第116話 国王とのお茶会
「全員揃ったところで一度席につこう。」
エリオットの言葉を聞いて、立っていた者も席についた。
リアの横にはカイルとジークフェルドが腰かけた。
「まず、リアにはなぜミアがアルノーに行くことになったか話をしよう。」
この中で一人だけ事情を知らないリアのために、エリオットがグラシアス帝国との関係から生じた出来事について全て説明してくれた。
父と母との馴れそめを初めて知り、リアは驚いた。
そんな大恋愛だったんだ。
父は穏やかな人だったし、母はふわっとした浮世離れした感じの人だった。
そんな激しい恋をするように思えなかったので意外だった。
「グラシアス帝国を騙す形になってしまったから、ミアが生きていると知られるわけにはいかず、連絡を取ったり会うこともかなわなかった。そうしているうちに・・・。」
エリオットが目頭を押さえた。
「一目ミアに会いたかった。まさか王宮での別れが最後になるなんて・・・。」
エミリア王妃が言っていたのもこの事だったのか、とリアは思った。
母さまはお兄さんやお姉さんに、こんなにも愛されてたんだ。
母が幸せな家族の中で育ったことを知って、リアは温かい気持ちになった。
「ロイから君が生まれたことを聞いた時は嬉しかったよ。その時はグラース三世が亡くなった後なら、ミアやリアに会うことぐらいは叶うだろうと思っていた。」
グラース三世が亡くなったのは昨年だ。
50年以上の長期にわたって帝国の覇権を握った皇帝の崩御は大ニュースだったからリアも知っている。
母さまが亡くなった後だ・・・。
「ミアの死を聞いて、君をどう扱うか迷ったよ。ジークのアルノーへの留学が君の入学時期と重なると知って、まずは彼の意見を聞こうと思ったわけだ。」
父の視線を受けジークフェルドが苦笑を浮かべた。
「リアが生徒会に入ってすぐの時は、そのまま男爵令嬢として人生を歩んだ方がリアにとっていいんじゃないかと思ったから、父上にもそう報告してたんだ。」
「その後、エミリアから連絡が来た。実際にリアに会ってみて、エミリアは君を王家に迎え入れたいと言ってきた。あの子はユーフェミアと特に仲が良かったからね。妹にそっくりな姪を見て情がわいたのだろうと思ったよ。でも、君の瞳がリンドブルムゴールドという事を聞いて、私も一度リアに会ってみたいという気になったんだ。」
「リンドブルムゴールド?」
初めて聞く言葉だ。
「リンドブルム王家に代々受け継がれた金色の瞳のことだよ。リアの瞳は明るい金色の中に濃い金の粒が散りばめられているだろう。」
自分の瞳の色をそんなに詳しく見たことがなかったので、今一つピンとこなかったがエリオットが言うのならばそうなのだろう。
「さて、リア。ここからが本題だ。君はこれからどうしたいと思っているのか聞かせてほしい。」
その言葉に、リアは緊張した面持ちでエリオットを見た。




