に食わない。
しかも、このモーリスという奴は、いつも10位くらいだったはずだ。
一応その存在を認識はしていたが、全くアンドレアの敵ではなかった男だ。
何か不正をしたにちがいない。
アンドレアはギリッと奥歯を噛みしめた。
その時、辺りがザワザワしだした。
見ると、うす茶色の髪と目をした大人しそうな男子生徒が掲示板の前に現れ、席次を眺めていた。
ヘンドリック・モーリスだ。
アンドレアは怒りにまかせて、ヘンドリックに詰め寄った。
「お前、この成績はなんだ?」
「何とは?」
ヘンドリックは冷静に聞き返してきた。
「しらばっくれるな。いつもこんないい成績じゃなかっただろう。突然、こんな点を取るなんて不正でもしたんだろう!」
アンドレアがヘンドリックの胸ぐらにつかみかかった。
その時、クリス王子が現れた。
「アンドレア。何をしているんだい?」
「クリス様。こいつがテストで不正をしたから、それを告白させようと・・・。」
「不正?どうしてそう思ったのかな?」
「いや、いつもと点数が全然違うので・・・。」
証拠があるわけでもないので、アンドレアの語気がやや弱くなる。
「ああ、それはね。僕が言ったからだよ。」
王子の言葉の意味が理解できなかった。
「殿下が言った?」
「ヘンドリックはくじ引きでたまたま生徒会に入ったけど、一緒に活動していてすごく頭がいいことに気付いたんだ。君なら僕よりいい点が取れそうなのにと聞くと、目立たないように点数を加減していると言うからね。」
「どういうことです?」
アンドレアはヘンドリックをつかんでいた手を放し、クリスの方に向きなおった。
「ヘンドリックの父上が、学院にいた頃に良い成績を妬まれて高位貴族に嫌がらせをされたらしくてね。ヘンドリックは自分も同じ目にあいたくないから、わざと白紙で出したりしてたと言うんだよ。」
アンドレアは自分の父親の所業を知らないのか、”そんなことが・・・。”とつぶやいている。
「だから、僕が言ったんだ。今の学院にはそんなことをする者はいないと思うよ、と。万が一、嫌がらせをしてくるような者がいたら僕が罰してやるから全力でテストを受けてみろと。」




