第136話 帝国の過去
「私のおばあ様?」
つまりユーフェミアの母ということか。
「君のおばあ様は、もともと王家の流れをくむリンドブルムの公爵家の娘で、リンドブルムゴールドの持ち主だったそうだよ。僕の祖父が皇太子だった時にリンドブルムで会う機会があったそうだ。2人とも既に婚約者がいる状態だったし、その時は祖父の一方的な片思いで終わったんだ。」
初めて聞く話にリアは固唾をのんで、耳を傾けた。
「ずっと後になって、たまたま祖父が君の母君を目にする機会があった。ユーフェミア王女は君のおばあ様によく似ていたらしくて、祖父の昔の恋心がよみがえってしまったんだ。その時、グラシアスの正妃はすでに他界していたからその座は空いていた。だから年甲斐もなく祖父は自分の子供くらいの年だったユーフェミア王女を妻にしようとしたんだ。」
衝撃的な内容だった。
母さまはそんな事情知っていたのかしら?
「祖父は女性関係はだらしなかったけど、皇帝としてはすごく有能だったし、僕も尊敬していた。よく私室にも出入りさせてもらっていたんだけど、その部屋にユーフェミア王女の肖像画が飾ってあったんだ。祖父が亡くなるまでずっとね。」
母が湖で亡くなったと聞いてから17年もの間ずっと飾っていたということか。
グラース三世の母への執着にリアは少し恐れを感じた。
「ユーフェミア王女との婚約がととのった時にリンドブルムから贈られたものらしいけど、その絵を見ながら、幾度となく祖父からリンドブルムゴールドの話を聞かされたんだよ。」
リアには内緒だが、子供心にその可憐な絵の女性に淡い恋心を抱いた。
そして、尊敬する祖父が焦がれるように話すリンドブルムゴールドの瞳に自分も憧れをいだいていたのだ。
「なるほど、それで私の目を見てピンときたんですね。」
アルフォンスは頷いた。
「さあ、リア。説明は終わったからお仕置きの時間だよ。」
そう言って再びリアをぎゅうっと抱きしめた。
ひゃあ、先生。記憶力良すぎです!
アルフォンスの腕の中でぐったりするリアであった。




