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永遠の別れじゃないのよ

よくある自立と別れ。

 


 あれから、色々な貴族のパーティーに招待されたりしながら早3ヶ月が経ち、俺達はガル義兄にいが治めるフロンディーラに居る。

 そして……


「では、行ってきます!」

「行ってくるであります!」

【行ってくる】

「キャン!」


 俺達は、ユイ達を見送った。

 実は、魔王討伐後に、ユイから相談を受けていた。

 内容は、自分なりのペースで冒険者をやりたくなった事。

 その為には、俺に抱っこな、今までの旅ではダメな事。

 それで話し合いの結果、ユイは俺から巣立つ事になった。

 ただ、流石に1人は……と思っていたら、アスナとシリウスとコウガがユイの冒険に付いて行くと立候補した。


 その結果が、この「見送り」だ。

 コウガも、この3ヶ月の間に成長して、普通に立つと肩の高さが160cmに届く。


「ルカ、行ったね」

「そうだな、マイ」

「くよくよしないの、ルカ!」

「痛っ!」

「永遠の別れじゃないのよ」

「ありがとう、リナ」

「ふん!」

「では、出発なのじゃー!」


 後は、ガル義兄にいに任せ、俺達は報奨で貰った領地「アルファーラ」に向けて出発した……のだが!


「ガキ! 命が惜しかったら、服と靴以外を置いて消えな」

「リナ!」

「マイ!」

「「ヤるわよ」」

「へ!?」


 7分後、舞とリナの双閃華そうせんかの美しき煌めきに因って、盗賊共は地獄に召された。

 すっかり「お話」が上手になった舞とリナは、盗賊共からアジトの場所を聞き出していた。


「お見事です、マイにリナ」

「ありがとう、リン」

「私の手に掛かれば、こんなものよ、リン」

「我が主よ。終わったのじゃー!」

「ご苦労さま、リンにロゼ」


 俺は簡易ゴーレムを焼却が済んだ穴に入れると、ゴーレムの制御を解除し破棄する。


「盗賊共のアジトに向かって出発だ!」

台詞せりふを取られたのじゃー!」

「「「あははは!」」」


 そんな訳で、皆と盗賊共のアジトに向かったのだが、見張り番が居なかった。

 罠かと思ったが違っていた。


 慎重にアジトの洞窟の中へと進むと、盗賊共が貯めていた金銀財宝おたからを吟味中の冒険者チームが居た。


「先を越されたーーー!」

「何!?」

「誰だ!?」

「それはこっちの台詞せりふよ」

「諦めろ、リナ。こういうのは早いもん勝ちだからな」

「……くっ」

「悪いが、こっちもリスクを覚悟して入ったんだ。だから、譲れない」

「分かっている」

「……ただ、そちらは、この洞窟をアジトにしていた盗賊共を討伐してから来たみたいだから、後で良いなら残りは全てやるよ」

「「なっ!?」」


 俺は、舞とリナを無言で制すると言った。


「分かった」


 先行していた冒険者チームが、隅で何か話し合っていた。


「我が主よ」

「どうした、ロゼ」

「どうやら、あの者達は全てをやると言いながら、文字通りの『全て』を持って帰れないと思っているみたいなのじゃ。

 それで、また取りに来る気なのじゃ」

「俺も、聴力を強化して聞いていた」

「どうするの、ルカ」

「言われた通りに『全て』を頂くさ」


 先行の冒険者チームは、気付けば洞窟から去っていた。

 俺は、金銀財宝おたからには罪が無いから「全て」を回収した。

 後、洞窟は敢えて処理せずにそのままにしてあるから楽しみだ。


 因みに、先行の冒険者チームは選びに選んだ為に、逆に高額の品がまだ大量に残っていた。


 今日の目的地である町の「ツーコミス」で宿屋を取り、翌日の昼頃から冒険者ギルドの酒場で、舞達と雑談をしていると、予想通りの展開となった。


「あー! 居たわ!」

「よくもボク達の財宝を奪ったな!」

「何時?」

「昨日だ!」

「何処で?」

「盗賊達のアジ…ト……」

「もう一度聞くが、誰の財宝を何処から奪ったんだ?」

「……五月蝿い! ボクと決闘だ!」

「良いのか?」

「そう言って逃げる気か?」

「どうする、マイにリナ」

「やってあげたら」

「潰せば?」

「リンは……」

「ルカ様の望みのままに」

「ロゼは?」

「こういう愚者は、一度は落とさねば理解出来ぬのじゃ」

「分かった。 決闘を受けてやる」


 この後、様子を見ていた受付嬢に決闘のルールを説明して貰い、お互いの「代償」を提示し、それを記した魔法誓約書にサインする。

 向こうが求める「代償」は、昨日の盗賊共のアジトの金銀財宝おたからで、俺が求める「代償」は、1ヶ月間の町のドブさらいの無料奉仕ボランティアだ。

 この「代償」は、冒険者相手なら、かなり上位に入る嫌がらせだ。



「……準備はよろしいですね?」

「出来ている」

「ああ」

「では……開始!」


 開始の合図に合わせて剣を上段に上げ突っ込んできた。


「……死ね!」


 あ~、遅いわー。

 やっと向こうの間合いになって、剣が振り降ろされた。

 それを俺は軽く躱して、右回し蹴りを繰り出して……


「あっ!」

「ぷげっ……」


 顔面にクリーンヒット!


「がっ……」

「追加の『旋』の一撃だ」


 そして、俺は倒れている決闘相手の首に剣先を当てる。


「勝者ルカ!」

「お疲れ、ルカ」

「お疲れ様、ルカ」

「お疲れ様です、ルカ様」

「お疲れなのじゃ」


 面倒事がやっと終わったと思っていると、負けた奴が吠えた。


「無効だ! あんなの決闘とは認めない!」

「何処がですか?」


 受付嬢が聞いた。


「決闘と言えば、剣と剣でやるのが当たり前だろうが!」

「そんな事はありません。何故なら、決闘とは本来なら命の奪い合いなのですから、そこに攻撃手段の内容は問われません」

「な! しかし……」

「……分かった。決闘のやり直しをしてやるが、今度は命を賭けて貰う」

「……良いだろう。負けたのは油断していたからだ」

「受付嬢、聞いていたな?」

「はい、確かに。因ってこの決闘のやり直しは両者は命を賭けた決闘となります。

 両者に最後の確認をします。

 命を賭けますか?」

「賭ける!」

「ああ」

「両者の確認が出来ました!

 では、両者は構えてください。

 では、決闘を再開します。 ……始め!」

「うぉおおおーーー!」


 俺は、剣を横一文字に一閃した。


「……え!?」



厳しくも温かいメッセージを待っています!

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