第120話 リアの決断
一方、西の離宮に戻った3人は、ジークフェルドの部屋に集まっていた。
「色んな事を一気に聞きすぎて、混乱してるんじゃないか?」
ジークフェルドに聞かれ、リアは首を振った。
「前から不思議に思っていたことや、疑問に思っていたことが解決してスッキリしました。」
リアの笑顔を見て、ジークフェルドもホッとしたように息をついた。
「今までリアに本当のことが話せなかったから、もどかしい時も多かったんだ。やっと隠し事なくリアと話せるから俺もホッとしたよ。」
ジークフェルドも笑顔になった。
見つめ合い2人の世界に入ったリアとジークフェルドに、クリスがコホンと咳をした。
「僕がいることも思い出して欲しいな。」
「クリス様」
リアがクリスに目を向けた。
「リア。君は僕のいとこなんだよ。様はなしでいいよ。」
「そんなわけには・・・。」
リアは焦って首を振った。
「ふふ。急には難しくても、そのうちにね。」
クリスも機嫌が良さそうだ。
「エミリア叔母上も喜んでおられるんじゃないか?リアのこと、すごく心配しておられたからな。」
ジークフェルドの言葉にクリスも同意した。
「ああ。母上は今すぐにでも、リアに伯母だと名乗りたいとおっしゃっていたからね。」
そうだ、エミリア王妃はリアにとって実の伯母になるのだ。
彼女からは、初めて会った時から疑いようのない親愛の情を向けられていると感じていた。
あれは、本当に心から私の事を愛おしいと思って下さっていたのね。
「アルノーに戻ったら、一番に王妃様にお会いしたいです。」
笑顔で話すリアにクリスが微妙な表情になった。
そして、ジークフェルドの方をチラッと見て2人で頷き合った。
「?」
リアは不思議そうに2人を見た。
「リア。良く聞いて。君はこの先、アルノーには戻れないよ。」
クリスは真剣な表情だった。
「えっ?」
凍り付いたリアを、ジークフェルドが後ろから抱きしめた。
クリスは正面からリアを見つめ、言葉を続けた。
「もちろん一時的に訪れたりは出来るよ。でも、リンドブルムの王女の娘だと公表し、ローゼンハイム公爵の養女になるならば、君はリンドブルムの国民となる。王族になるため新しく学ばないといけないことも沢山あるし、アルノーの学院は辞めることになるだろう。」
リアは言葉を失った。
「そんな・・・」
仲良くなった友達や、生徒会とのメンバーともこんな急に別れなければいけないの?
青ざめ表情を強張らせたリアに、クリスが尋ねた。
「もし、君がそれが嫌でアルノーに戻りたいと言うなら、今ならさっきの話を覆せるよ。まだ、どこにも公表されてないからね。どうする?」
アルノーに帰ることを選べば、ジークフェルドとの別れを意味する。
どちらかを選ばないといけないのなら・・・
リアは背後から自分を抱きしめるジークフェルドを振り返り、チラッと見上げた。
「リンドブルムに残ります。」
はっきりと言い切ったリアを、ジークフェルドが力を込め抱きしめた。
「幸せにする。」
ジークフェルドはささやくようにリアの耳元で告げた。




