第42話 ルーファスとのお買い物・後日
翌日、ルーファスを見つけクリスが近づいてきた。
「昨日はどうだったの?進展はあったのかい?」
興味津々といった表情のクリスにルーファスは苦笑した。
「いえ、まあ。楽しくは過ごせたんですが、私の気持ちがリアには正確に伝わっていないようで・・・。」
「あんなに真正面からガツガツいってもかい?」
クリスが意外そうな顔をした。
「たぶん、トルドー公爵家は血統主義が強いから、自分は対象外だと思い込んでるんです。何をしても、何を言っても、懐いている後輩を可愛がってるのか、くらいにしか思ってないようです。」
珍しく、いつも策士のルーファスが弱気だ。
「どうしてリアは、そんな風に思い込んでしまってるんだろうね?」
クリスは不思議そうだ。
「ああ、それは以前、私が言ったからでしょうね。」
以前にリアと交わした会話の内容をかいつまんでクリスに話した。
「うわあ。それはなかなか挽回が難しいな。あまりガツガツ攻めると、結婚はしないが、学生中だけ遊び相手になってくれと言っているように思われそうだ。」
「過去の自分を殴りたい気分ですよ。」
ルーファスはハアとため息をついたのだった。
※
放課後の生徒会室。
リアが入室すると、2年生は既にみんな着席していた。
「ルーファス先輩。昨日はありがとうございました。とても楽しかったです。」
自分に礼を言うリアを見て、ルーファスは少し残念そうな表情になった。
「どういたしまして。私も楽しかったよ。髪飾りはつけてくれないのか?」
「えっ?ああ、失くしたり壊れたりしたらいけないから、寮の部屋の鍵付きの金庫にしまってあるんです。」
リアは満面の笑みだ。
「失くしたら、また買ってやるから、出来れば日常で使ってほしい。リアに似合うと思って選んだものだ。」
もう少し安価なものなら、ぜひそうさせてもらうんだけど・・・。
内心そう思いつつ、ルーファスの言葉を聞いて、せっかく買ってもらった物を全くつけないのも失礼かもしれないという気になった。
「えっと、じゃあ。体育の無い日につけてみます。」
マット運動などして、金具が曲がったり、石が取れたら大変だ。
出来る限り妥協してみたが、ルーファスはその返答で満足したらしい。
笑顔で頷いてくれた。
「それと一緒に学食に行く時もつけて来てくれ。」
「あ、はい。」
ルーファスとリアのやり取りを聞いて、男性陣で一人事情を知らないヘンドリックは不思議そうな表情でルーファスを見ていた。
二人の会話がひと段落するとクリスがリアに尋ねてきた。
「どんな髪飾りを買ってもらったの?」
「ツタと花をモチーフにした銀の土台に、青い石がいくつかはめられたバレッタです。彫刻が繊細ですごく可愛いんです。今度つけてきたら是非見て下さい。」
リアはニコニコと嬉しそうに話をした。
ルーファス以外の三人は、聞いた瞬間に同じことを考えた。
思いっきりルーファスの色だな。
なのに、肝心のリアに気付かれてない上に、鍵付きの金庫にしまわれているなんて・・・。
それまで、憮然と話を聞いていたジークフェルドがニヤニヤとルーファスを見た。
そして視線を受けたルーファスは不機嫌そうに目を逸らした。
空気を察したクリスが手に持っていた書類をトントン音をたて揃えた。
「さあ、そろそろおしゃべりはやめて仕事をしようか。」




