第33話 生徒会室にて
「お疲れ様です。」
リアが生徒会室に入ると、2年生は全員先に着席していた。
「リア、その左腕どうしたの?」
クリスがリアの左腕に巻かれた包帯をみて目ざとく尋ねてきた。
「週末、友達の家に遊びに行って、ケガしちゃったんです。」
4人は不思議そうな表情になった。
貴族の女性が友達の家に遊びに行って、包帯を巻くようなケガをするものだろうか?
「何でケガすることになったんだ?」
ジークフェルドに尋ねられ、リアはありのまま答えた。
「友達と騎士をしているお兄さんの剣の試合を近くで見ていたら、友達がはじき飛ばされて、その下敷きになっちゃったんです。」
「なっ!」
ジークフェルドは驚きのあまり息をのんだ。
「週末、家に遊びに行くような友達がいるのか?」
剣の試合を見たことじゃなくて、驚くところ、そこなんだ⁇
不思議に思いながら、リアが頷くとジークフェルドの表情が険しくなった。
「付き合っているのか?」
「???・・・誰と誰がですか?」
ジークフェルドが何を聞いているのかわからず、リアが聞き返した。
「だから、リアとそいつが・・・」
ジークフェルドの発言を遮るようにヘンドリックが声をはさんだ。
「リアちゃんの友達って、前に言ってたイーリス・ワッツ伯爵令嬢のことだよね。」
「あ、はい。そうです。」
「イーリス?」
そこでジークフェルドは初めて自分の勘違いに気付いた。
「友達って女なのか?」
「はい。女性騎士を目指してるそうです。一度、家に試合を見に来たらどうかって誘ってもらったんです。すごい迫力でした。」
リアはその時の様子を思い出したからか、少し興奮気味だった。
「ワッツって、あのめちゃくちゃ大きい兄弟か?」
ルーファスが尋ねてきた。
「あ、そうです。皆さん、びっくりするくらい大きかったです。ルーファス先輩はご存じなんですか?」
「一番下の弟が3年生の時、私が1年だったからな。1人で歩いているだけでも目立ってたのに、親兄弟みんな集まって文化祭に来ているのを見たんだ。なかなか壮観だったよ。」
「ですよね。2番目のお兄さんが一番大きくて203㎝なんですって。」
「ひゃあ、203・・・」
ヘンドリックが肩をすくめた。
「っていうか、どうしてリアは剣の試合なんて見に行こうと思ったんだ?」
普通の貴族女性が喜ぶようなことではないはずだ。
ジークフェルドに聞かれ、リアは領地でのことや体育のことなど事情を説明した。
「男爵領で剣を教わっていた?」
「そうなんです。うちと取引のあるリンドブルムの商人さんなんですけど、昔に騎士をしていたんです。」
「リンドブルムの商人・・・」
ジークフェルドがそれを聞いて考えこんだ。
「母はリンドブルム出身なんですけど、母の昔からの知り合いなんです。」
「へえ、貴族の女の子に剣を教えるなんて面白い人だね。」
クリスにそう言われ、リアは首をかしげた。
「教えられたというより、遊んでもらってた感じなんです。イーリスのお兄さんたちほどじゃないですけど、けっこう大きな人で、私がすごくなついてて。その人は暇があると素振りをしていたので、私もやりたいってせがんだら遊びがてら・・・みたいな。」
ジークフェルドはチラッとクリスを見た。
クリスは笑顔でリアの話を聞いていた。
「リアはその人のことが大好きなんだね。すごく懐かしそうに話してる。」
リアは大きく頷いた。
「はい!もう一人のお父さんというか。私の父は線の細い感じの人なので、肩車とか外遊びとかはその人によくしてもらったんです。」
リアは彼のことを思い出し、懐かしそうに目を細めたのだった。




