第54話 小話 バレッタ
その日、リアはルーファスに貰ったバレッタをつけていた。
食堂で一緒に食べてから、時々ルーファスに髪飾りをつけてきて欲しいと催促されるのだ。
せっかくプレゼントしてもらったんだけど、高そうだから失くしたり壊したりしないか気を使うんだよね・・・。
そう思いつつ、とても可愛いのでリアも使いたいという気持ちがあり、差しさわりの無い日を選んでは、時々使うようになっていた。
「あらあ、それカルティオのバレッタじゃない?」
リアが廊下を歩いていると、保健のクロミー先生に声をかけられた。
「そうなんです。クロミー先生は見ただけでカルティオって分かるんですか?」
正直、バレッタなんて一目見てどこのブランドかなど全く分からない。
「これ、今年の新作で、すごく可愛いからボーナスで買おうか迷ったのよ。でも高くて諦めたの。あなたのお家、お金持ちなの?」
「えっ?プレゼントで貰ったんですが、これ、そんなに高いんですか?」
「台はリンドブルム産のプラチナだし、そのブルーサファイアはグラシアス産の稀少なものだもの。・・・って、あなた。そんなことも知らないで、それをつけてたの?」
クロミー先生は愕然とした表情でリアを見た。
「これ、いくらぐらいするんですか?」
リアは恐々聞いてみた。
「えー、そうねえ。確か300万ガロくらいだったんじゃないかしら。」
「さんびゃくまん⁈」
リアが茫然としていると、クロミー先生が残念そうな表情になった。
「価値のわからない人に、そんな高価なプレゼントあげるなんて奇特な人ねえ。学院の人?」
あなたの押しです、とリアは心の中でつぶやいた。
ちょうど、そのタイミングで少し離れたところから大きな声でクロミー先生が呼ばれた。
「クロミー先生!急患です。急いできてください‼」
「あっ、呼ばれちゃった。それ、要らなくなったら私に安く売ってね!」
そう言い残し、クロミー先生はパタパタと去っていってしまった。
その日から、再びバレッタの金庫生活が始まり、鍵も2個に増やされたのだった。




