第114話 国王とのお茶会
お茶会の会場は天井も含め四方がガラス張りの温室のような部屋だった。
中は明るく、様々な植物や色とりどりの花が配置され室内なのにガーデンパーティーのような開放的な雰囲気が漂っていた。
部屋に案内されたリアは、その美しさに驚いた。
「ジークフェルド殿下にクリス殿下、リア・アーロン男爵令嬢が到着されました。」
侍従の声がガラス張りの室内に響いた。
リアは頭を下げ、国王からの言葉を待った。
「遠い所からよく来てくれた。非公式の場だし、かしこまる必要はない。頭を上げてくれ。」
国王の声だろうか。
リアは恐る恐る頭を上げた。
すると部屋の中央に置かれた円卓に座っていた男性と目が合った。
男性は金色の髪に青い目をしており、年は40代後半くらいだろうか。
男性の隣には銀髪に青い目の女性が座っていた。
綺麗だが、女性にしてはキリっとした雰囲気をまとっている。
この方がリンドブルムの国王陛下・・・。
色は同じだけと、ジークフェルド様にはあまり似ておられないんだ・・・。
隣の方は王妃様よね?
ジークフェルド様はお母様似なのね。
リアは2人を見つめながら、そんな感想を抱いていた。
一方、リアを見た国王は、目をみはったかと思うと右手で目元を覆い隠した。
リアは驚いて立ち尽くしてしまった。
えっ?私、何か失礼なこととかしてしまった・・・?
頭を上げて陛下を見ただけで、思い当たることは何もない。
国王は何か小さくつぶやくと、ゆっくりとリアに近づいた。
そして動けずにいたリアを、そっと抱きしめた。
リアは何がなんだか分からず、硬直するしかできなかった。
「ああ、リア。君は母親に、ユーフェミアにそっくりなんだね。これ程似ているとは思わなかったよ。最後に会った日のミアが帰ってきたみたいだ。」
ミア?
それは亡くなった母の名前だ。
「父上・・・」
ジークフェルドが焦りを含んだ声で父親に呼びかけると、国王は腕をゆるめリアから少し身体を離した。
「エミリアから相談を受けた時は、私はまだ迷っていたんだ。無理に王族に連れ戻さない方が平穏に暮らせるんじゃないかと。でも、君を見て一瞬で考えが変わったよ。」
リアは国王の言葉の意味が分からず、不安そうに彼を見上げた。
「リア。落ち着いて聞いてほしい。君の母親は、私の妹のユーフェミア王女なんだよ。君は私の姪なんだ。」
「・・・・。」
驚きのあまり声も出ないリアを国王はもう一度抱きしめた。
「詳しい話は、座ってしよう。こっちへおいで。」
国王に促され、リアはぎこちなく歩き勧められた椅子に腰かけた。
リアに続き、ジークフェルドとクリスも彼女の両隣に座った。
2人とも気づかわしげな表情でリアを見ている。
2人の視線を感じ、リアはハッとした。
母さまが陛下の妹という話が本当なら、私はこの2人のいとこという事になるの・・・?
ジークフェルドとクリスに交互に視線を移したリアにクリスが微笑みかけた。
「そうだよ。僕たちは君のいとこになる。」




