第150話 アルノーへの帰還
カイルとクリスがアルノーに帰った後、それを寂しがる時間もないくらい忙しい毎日だった。
そして、学院の中期休暇が終わる少し前にリアとジークフェルドは一度アルノーを訪れることになった。
行きの馬車のぎこちなさが嘘のように、帰りの馬車の中は甘い雰囲気が漂っていた。
「ジーク。やめて。小窓から見えるわ。」
リアは、自分を抱きしめ頬にキスをしようとするジークフェルドを押し返そうとした。
「王族教育とかで、ほとんど触れ合えなかったんだ。旅行中くらいいいだろう?」
それは確かにそうだけど・・・
小窓の方にチラッと目を向けると、なんと馬車の外からニヤニヤと笑いながらこちらを眺めるライアンと目が合った。
やっぱり無理!
リアは真っ赤になり、力を込めてジークフェルドから身体を離そうとしたがびくともしなかった。
そんな楽しい(?)旅は道中ライアンに冷やかされたりしながら、あっという間にアルノーに到着したのだった。
滞在先はアルノーの王宮だ。
王宮ではエミリア王妃とクリスが出迎えてくれた。
エミリアの顔を見てリアは泣きそうになった。
何と言っていいのか、言葉が出てこない。
そんなリアを見てエミリアは両手を広げフワッと笑顔になった。
「リア、おかえりなさい。」
リアは思わずエミリアの胸に飛び込んだ。
「王妃様・・・。」
母の面影を色濃く映すエミリアに、亡き母に対する思慕のような感情がわきあがった。
おそらくエミリアもリアと同じような気持ちなのだろう。
仲の良かった妹によく似た娘。
最期まで会えなかった妹が帰ってきたような思いが込み上げているに違いない。
「リア。聞いたでしょう。私はあなたの伯母なのよ。そう呼んでちょうだい。」
「エミリア伯母様・・・」
到着した日はアルノーの王族との晩餐会が開かれ、国王や第一王子のヘンリーとも顔合わせをした。
エリザベスとも久々の再会となった。
「まあ、リア。可愛くなったわね。私の教えたことをちゃんと守っているようね。いいことだわ。これからもきちんとするのよ。」
再会するなりそう言われた。
エリザベスらしい言葉にリアも笑顔になった。
翌日は丸一日エミリアと過ごし、母の思い出について語り合った。
「前回あなたが王宮に来た時は本当のことが言えなくて歯がゆかったのよ。今回、こうしてミアのことを話せて嬉しかったわ。」
全く知らなかった母の昔の話を聞き、ロイの話も出た。
リアにとってもエミリアと過ごす時間は、とても楽しく夢のような時間となった。




