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そ、そこまで知っていて……

来る時には来るものです。

 


 周りは、この3流以下商人に手を貸すバカ貴族が誰なのか、固唾を飲んで聞いていた。


「私が懇意している方は、アールスバイド侯爵様だ!」

「……なんだと!?」

「驚いた様だな。だが、その驚きは当然と言えるな。あの英雄フロンディーラ辺境伯と元王女セレステア様が義父母で、筆頭侯爵ルナデュークの三女と異世界より召喚された少女の1人と婚約し、魔王討伐を果たし、侯爵の地位と領地を与えられた新たなる英雄なのだからな。」

「そ、そこまで知っていて……」


 俺の正体を察した者達も、このバカが発した死刑に続く暴言にざわついていた。

 俺は舞に視線を送ると、舞は商業ギルドから出て行った。


「どうした? 自分の絶望的な未来でも、想像したのか?」

「まあ、想像したのは本当だな」

「そうだろ……」

「だが、それはお前のだがな」

「何!」

「さて。このバカに少しでも交流の有った者は、最後の別れの言葉を伝えてやれ」

「は~!?」


 バカ商人が俺が言った言葉に困惑する中、何人かが別れの言葉を告げていった。


「今までご苦労さま」

「昔からポカをする度に助けてきたが、もう無理」

「故郷の家族とご両親には言っておくから」


 ……根っからの悪党じゃないみたいだ。


「このバカの家族とご両親はどんな人だ?」

「至って普通です」

「分かった。ダメだったら、俺の所に来いと伝えてやれ」

「……ありがとうございます」


 バカ商人が、我に返り言った。


「だから、何だ!」

「簡単に言えば、もう手遅れという事だ」

「だから、何がだ?」

「平民が、貴族の名を勝手に使う事は死刑となる重罪だと知っているか?」

「当然……だ…」

「お前が、今までに積み重ねてきた財産は家族の下に送ってやろう。それがお前への最後の慈悲だ」


 此処に俺達だけなら、見逃すとかも出来るが、場所が商業ギルドじゃあ無理だ。

 此処で見逃しとかすると、この国の貴族制度までに傷が付くから、国法に従わないといけない。

 要するに、既に「個人」で済む問題ではなく「国家」が絡む案件だという事だ。


「……そんな!」


 そして、舞が呼んだ衛兵達が来た。


「拘束し連行しろ!」

「ま、待ってくれ! わ、わた、私は知らなかったんだ! だから……」


 必死に弁明しているが、衛兵達も慣れているからか問答無用で連れて行った。


 そして、衛兵達が居なくなると俺は言った。


俺達・・の外見は可能な限り言わない様に」


 周りに居た連中は首を縦に振った。

 この後、後ろに控えていたビスマルが、俺に近付いて手前で止まった。


「待たせたな」

「とんでもございません。それでは」

「ああ。話を詰めよう」


 部屋に移動した俺達は、ビスマルと話を詰め契約した。

 土地家屋の代金は払わなくても良かったが、改築費は当然だが俺持ちになり、その代金は払った。


 王都での俺達の住居であるガル義兄にいのタウンハウスに帰ると、門に衛兵が1人立っていた。

 話を聞くと、この衛兵は衛兵長で、あのバカ商人の処遇が決まったから俺のサインを貰いに来ていた。

 持ってきた書類を確認すると、俺が言った事もきちんと記載されていたからサインした。


 ……勿論、書類のメインは死刑執行許可証だ。


 こういった冷酷な責任も、ガル義兄にいからしっかりと学んでいる。


 屋敷に入り、ビアンカに屋敷の事を報告して、2日後の午前9時には商業ギルドからビスマルが来て、屋敷の引き渡しの為に訪れた。

 因みに、俺が依頼した改築は契約を交わした日に着工して、夜間も通して行われ、今朝8時に終了したみたいだ。

 まあ、内容が、主人室の左右の部屋を正室仕様にして、中で3部屋が扉で繋がる様にした事と、浴場を部屋1つ潰しての拡張だ。

 もう1つ有るが、これはリナが全指揮を取り、3日や4日で終わる内容じゃないから、現在も工事中だ。


「それでは、最後にこの書類にサインを」

「分かった」

「……はい。ありがとうございます。

 これで、契約は全て完了しました。

 今後も、何か有りましたら、このビスマルや商業ギルドをご利用ください」

「ああ」


 ビスマルが帰ると、俺達は屋敷の空いている馬車全てを借りて、ルナデューク侯爵邸に向かった。

 実は、俺達のタウンハウスを維持管理する執事やメイド達は、ゼルさんの所でお世話になっている。


 ……まあ、株分けというか、暖簾分けみたいなもんだしな。


 執事は、ルナデューク侯爵家に代々仕えている執事の次男で、メイド長は、リナの専属侍女だ。

 他も全て、ルナデューク侯爵家に代々仕えていた者達の兄弟姉妹や、その次男や次女にそれ以下の者達だ。


 身内で固めれば、リナがビアンカみたいにタウンハウスで暮らす様になっても安心して暮らせるだろう。


 因みに、ルナデューク侯爵家に仕える人達の俺の印象だが、生まれは平民だが、正式な書類ではフロンディーラ辺境伯とセレステア夫人が幼少期から義父母である事で身分は申し分も無く、私(達)の可愛いお嬢様を選んだ見る目が有る男って感じで好意的だ。

 更に、魔王討伐で力を示し、侯爵位に就いた事で文句無しみたいだ。


 ルナデューク侯爵邸に到着した俺達は、俺達自身の馬車には執事とメイド長と料理長を乗せ、それ以外は借りた馬車に乗って貰おうと思っていたら、足りなかったからルナデューク邸からも馬車を借りた。

 因みに、荷物は俺のマジックバッグに……以下省略……に仕舞った。


 そして移動して……


「これからよろしく」

「「「「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」」」




厳しくも温かいメッセージを待っています!

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