まだ、ルカ達がいるわ!
やっと、プチ「恵梨香編」です。
恵梨香side
「ルカの奴、いつの間に舞空じゅ……じゃなくて、飛行の魔法を覚えたの?」
「別に気にする事か、恵梨香」
「……私より早いだもん」
「ルカの方が早いのは当たり前だろ」
「……何でよ」
「ルカは、5歳の頃から始めていたんだから当然だろ?」
「……そうだったわね」
「恵梨香に聖。無駄口叩かない」
「「は~い」」
それにしても、裏口から侵入したけど、敵が居ないわね。
「もしかしたら、表の方に集中しているのかもしれないわよ、恵梨香」
「……そうかもしれないわね~、聖良」
「それは違うな」
「誰!」
……何か、強そうな奴が単独で現れたんだけど、コレってアレよね?
「信頼する配下が守っているから雑魚は要らないって事?」
「ほう。分かっているじゃないか。
そう! オレ様は、新たなる魔王様の近衛騎士団長だ!」
「因みに聞くが、そちら側の雑魚認定を受けた配下はどうした?」
「新たなる魔王様の糧となった」
「「「「……」」」」
……喰われたって事ね。
つまり、その「新たなる魔王様」は、捕食してパワーアップするタイプね。
「……巻きで来て正解ね」
「そうね」
「そうだな」
「……?」
ギルだけ意味が分からないから話に加われていないわ。
「恵梨香、時間が惜しいわ」
「そうだね、聖良」
「なら、始めよう」
「賛成……だ!」
聖は、私達に合意しながら、敵の近衛騎士団長に突撃した。
ガギン!
「……やるな」
「それはどうも」
確かに、近衛騎士団長と名乗るだけあって強いみたいね。
私達の常套手段は、先ずはタンクの聖が突撃して、相手の強さを測る。
その測った強さを基準にして、私やギルが攻撃を開始する。
聖良は、回復に気を配りながら、相手の奥の手とかを警戒して観察を続ける。
これが私達の戦い方よ。
……正直、私の警戒レベルは漫画のキャラだけど、ミスト〇ーン並みにしている。
だって、シチュがほぼ同じだもん。
だから、普段なら第4位階魔法以上を放つ所だけど、第3位階魔法を使っている。
皆も、私が第3位階魔法を使っているから、近衛騎士団長に警戒を続けているわ。
「どうしたぁ! その程度か!」
「ここであっさり倒したら、流石に可愛そうだからよ」
「……良いだろう。そこまで早死にしたいのなら見せてやる! オレ様の真の力をな!」
……やっぱり隠してた!
「……ぐ…LuOoーーー!」
「今よ!」
「聖槍!」
「Gi ……!」
「喰らえ! 剛征撃剣!」
「GaAaaaーーー!」
「散らせ! 聖剣乱舞!」
「Gi…ぎゃあああーーー!」
「決めるわ! 魔炎獄破!」
「ぎ…ぎゃあああーーー……」
……殺ったわ!
「……納得しているけど、やっぱり酷いわね」
「否定出来ないな」
「確かに、ゲームじゃないけどよ」
「勝てば官軍。負ければ全てを失うのよ」
「「「……分かっている」」」
「分かっているのなら良いのよ。
……先へ行くわよ」
これはゲームじゃなくて現実なんだから、卑怯も卑劣も合法よ!
誰も死なないでいるなら、泥を被るくらいどうとでもないわ!
……そして、私達は、ルカ達より早く謁見の間の扉に到着したわ。
「……覚悟は出来てる?」
「勿論だ」
「出来ているわ」
「当然だ」
「それなら行くわ!」
私と聖良で警戒しながら扉を開けた。
「待っていたぞ。勇者を裏切った者共よ」
……まさか!?
「裕哉なの!?」
「裕哉!」
「……右京」
「ウキョウだと!?」
「……ふん。聖良は、もう僕を『裕哉さん』とは呼ばないのか?」
「当たり前よ! 此処には私のお父様はもう居ないわ! だから、付き従う義理も義務も無いわ!」
「……そうか。それなら僕の邪魔をする障害として排除するだけだ」
もう、私達の知っている裕哉も無いんだ……
「聖良、倒すよ!」
「ええ!」
「せめてもの情だ、裕哉。オレ達が倒す!」
「セイラ! 倒すぞ!」
「ギル……はい!」
……もう10分以上戦っているけど、勝てないかもしれないわ。
「どうした? 勇者が居ないとはいえ、その勇者と共に魔王と戦う存在じゃないのか?」
「くっ……」
「僕はまだ2割も出して無いぞ」
「時間を稼ぐ!」
「ギル!」
「……ふん」
「がぁあああ……」
ギルが黒い炎に包まれて倒れた……
「先ず1人だ」
「恵梨香、当てにしているからな」
「聖!」
「はっ!」
「……ぐはぁ!」
「聖ーーー!」
聖の鎧を貫通して右京の拳が深く刺さる……
「……2人目」
「あぁああーーー! 紅蓮魔炎獄!」
「……無駄だ」
私の最高の魔法が、左腕の一振りで消えた……
「……そんな!? ぐふっ……」
「3人目。 残りは聖良だけだ」
「まだよ! ……聖炎浄葬覇!」
これなら……
「ぐ、がぁあああーーー……」
「やったわ!」
「……満足したか、聖良」
「……え!? がはっ……」
……ま、まだよ!
まだ、ルカ達がいるわ!
な、何か、何か有る筈よ。
……アレは!?
服が破れて、背中が露出していて暗くて黒い宝玉が見えるわ。
もしかしたら……
「……腹が減ったな」
ちょっと待ってよ。
なんで、そんな台詞を言いながらギルを見ているのよ。
……止めてーーーーー!
そして、扉が開いた。
「……!?」
「待っていたぞ」
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