第56話 お茶会
「では、王妃様がお待ちですので、こちらへ。」
マーサの後について歩いていくと、庭園の方へと案内された。
外なんだ・・・。
リアがキョロキョロしていると、クリスたちが立っているのが目に入り少しホッとした。
ルーファスも加わっていた。
ヘンドリック先輩も正装になってる・・・。
ヘンドリックと視線が合い、目で語り合った。
お互い大変だったね・・・、と。
4人と合流し、少し歩くと白く塗られた美しい東屋が見えてきた。
そこには若草色のドレスを着た女性が座っており、クリスが声をかけた。
「母上、生徒会のメンバーを連れてきました。」
まずはルーファスが初めに挨拶をし、ヘンドリックがそれに続いた。
最後にリアが緊張しながら挨拶をした。
「お初にお目にかかります。リア・アーロンと申します。アーロン男爵家の長女でございます。」
リアの顔をまじまじと見つめた王妃は、目に涙をためている。
「ああ、リア・・・よく来たわね。」
気が付けば、リアは王妃に抱きしめられていた。
えっ、なんで・・・?
リアは慌てふためいた。
王妃の肩越しにクリス王子と目が合ったので、彼に助けを求めた。
しかし、クリスは肩をすくめ首を横に振った。
わあ、見捨てないでください・・・。
「女性同士で話したいこともあるでしょうし、男性陣は別の場所で語らいますね。では。」
なんとクリスはそう言うとニッコリ笑い、今来た道を戻って行ってしまった。
ジークフェルドとルーファスもすっとそれに続いた。
ヘンドリックは心配そうにリアの方を見た後、ペコっと頭を下げ王子たちを追いかけて行った。
ああ、置いていかないでください。
っていうか、ヘンドリック先輩だけでも置いていって下さい。
しばらく王妃はぎゅうっとリアを抱きしめていたが、やがて体を離すとリアの顔をのぞきこんだ。
「ごめんなさい。びっくりしたわね。あなたは亡くなった私の妹にそっくりなの。」
エミリア王妃は隣国リンドブルムの出身だ。
妹姫は、たしか十数年前に事故で亡くなったと歴史の授業で教わった。
もしかして、私がその妹姫様に似てるってクリス様が王妃様にお伝えしたから、一度会いたいという話になったのかな。
リアは王妃の顔を初めてじっと見た。
母さまに似ている・・・。
リアは母親似とよくいわれた。
王妃様と母さまが似ていて、母さまと私が似ていたら、私とその妹姫さまが似ていてもおかしくないよね。
自分が王宮に呼ばれた意味が、なんとなく納得できてリアは少し落ち着いた。
「最後にあの子に会ったのは、今のあなたよりもう少しお姉さんだったけど、ずいぶん前なの。その後も、会おうと思えば、会うことくらいできたはずなのに・・・。」
王妃はそう言うと再び涙ぐんだ。
妹姫さまが亡くなったのは15,6年前よね??
王妃の言葉の意味が理解できず、リアは首をかしげた。
そんなリアにエミリアは真剣な表情でお願いをしてきた。
「お願い。一度でいいから”お姉さま”って言ってみて。」
その言葉にリアはギョッとして王妃を見た。




