第149話 専属護衛騎士
ライアンが訓練場で他の近衛騎士たちと鍛錬していると、隊長が近づいて来た。
うへえ。また理不尽な用事を言いつけるつもりかよ。
内心うんざりしながら、隊長に笑顔を向けた。
「何か御用でしょうか?」
「陛下がおまえをお呼びだ。」
「へいか?」
思ってもみない人物の名前があがりライアンはきょとんとした。
「何をしている。早く行け。」
※
国王陛下に呼ばれるなんて、そんな悪いことをした覚えはないけど、なんかドキドキするな。
ガラにもなく少し緊張しながら国王の執務室の扉をノックした。
「ライアン・カニンガムです。お呼びと伺い参上致しました。」
「入れ。」
許可を得て室内に入るとエリオット陛下の他に宰相の姿もあった。
「?」
「訓練中呼び立ててすまなかったな。実はジークフェルドの専属護衛騎士を勤めているレオの兄が急逝してしまってな。レオが実家の伯爵家を継ぐことになったんだ。」
それを聞き、ライアンは自分が呼ばれた理由を理解した。
王族は一人ずつ専属の護衛騎士が近衛から選ばれることになっている。
枠に空きが出ると、その年の剣術大会の順位の高い者から本人たちの相性もみて決定されるのだ。
今年の優勝者はライアンだ。
ジークフェルドとの相性もばっちりだろう。
”ジークフェルドの専属騎士になってくれ。”
ライアンは国王からその言葉が出るのを待った。
「ライアン。君は今年の剣術大会で優勝しただろう。だからジークフェルドに君でいいかとたずねたんだが、」
が?
「君と並ぶとどっちが王子かわからなくなりそうだ、と言われたんだよ。」
はあ?
あのクソ王子。そんな理由で俺を断るというのか?
専属騎士になることは大変な名誉だ。
そして何より給料や手当が格段に増えるのだ。
俺はこの顔に生まれて、得した回数と損した回数のどっちが多いんだろうな?
笑顔が引きつりそうだ。
ん?待てよ。
じゃあ、なぜ俺はここに呼ばれたんだ?
「それでリアに君のことを聞いてみたら、気さくで話しやすい人ですねと言われたんだ。リアの専属騎士になってくれないか?」
来たあぁぁ
ライアンは内心ガッツポーズをした。
自分の身を自分で守れるようなむさくるしい男子など、こちらから願い下げだ。
可愛い女の子の護衛騎士の方が楽しいに決まっている。
「謹んでお受けさせていただきます。」
執務室を出た瞬間ガッツポーズが出た。
よし、リアムとルイに自慢するぞ。
そして、ウキウキした気分で訓練場に戻って行ったのだった。




