第135話 帝国の過去
東の離宮には、本宮にあったようなガラス張りのテラスがあった。
そこで昼食を取った後、午後はテラスで過ごすことになった。
「リアはできる教科とできない教科の差が大きいけど、歴史はあんまり詳しくなかっただろう。今日はリンドブルムとグラシアスの歴史的関係についておさらいしておこうか。」
学院にいた頃、アルフォンスに成績について詳細に話したことがあった。
それが、まさかこんな所で歴史の勉強をすることになるとは・・・。
「先生が教えて下さるんですか?あっ。」
思わず先生と言ってしまいリアが口元を押さえると、アルフォンスが嬉しそうに笑みを浮かべた。
「リア、お仕置きだ。」
アルフォンスは立ち上がると椅子に座るリアを背後から抱きしめた。
彼の顔がちょうどリアの首筋の後ろにきて、その息遣いが感じられた。
リアは心臓が止まるかと思うほどドキドキして固まった。
カチカチになったリアを最後に一度ぎゅうっと力を込めて抱きしめた後、アルフォンスはするっと手を離した。
「ふふ。少しずつ僕に慣れていってね。」
その後、リンドブルムとグラシアスの大まかな歴史や両国のからみなどを説明してもらった。
「せん・・・説明が上手だったので、すごく分かりやすかったです。」
思わず”先生の”と言いかけ、慌てて言い直した。
「先生って言いかけたね?」
しかし、耳ざとく聞きつけたアルフォンスは見逃してくれなかった。
「言ってないです。」
リアはプイっとアルフォンスの反対側に顔をそむけた。
「アルの説明がって言い直してくれたら、今回は見逃してあげるよ。」
アルフォンスはにっこりと笑った。
言うとおりにしないと、またぎゅうっとするつもりなのだろう。
「アルの説明が上手だったからわかりやすかったです。」
リアは諦めて言い直した。
「どういたしまして。」
アルフォンスは満足そうに頷いた。
その後も講義が続いた。
リンドブルム王国におけるリンドブルムゴールドの瞳の持つ意義について話が出た時、リアはふと前から思っていた疑問を口にした。
「先生は以前、私の目を見てリンドブルムゴールドだと気づいたとおっしゃってましたけど、外国の方なのにそんなことよく分かりましたね。」
この国の王子であるジークフェルドでさえ、リアの瞳についてはっきりと認識していなかったのだ。
「リア、アルだよ。お仕置きは後でさせてもらうけど、まずは何故僕がそれを知っていたか説明しようか。」
あ、またやっちゃった・・・。
慌てるリアの様子をおかしそうに見ながら、アルフォンスが続けた。
「もともと僕の祖父、グラース三世は君のおばあ様のことが好きだったんだよ。」




