第100話 近衛騎士の飲み会
トントン
「俺だ。」
その声にリアムが反応した。
「鍵開いてるぞ。」
ここはリンドブルム近衛騎士団寮のリアムの部屋だった。
扉が開かれると近衛の制服をきたライアンが入って来た。
「遅かったな。」
ルイにそう言われ、ライアンは顔をしかめた。
「あれからまた隊長に捕まって雑用を頼まれたんだよ。あのおっさん最悪だぜ。」
ライアンはその上品な顔に似合わない乱暴な口調で隊長の文句を言うと、制服の上着を脱ぎバサッとリアムのベッドの上に放り投げた。
「一日に2回も災難だったな。」
リアムが慰めるようにグラスに酒を注いできた。
「お前たち、もうけっこう飲んだのか?」
すでに少し顔が赤くなり上半身裸になっているルイを見て、ライアンが尋ねた。
「そうでもない。まだ5杯くらいだ。」
顔色の全く変わらないリアムがその言葉を否定した。
「今日ほど切実にお前たちに早く会いたいと切望したことはなかったよ。」
ライアンは握りこぶしを作り力説した。
「俺たちもだ。」
リアムも同意するようにニヤッと笑った。
リアたちと会った後、戻ってきた王子にくぎを刺されたのだ。
「お前たち、リアのこと他のやつらに絶対言うなよ。」
いつも割と飄々としている王子が珍しく真剣な表情だったから3人は反射的にブンブンと頷いた。
問題はその後だった。
王子たちがいなくなった直後、ローゼンハイム将軍が彼らのところにやって来たのだ。
先ほどの笑顔は幻だったのかと思う程厳つい表情を浮かべていた。
「お前たち、今見たことやリアのことは他言無用だ。一言でも他のやつらに漏らしてみろ。金輪際、王宮にいられると思うなよ。」
こんな面白そうな特ダネを仕入れたのに、しゃべればクビということか。
3人は震えあがって将軍の言葉に敬礼で答えた。
「ロイ。会いたかった!」
ライアンがグラスを置き、ガバっとリアムに抱きついた。
「おい、やめろよ。気持ち悪いだろ。ってか、なんでお前がリアちゃん役で俺が将軍役なんだよ。」
グググとリアムに身体を押し返され、ライアンがニヤニヤと笑った。
「なんでって、目の前にリアムがいたからだろう。」
部屋の奥の方に座っていたルイが腹を抱えてケラケラ笑っている。
部屋の中には3人が脱ぎ散らかした上着やシャツの他につまみのクズが散乱し、中央に置かれたテーブルには酒瓶が数本置かれていた。
これが近衛イケメンランキング1,2,3位を独占するこの男たちの日常だった。
「3人揃ったし、そろそろ本題に入ろうぜ。」
リアムがのしかかるライアンを押し返しながら真顔で提案した。
「そうだな。・・・まず、議題その1。リアちゃんは何者か、だな。」
ライアンも難しい顔をしている。
「はいはいはい!」
ルイが手を挙げた。
「はい。ルイ君どうぞ。」
ライアンの許可をもらったルイが意気揚々と答えた。
「ずばり、将軍の隠し子でしょう。あの親密さを見るに、それ以外考えられないよ。」




