13 生徒会室での会話
全校集会の日から3週間ほどが過ぎた。
トントン
ノックの音とともに生徒会室の扉が開けられた。
「失礼します。」
軽やかにリアが中に入ってきた。
「ルーファス先輩、この化学のノートありがとうございました。先輩が引いてくれていた赤線のところをしっかりやったら小テスト満点でした!」
リアが満面の笑みでルーファスに黄色のノートを手渡した。
彼はそれをカバンにしまうと、緑のノートを取り出した。
「それは良かった。これ昨日言ってた歴史のノートだ。赤線と波線を引いている所を重点的に覚えたらいい。」
「ありがとうございます。すごく助かります。」
リアはニコニコしながら、緑のノートを自分のカバンにしまうと、奥に座っていたクリスとジークフェルドの方を向いた。
「今日は女子寮の清掃当番なので、生徒会はお休みさせてもらいます。すみません。」
「ああ、ルーファスの許可を取っているなら問題ないよ。お疲れ様。」
クリスがそう言うと、リアはニコリと笑い、ペコリと頭を下げ教室を出て行った。
リアが去った後、クリスがニヤニヤしながらルーファスに話しかけた。
「ルーファス。君が自分のノートを誰かに貸してあげるなんて、びっくりしたよ。押し付けられたはずの子だぬきちゃんを、ずいぶん可愛がっているんだね。」
以前、自分がした発言を持ち出して茶化され、ルーファスは嫌そうに眉をひそめた。
「生徒会の役員が赤点ばかりじゃ、みっともないでしょう。それにリアが追試だらけになれば、会計の仕事が全部私に回ってきますからね。」
「リアは勉強が苦手なのか?」
クリスの質問にルーファスは首を横に振った。
「むしろ賢い子ですよ。正直、私も驚きました。」
「へえ?そうなの?」
「頭はいいんですが、知識に少しかたよりがあるんですよ。彼女は実家の男爵家を継ぐつもりなので、領地経営に必要なこと、例えば読み書きや計算、経済、法律・・・そういったことは優れてるんです。ただ、化学や歴史などは全くやったことがないようで、基礎的なこともほとんど知らないんです。」
「なるほど、だから化学のノートなのか。」
「殿下方が低位貴族と交流するためにくじ引きを行うと言い出した時は、何を言い出すんだと思いましたけどね。私も彼女から学ぶことがあり、いろいろと視野を広げることは大事なんだと痛感しましたね。」
「リアから何を学んだんだ?」
ジークフェルドが尋ねてきた。
「低位貴族でも高位貴族でも、この学院にくる目的の一つに結婚相手を見つけるということがありますが、私はトルドー公爵家になるべくダメージを与えない女性を見つけたいという観点で探していたんです。」
「ダメージ?どういうことだ?」
ジークフェルドが眉をひそめた。
「つまりですね、うちの財産を浪費して食いつぶさないとか、派手な服装をしないとか、非常識な行動をとって家の評判を落とさないとか。そういうマイナスポイントのより少ない女性を選ぼうと思ってたんです。」
「あはは。マイナスポイントか。君らしい考え方だね。」
クリスが大笑いした。
「まあ、確かに資産家のトルドー公爵家にとれば大事なことだがな。」
ルーファスの言葉にジークフェルドも納得したようだ。




