酷いわ、ルカちゃん!
第1部最終章です。
……あっという間に4ヶ月が過ぎた。
「ルカ様、後30分程で見えます」
「分かった」
あの日から1ヶ月毎に手紙が届き進捗状況を知らされ、俺達は武具を新調したり鍛錬に励んだ。
そして、母さんの墓参りをした。
~回想~
「母さん、久し振り。最初の墓参りが5年以上でごめんな。でも、信頼する仲間が出来たんだ」
舞が一歩前に出る。
「初めまして、ルーネさん。婚約者のマイと言います。いきなりでごめんなさい。
でも、私はルカを生涯愛する事を誓います」
リナが一歩前に出る。
「初めまして、ルーネさん。マイと同じく婚約者のリナと言います。
私もマイと同じく、ルカを生涯愛する事を誓います」
「今日は、この2人しか連れて来てないけど、報せたかったんだ。
俺と生涯を共に歩いてくれる女性を。
じゃあ、また来るよ」
~回想終了~
さて、現在の俺達のメンバーは、俺、舞、リナ、リン、ロゼとなり、ユイ達はユイ達で頑張っているから彼女達は不参加となった。
そして、あの日から3ヶ月後に出発した。
「出発から1ヶ月か」
「結構な距離でしたね、ルカ様」
「そうだな、リン」
「それにルカのトラブルメイカーも健在だったよね」
「……それは違うだろう。マイもだ」
「ち、違うよ。わ、私は違う……」
「2人ともよ」
「「リナ~」」
「見えてきたのじゃ!」
……母さんとの別離の時に引き継いだ幾つかの手紙には色々な事が書かれていた。
大雑把に分ければ3種類で、白い手紙には「通常ルート」とも言える内容で、フロンディーラ辺境伯の養子となり普通に生きる様にと書かれていた。
黒い手紙には、俺や母さんの出自が書かれていて、母さんの故郷で好きな様に生きて欲しいと書かれていた。
赤い手紙には、邪神の封印に付いて書かれていて、俺達の一族は世界に伏せたまま、この邪神の封印を担っていて、代々の長は封印の維持、そして再封印の任に就いていた事が書かれていた。
俺達の目前に迫る巨大な正門は、リナやガル義兄やセレス姉さんの故郷の国「ラインゼラ」の正門よりも立派だった。
さて、この立派な正門を構えている国の名前は「アルスヴァータ皇国」で、この大陸で最も古い歴史を持っていて、クロシアから話を聞くと1000年前に建国したとか。
そのクロシアは、受け入れの為に途中から先行している。
俺達はクロシアの指示通りに、正門横の所謂貴族用の門に行くと、話は通っているみたいで、冒険者カードの名前を確認されると、最敬礼付きで通された。
更に案内が付いた。
「ご案内しますので、付いて来てください」
「分かった」
……ぶっちゃけ、俺の身分「皇子」だったりするが、一応「元」が付く。
まあ、次期女王候補が国を無許可で出ればそうなるよな。
だから、城での扱いは微妙になるが、下っ端はそんな事は知らされないから、好待遇だ。
クロシアからは、家族構成的な事は聞いてあるが、国主である現女王「フローディア=ラル=アルスヴァータ」は俺から見て母方のお祖母ちゃんで、次期女王「リリーディア」が母さんの姉で、その姉には息子1人に娘が2人居る。
因みに、その息子「ラズロード(生きていれば24歳)」は、ある日から行方不明らしい。
それで、従姉妹の姉が「サリーディア(23歳)」で、妹が「ミリーディア(17歳)」で、リリーディアの旦那が「グラウス」で婿殿で、実家の爵位は伯爵で本人は次男だ。
代々女王が国主になっているから、俺には継承権は無いらしい。
……事前知識はこんな所だ。
そんな事を考えていたら到着したみたいだ。
「お待ちしておりました」
クロシアだ。
「此処からは私がご案内いたします」
最初の内の道のりは簡単だったが、途中の扉を過ぎてからは皇城や皇宮特有のプチ迷路だった。
……当分の間は案内が必須だな。
「此方になります」
到着した場所は、豪華な扉だ。
もし、この扉の向こうが「謁見の間」だったらどうしようか?
俺達の服装は冒険者だぞ。
「謁見の間では無いので、そのままで大丈夫ですよ」
「……顔に?」
「はい。顔に出てました」
「ルカったら……」
「マイ様もですよ」
「……ぷ」
「リナ~」
「ごめんなさい、マイ」
「この扉の向こうでは、フローディア様がお待ちしています」
「……分かった」
俺は気を引き締めたが、その様子を見て舞達も気を引き締めた。
「クロシアです。ルカ様、及び仲間の方々をお連れしました」
「……入れ」
まだまだ声に張りが有るから、元気な証拠だろう。
「失礼します」
クロシアが扉を開けてある程度歩くと、和風3割混じったドレスを着た大人な美女が立って居た。
「……ルカちゃ~~~~~~~~~~ん!」
その外見でルパ〇ダイブしてきた!?
……避けた。
ゴチっ!
「酷いわ、ルカちゃん!」
「フローディア様!」
「……クロシア?」
「あれ程に言いましたよね! 最初の内は律する様にと!」
「で、でも~」
「でも~じゃありません!」
クロシアの、女王フローディアへの説教が始まりました。
暫くお待ちください。
……1時間後(待っている間は、メイドから美味しい紅茶とお菓子を頂いていた)
「ごめんなさ~~~い!」
「……全く」
「クロシア……さん?」
「……し、失礼しました!」
「俺達に紹介してくれないか?」
「……分かりました。改めて御紹介します。
此方の方が……」
この後、お互いの自己紹介をするのだが、フローディアが俺の横に座ろうとして、舞とリナから弾かれた。
「この国で、最初の男の国主にならない?」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点とブックマークをお願いします。