第52話 ヘンドリックの秘密
その日、ヘンドリックは膝の診察のため病院に行くとのことで欠席申請をしていた。
「1年は放課後に学年集会があるらしいから、リアは1時間ほど遅れてくるみたいだよ。」
クリスが書類を整理しながら、皆にそう伝えた。
「リアが来るまで3人か。」
ジークフェルドの言葉を受け、ルーファスが口を開いた。
「前から気になっていたのですが、リアが元々生徒会に選ばれると決まっていたとして、ヘンドリックはどうだったんです?」
クリスが意味深に笑った。
「ルーファスはどうだと思う?」
「人間的にも、才能的にも選ばれたのが彼で良かったと思いますが、あらかじめ決まっていた言われると、何が決め手だったのか思いつかないので。」
そう言い、首をかしげた。
「僕の推薦だよ。純粋にくじ引きなんてしたら、誰が入ってくるか分からないだろう。万が一アンドレアなんかが選ばれたら最悪だ。」
アンドレアとはディアブロン侯爵家の子息だ。
いつもテストではルーファスの次で、万年2位にいる男だ。
実際に優秀ではあるのだが、身分にうるさく、プライドが高くてめんどくさい人物でなのだ。
ルーファスは公爵家出身なので、特に何も言われたことはないが、一度小テストで男爵家出身の生徒がアンドレアより良い成績を取った時に、嫌がらせをしていたとの噂もある。
確かにアンドレアなんかが選ばれたら、男爵家出身のリアをいじめていたかもしれないな。
ルーファスは納得した。
「リアが委縮しないよう、適度な爵位であることや人間性などで総合的に判断されたわけですね。」
「それだけじゃないけどね。」
クリスは不敵に笑った。
「他に何かあるのですか?」
ルーファスは訝し気にクリスを見た。
「彼は才能を隠している。本気を出したら、ルーファス、きっと君よりも上位にくるよ。」
「な・・・。」
ルーファスより上位ということは、すなわち学年で1位ということだ。
「なぜ、そう思われたのです?」
自分より上と根拠もなく断言されると、少し不愉快だ。
ルーファスは語気を強めた。
クリスは、昨年たまたま目にした光景を思い返していた。




