第115話 国王とのお茶会
「・・・生徒会は・・・?」
リアは絞り出すように尋ねた。
「くじ引きというのは建前だった。君が選ばれることは決まってたんだ。」
クリスの答えにリアは愕然とした。
あの楽しかった日々は作られたものだったのか、と。
自然な流れでメンバーと打ち解けていったと思っていたが、2人が自分に優しくしてくれていたのはリアが母の娘だったからで、ここに連れてくるためだったからなのか。
泣きそうな表情になったリアにジークフェルドが慌てて話しかけた。
「勘違いしないで欲しい。父上から頼まれたのは、お前が幸せに暮らしているか確認することと、困っていることがあれば助けてやれということだけだ。」
膝の上で握りしめていたリアの手の上に、ジークフェルドは自分の手を重ねた。
「確かにリアを生徒会に入れたのは計画的なものだったけど、俺の気持ちは誤解して欲しくない。一緒に過ごすうちに、少しずつリアのことが好きになっていって、お前をリンドブルムに連れていきたいと思うようになったんだ。」
真剣な表情で話すジークフェルドに、リアも彼を見つめた。
円卓の向こうで王妃様がおかしそうに笑っている。
「まあ、若いわねえ。あの子ったら親が目の前にいるって忘れてるのかしら?」
国王もその言葉に笑みを浮かべた。
「ジーク。おまえはリアのことが好きなのかい?」
父の問いにジークフェルドは力強く頷いた。
「はい。本人にも気持ちを伝えてあります。」
「リア。君もジークのことが好きなのかな?」
リアも小さな声で”はい”と言いながら頷いた。
「ふむ。それなら選択肢が変わってくるな。ロイ、カイル。もう出てきていいぞ。」
国王の呼びかけに、飾られていた観葉植物の陰から父とロイが現れた。
「父さま、ロイ?どうして・・・?」
リアは目を見開いた。
父はアルノーにいるはずだ。
カイルはリアの前まで来ると懐かしそうに目を細めた。
「リア。少し見ない間に綺麗になって・・・。女の子の成長は早いねえ。ミアにそっくりだよ。」
そう言うとリアを抱きしめた。
「父さま、どうして・・・。」
「エリオット陛下に呼ばれたんだよ。リアをリンドブルムに呼ぶから、今後のことについて一度話し合いたいと言われてね。」
「そんな・・・。」
「リアがミアの娘である限り、いつかこんな日が来るかもしれないという可能性は常に考えていたよ。陛下はリアに何かを強制することはないとおっしゃって下さっているから、話を聞いてゆっくり考えよう。」
いつものように穏やかな口調で諭され、リアは父の腕の中で頷いた。
そして父に抱かれたまま、すぐ横に立つロイを見た。
「リア。俺の本名はロイス・ローゼンハイム。役職はこの国の将軍だ。かつて近衛騎士団に所属し、ユーフェミア様の専属護衛騎士と勤めていた。」
リアの中で不思議に思っていたことや違和感を感じていたことが、全てきれいに繋がった。
エミリア王妃があれほどリアに優しくしてくれたこと、ロイがあれほどリアを可愛がってくれたこと・・・。
「今までアーロン領で、おまえと遊び過ごした日々は、仕事からの義務感じゃない。おまえを本当の娘のように思っていたし、会いに行くのをいつも楽しみにしていた。そこはわかってくれ。」
真剣な表情のロイに、リアは”うん”と言って頷いた。




