第141話 東の離宮 2日目
リアが高級な物を欲しがるような女性でないことは分かっている。
ルーファス・トルドーが高級ブランドのバレッタを贈り、リアに金庫にしまわれたという話を聞いた時、同じ男として気の毒に思うと同時にルーファスはリアのことがわかっていないなとも思った。
この石はグラシアス産のアメジストの中でも透明度の高い最高級品だが、アメジスト自体はそう高価な宝石ではないから、リアもつけることに抵抗が少ないだろう。
「ありがとうございます」
リアは笑顔で再びお礼を言った。
それからはソファに座って、植物図鑑やグラシアスで流行っているという演劇の本を一緒に眺めた。
それは大判の本で、脚本形式で書かれており綺麗な挿絵がたくさん描かれていた。
「この絵、素敵ですね。」
「どれかな?僕にも見せて。」
リアがある絵を指さすと、すぐ隣に座っていたアルフォンスが覗き込んできた。
アルフォンスの少し長い黒髪がリアの肩に当たり、彼の手がリアの腕に触れた。
昨日と比べ少しずつ2人の距離は縮まってきていたが、そのステップが本当にほんの少しずつなのでリアも違和感なく、それに馴染まされていっていた。
アルフォンスは強引ではないようで強引だ。
世間慣れしていないリアに太刀打ちできるはずもなかった。
※
夜になり自室でピアスを外そうとしたが、上手く外せなかった。
「?」
鏡で見ると、耳の後ろにピアスの針をはさむ金色の蓋のようなものが見えた。
回しても、引っ張っても外せなかった。
つけたまま寝て明日アルフォンスに聞こうかと思ったが、時間もそこまで遅くなかったので、彼に外し方を尋ねることにした。
トントン
「こんな時間にどうしたの?」
部屋の扉をあけたアルフォンスはリアを見て驚いていた。
「このピアスの外し方を聞こうと思って・・・。いつも寝る時はアクセサリー類を全部外してるんです。」
アルフォンスは、ああという表情になった。
「そのピアスは特殊な工具がないと外せないんだ。後ろ側も丸くなってるし寝ている間も傷になったりしないよ。ここにいる間はつけておいて。」
その言葉にリアは驚いた。
えっ、じゃあ。これ、自分じゃ外せないってこと?
びっくりしているリアを見てアルフォンスはクスっと笑い、リアを抱きしめてきた。
軽くおでこにキスをした後、耳元でささやいた。
「おやすみ。僕のお姫様。いい夢を。」




