第55話 お茶会
「今度、リアをお茶会に招きたいんだ。」
クリスに話しかけられ、リアはキョトンとした。
「お茶会?ここでですか?」
リアは教室を指さした。つまり、生徒会室だ。
それを見てクリスが噴き出した。
「違うよ。王宮のだよ。生徒会の話をしていたら、母上が生徒会のメンバー、特に劇に出ていたエミーリア姫に会いたいと言い出してね。ほら、母上もエミリアって名前だろう。」
「えっ?」
リアは青ざめた。
クリスの母上とは、つまりこの国の王妃様だ。
ムリムリムリムリ・・・
リアはブンブンと首を横に振った。
「大丈夫。ルーファスやヘンドリックも来るから。1週間後の週末、よろしくね。」
笑顔でクリスにたたみかけられ、リアに反論できるはずもなく、お茶会行きが決定してしまった。
※
お茶会当日。
目立たないようにするためか、王宮からの迎えの馬車は比較的地味なものだった。
寮組のリアとヘンドリックが、2人でそれに乗り込んだ。
クリスに言われ、制服を着ている。
馬車の中、二人とも表情は硬く冴えない。
「ヘンドリック先輩、王宮でのお茶会って何をしゃべればいいんですか?」
リアに尋ねられたヘンドリックも眉尻を下げた。
「僕も、そんなの行ったことがないからねえ・・・。」
「ですよね・・・。」
リアはしょんぼりした。
「でも、たぶん。クリス王子が間を繋いでくださるから、僕たちは笑顔で頷いたり、聞かれたことにだけ答えたらいいと思うよ。」
「ですよね!」
さすがはヘンドリックだ。
とりあえずニコニコしてたらいいのよ。
リアはそう自分に言い聞かせた。
※
王宮につくと、クリスとジークフェルドが出迎えてくれた。
「やあ、二人ともよく来てくれたね。服はこちらで用意したから、リアは女官長について行ってくれるかい。ヘンドリックは僕たちと行こう。」
えっ?着替えるんだ?
しかも、心の友であるヘンドリック先輩と引き離されてしまった。
「女官長のマーサです。リンドブルムにいる時からエミリア王妃様の専属女官を務めさせていただいてます。お嬢様は、こちらへ。」
王妃様が嫁がれる前からの腹心の女官ってこと?
そんな凄い女官の方でなくていいのに・・・。
リアがドキドキしながらマーサのあとに続くと、とある部屋に案内された。
「まず、お衣装からですね。制服を脱いでいただけますか?」
言われるがまま制服を脱ぐと、マーサをはじめ数人の女官がリアを取り囲んだ。
あれよあれよとしている間に、淡いピンクのドレスを着せられた。
「メガネは外しても、視力に問題はないと伺っています。王妃様とお会いになられる際には外していただけますか?」
マーサに言われ、リアはメガネを外した。
するとリアの顔を目にしたマーサが目を見開いた。
「?」
リアは不思議そうに彼女を見たが、マーサは一瞬で表情をもとに戻してしまった。
「今から、髪の毛のスタイリングと軽いメイクもさせていただきます。」
それって、エリザベス様の家の再現では・・・
されるがまま身をゆだねること30分。
「はい、完成です。」
マーサはとても満足そうだった。




