第157話 終章
「おはようございます。リア・アーロン改め、現在はリア・ローゼンハイムになりました。私自身、母の出自を聞いて2か月も経っていないので、自分でもまだ信じられないような気持ちでいます。生徒会についてですが、途中で辞めてしまうことを申し訳なく思っています。残ったメンバーを是非皆さんで支えてあげて下さい。王立学院では友達もでき、色々なことが学べました。皆さんとお別れすることは悲しいし寂しいですが、新しい場所で私も頑張っていきたいと思っています。今までありがとうございました。」
4月のくじ引きの時のようなたどたどしさは無くなったものの、王子たちと比べ緊張し初々しいリアのスピーチに惜しみない拍手が送られた。
「ちびっこ。リンドブルムでも頑張れよ!」
前と同じ先輩だろうか。
その激励に会場から笑いが起こり、リアも笑顔を浮かべたのだった。
※
その後も始業式は続いていたが、自分たちの挨拶を終えリアとジークフェルドは講堂を抜け生徒会室に来ていた。
カラカラカラ
扉を開け中に入ると、リアは自分が使っていた席に行き腰かけた。
思い返せば初めてこの部屋に入った日は、とんでもないことに巻き込まれたとすごく落ち込んだのだった。
あれからたった半年だけど、この部屋を去るのがこんなに寂しいと感じるようになるなんて・・・
座ったまま目をつむると、ジークフェルドにクリス、ルーファス、ヘンドリックが部屋の中でガヤガヤと楽しそうに雑談している姿がまなうらに浮かんだ。
ジークフェルドも自分の席に座り、目を閉じもの思いにふけっているリアを見つめた。
リアのことを初めて女の子なんだと認識したのは、あの時だ。
お腹が痛いと言って、この席で突っ伏していた日。
うるんだ金の瞳で見つめられた瞬間、その瞳に囚われた。
あの時からだ・・・
そう思い返した後、生徒会室で起こった様々な出来事が思い出された。
2人はしばらく何も話さず、そうしてそれぞれ自分の思いにひたっていた。
「リア」
ジークフェルドに名前を呼ばれ、リアが目を開いた。
「そろそろ行こうか。」
ジークフェルドは立ち上がり、リアの席の方へ歩み寄った。
「そうですね。」
そう答えつつ名残惜しそうに自分の机をなでているリアを、ジークフェルドが突然抱き上げた。
「きゃあ」
横抱きにされ、思わずジークフェルドの首にしがみついた。
「敬語のペナルティだ。・・・前もここからこうして運んだな。」
懐かしそうに目を細めるジークフェルドを見てリアも微笑んだ。
「ええ。」
そして、どちらからともなく口づけを交わした。
その後ジークフェルドはそっとリアを降ろすと、生徒会室を出て行った。
ジークフェルドの後に続いて部屋を出たリアは数歩歩んだ後、後ろを振り返った。
そして見慣れたその入り口の扉に”ありがとう”とつぶやくと、先に行くジークフェルドを追いかけたのだった。
Fin.




