第112話 お見舞い
ルーファスが片眉を上げた。
「どういうことだ?」
「今回の旅行は僕たちも一応誘われたけど、結局はリアちゃんをリンドブルムに連れて行くことが目的だろう?リアちゃんに会って、あちらの国王陛下がどう判断されるか・・・。」
ヘンドリックはそこで言葉を止めた。
「事実を知らせて、リアに決めさせるんじゃないのか?」
以前、クリス王子がそのような事を言っていた気がする。
それならば、リアの性格を考えたら父親や友人がいる慣れ親しんだアルノーに戻ってくる可能性の方が圧倒的に高いだろう。
「リアちゃんの瞳をしっかり見たことはあるかい?」
いきなり今していた話と関係のないことを問われ、ルーファスは眉をひそめた。
「明るい金色だろう。」
「よく見ると、淡い金色に濃い金の粒が散りばめられているんだ。それが光の加減で黄金のようにキラキラ輝くんだよ。」
ルーファスもリアの瞳はきれいだと思っていたのでヘンドリックの言葉に成程と頷いた。
「印象的な瞳だと思ってたけど、リンドブルムの歴史書にあの瞳の記載を見つけたんだ。あの目はリンドブルムゴールドと言ってリンドブルムの王族にだけ現れる特別な瞳なんだよ。」
初めて聞く言葉にルーファスは目をみはった。
「そうなのか?」
「初代の国王から受け継がれたものらしいけど、近年それを持つ者が王家に生まれにくくなっているんだ。ジークフェルド王子も青色だろ。」
ルーファスはようやくヘンドリックが言いたいことを理解した。
「リンドブルムは、初代の瞳を持つリアを王家に取り込みたいと考えているということか?」
「僕の想像だけど、その可能性はあるんじゃないかと思うよ。」
「・・・。」
休暇中はバラバラになってしまっているが、新学期が始まれば、また普段の生徒会のある日常が始まると思っていた。
少なくとも学年末まではそれが続くことを疑ったことはなかった。
黙り込んだルーファスに、ヘンドリックが淡く微笑んだ。
「戻ってきてほしいね。」
その言葉にルーファスは無言で頷くしかなかった。




