第133話 東の離宮
アルフォンスに連れられて離宮の外に出ると、建物のすぐ横に木が生い茂った森が広がっていた。
リアの部屋は3階の角部屋だったが、下から見ると森の方に面しているようだった。
そういえば、窓から森の木が見えていたような気がする。
「西の離宮の庭園は、大きく花園と池の2つのエリアに分かれてたんです。こちらは違うんですね。」
「僕も隅々まで見たわけじゃないけど、東にも花園はあったよ。こっちは池の代わりが森なのかな?」
そんな話をしながら、2人はその森の中へと足を進めた。
森と言っても王宮内にあるものなので、きちんと整備されていたし遊歩道もついていた。もうじき寒くなる季節だが、森の中には鳥の鳴き声が響き、森林独特の木の香りがした。
学院に来てからはずっと王都にいたので、アーロン領の森に帰ってきたような懐かしい気持ちになった。
心地よさそうに歩くリアをアルフォンスは優しく笑みを浮かべながら見守っていた。
学院でもそうだった。
リアは思った。
先生はいつもリアが話すことを楽しそうに聞いてくれて、父さまと話しているような気持ちになっていたのだ。
新種のオレンジの苗を植え替える作業をしたり、作物作りのための土づくりをしたり、何度か一緒に農作業をしたが、先生はいつも穏やかで優しく一緒にいて楽しかった。
アルフォンスのことは好きか嫌いかと聞かれたら、基本的に好きなのだ。
ただ、その好きは恋愛的な意味ではない。
先生になんて伝えたらいいんだろう・・・。
リアが心のなかでそんな事を考えていると、いつの間にか大きな広場に行きついた。
そこは森の中にぽっかり空間があいたようになっていた。
「あそこに馬小屋がみえるだろう。」
アルフォンスが指差す方向を見ると、広場の向こう側に小屋が建っているのが見えた。
「あそこに馬がいるから頼んだら乗れるらしい。乗ってみるかい?」
「はい!」
リアは即答した。
領地には馬もいたし、農作業用の牛もいた。
動物は大好きだった。
ウキウキした足取りで小屋にむかい、中をのぞくと餌やりをしている初老の男性がいた。
アルフォンスが声をかけると、男性は慌てて頭を下げてきた。
「お話は伺っています。どうぞ、こちらへ。」
小屋の中に案内され、馬を見て回った。
「この黒いのが国王陛下の馬で、あそこのこげ茶が王太子殿下、こちらの栗毛がジークフェルド殿下の馬ですね。それ以外でしたら、どの馬でも乗れますよ。」
男性が小屋の中を案内しながら教えてくれた。
王族専用の馬はどれも体格が大きく、毛艶もつやつやしていて立派だった。
また機会があれば乗せてもらいたいな。
リアはそう思いながら、他の馬に目をやった。
そうすると、そのうちの一頭が目に入った。
たてがみまで真っ白の白馬だ。




